36 / 64
第二章
(24)※
しおりを挟む
気付いた瞬間、理性が戻ってくる。
この体に反応してくれて嬉しいと思う反面、恥ずかしさがあり、顔が熱くなってヴィルヘルムを見られない。
「っすまない。だがもう挿れないから、安心して欲しい」
「で、も……その、ヴィルヘルムさま、辛そうです」
「……ッ」
先ほど見たヴィルヘルムの顔は、紅潮していて気まずそうだったけれど、何より苦しそうだった。
指摘すると、図星なのだろう。ヴィルヘルムは、息を飲んだ。
──わたしはどうしてあげたら、いい?
自分に問い掛け、そして頭に浮かんだのは、普段のアシュリーであれば思い付きもしないことだった。
けれど今は、《アシュリー》ではなく、《シェリー》という別の人間だ。だから一瞬躊躇いはしたけれど、彼女は勇気を出して口を開いた。
「……い、い、挿れるの……は無理、ですけど……それ以外で苦しみを解放する方法があれば……教えてください。……わたしでできることなら、何でもする、ので」
声にはしたけれど、顔はひどく、熱かった。
断られたらどうしようといつもなら考えるのに、今はそこがすっぽり抜けてしまっている。
ヴィルヘルムがどんな顔をしているのか、俯いたアシュリーには見えない。
けれど、低い呻き声は耳に届いた。
直後に顎を持ち上げられて、無理やりくちびるを奪われる。喰われるかと思うぐらいに荒々しいキスだった。
「ぁん……んん……っ!」
驚きのあまり見開かれた瞳がヴィルヘルムの欲望に滲んだ深い紫色の瞳を捉える。
長い口付けが止み、アシュリーが反射的に身動ぎをすると、そのまま体を横向きにされて、背後から抱き締められた。
「ヴィ、ヴィルヘルムさ……っひゃあっ」
口にした名前を遮るように、肌にくちびるを落とされると、びくん、とアシュリーの体が震えた。
まるで味わうように至るところに口付けられて、羞恥心と背中に走る痺れのような快感に顔を上げられない。口元に手を当てて押し付けてやり過ごそうとしたけれど、再び高められ過敏になった体は、熱を持ち出す。
首筋、肩口と辿り、口を押さえている方とは逆の手を取られて口付けられ、そのまま背中に降りたくちびるが、薄い皮膚に吸い付いた。
ちゅ、ちゅ、と耳に届くリップ音がアシュリーの気持ちを煽る。
顔だけを後ろへ向けると、乱れた前髪の奥で瞳がぎらついていて、目があった次の瞬間、くちびるを荒々しく奪われた。
足の内側を撫でられ、まだ蜜が溢れて潤う秘部を指先で擦られる。
「挿れ、ないって……ん……っ」
「っああ、挿れはしない。あなたに誓って、嘘偽りはない。だから、こちらを代わりに貸してくれ」
耳元に、ヴィルヘルムの荒々しい囁きが落ちる。
片方の膝裏を軽く持ち上げられたと思ったら、臀部に熱いものを押し付けられ、太ももの間に差し込まれた。
「ゃ、……あ、んん……っ」
熱を持った雄芯が、蜜をまぶした秘部をなぞる。
その先端で敏感になっている花芽を突かれると気持ち良さが湧き上がり、甘い声が溢れてしまった。
あまりの快楽に逃げようとするけれど、しっかりと腰を掴まれて、逃げることは叶わない。
「ぁん、ん、ぁ、ぁあっ」
腹部に回っていた手が悪戯に胸の突起を弄り始める。再びその指先に翻弄され、アシュリーは必死にベッドシーツを掴んだ。
この体に反応してくれて嬉しいと思う反面、恥ずかしさがあり、顔が熱くなってヴィルヘルムを見られない。
「っすまない。だがもう挿れないから、安心して欲しい」
「で、も……その、ヴィルヘルムさま、辛そうです」
「……ッ」
先ほど見たヴィルヘルムの顔は、紅潮していて気まずそうだったけれど、何より苦しそうだった。
指摘すると、図星なのだろう。ヴィルヘルムは、息を飲んだ。
──わたしはどうしてあげたら、いい?
自分に問い掛け、そして頭に浮かんだのは、普段のアシュリーであれば思い付きもしないことだった。
けれど今は、《アシュリー》ではなく、《シェリー》という別の人間だ。だから一瞬躊躇いはしたけれど、彼女は勇気を出して口を開いた。
「……い、い、挿れるの……は無理、ですけど……それ以外で苦しみを解放する方法があれば……教えてください。……わたしでできることなら、何でもする、ので」
声にはしたけれど、顔はひどく、熱かった。
断られたらどうしようといつもなら考えるのに、今はそこがすっぽり抜けてしまっている。
ヴィルヘルムがどんな顔をしているのか、俯いたアシュリーには見えない。
けれど、低い呻き声は耳に届いた。
直後に顎を持ち上げられて、無理やりくちびるを奪われる。喰われるかと思うぐらいに荒々しいキスだった。
「ぁん……んん……っ!」
驚きのあまり見開かれた瞳がヴィルヘルムの欲望に滲んだ深い紫色の瞳を捉える。
長い口付けが止み、アシュリーが反射的に身動ぎをすると、そのまま体を横向きにされて、背後から抱き締められた。
「ヴィ、ヴィルヘルムさ……っひゃあっ」
口にした名前を遮るように、肌にくちびるを落とされると、びくん、とアシュリーの体が震えた。
まるで味わうように至るところに口付けられて、羞恥心と背中に走る痺れのような快感に顔を上げられない。口元に手を当てて押し付けてやり過ごそうとしたけれど、再び高められ過敏になった体は、熱を持ち出す。
首筋、肩口と辿り、口を押さえている方とは逆の手を取られて口付けられ、そのまま背中に降りたくちびるが、薄い皮膚に吸い付いた。
ちゅ、ちゅ、と耳に届くリップ音がアシュリーの気持ちを煽る。
顔だけを後ろへ向けると、乱れた前髪の奥で瞳がぎらついていて、目があった次の瞬間、くちびるを荒々しく奪われた。
足の内側を撫でられ、まだ蜜が溢れて潤う秘部を指先で擦られる。
「挿れ、ないって……ん……っ」
「っああ、挿れはしない。あなたに誓って、嘘偽りはない。だから、こちらを代わりに貸してくれ」
耳元に、ヴィルヘルムの荒々しい囁きが落ちる。
片方の膝裏を軽く持ち上げられたと思ったら、臀部に熱いものを押し付けられ、太ももの間に差し込まれた。
「ゃ、……あ、んん……っ」
熱を持った雄芯が、蜜をまぶした秘部をなぞる。
その先端で敏感になっている花芽を突かれると気持ち良さが湧き上がり、甘い声が溢れてしまった。
あまりの快楽に逃げようとするけれど、しっかりと腰を掴まれて、逃げることは叶わない。
「ぁん、ん、ぁ、ぁあっ」
腹部に回っていた手が悪戯に胸の突起を弄り始める。再びその指先に翻弄され、アシュリーは必死にベッドシーツを掴んだ。
1
お気に入りに追加
3,411
あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆

悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる