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第二章

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 止まったはずの涙がぼろぼろと再び溢れ出してくる。
 ヴィルヘルムの首にしっかりとしがみつきながら、アシュリーは必死に彼を受け止めた。
 お互いに素肌を晒しているのにくっついた場所はとても熱い。痛みに喘ぐアシュリーを慰めるようにヴィルヘルムは何度も口付けをしてくれる。
 くちびるは下降していき、胸の先端で震えている突起に吸い付いた。舌で愛撫されて思わず腰が揺れる。

「これであなたは、俺を忘れられない」

 白く小さな膨らみにも口付けの跡を残され、独占欲の滲んだそんな言葉を囁かれて、アシュリーのお腹の奥が疼いた。
 ゆっくりと腰を揺さぶられて、狭い中を解されていく。

「ん……ふ、ぁあ……」

 内側を雄芯で擦られ続けていると、次第に痛みではないものが湧き上がってくる。
 貫かれている場所から甘美な痺れを覚え始めて、アシュリーの声にも苦悶ではない音が混ざってきた。

「ヴィルヘルム、さま……奥、だめぇ……ぁ、んっ……」
「駄目、ではないだろう。最初より中は解れているし、声が甘くなっている」

 抽送を繰り返されながら耳元で囁かれ、アシュリーの頬だけでなく体中がさらに熱を帯びた。
 ヴィルヘルムが腰を揺するたびに、淫らな水音が結合部から聞こえてくる。
 それは明らかに痛みが勝っていたときよりも大きな音で、そうして奥を突かれると、背中をぞくぞくと震えが──快楽が走った。
 確かに駄目だと思っている。
 このまま貫かれていたら、頭がおかしくなってしまう。好きな人と繋がることができて幸せを感じて、気持ち良さまであって。
 もうすでに離れ難く思っているのに、これ以上どうしたらいいのか。
 ただでさえ理性が融けて、頭の中はぼんやりとしている。アシュリーはわけのわからぬまま頭に浮かんだばらばらな言葉を口にして、だから駄目なのだと訴えた。

「んん──っ」

 すると、荒々しくくちびるを奪われた。食べられてしまうんじゃないかと錯覚してしまいそうな激しいキスに、アシュリーは翻弄される。

「……どうしてそう可愛いことを言うんだ、あなたはっ」

 ヴィルヘルムの言葉を耳にしたと思ったら、驚く間も無く挿入されていた雄芯が入り口近くまで引き抜かれ、そして勢いよく奥へ突き立てられた。

「あ、ぁあ……ゃあぁっ」

 そのまま貪るように、突き上げられる。
 ──奥、まで、ヴィルヘルム様のが、挿入はいって、る……
 苦しくて、熱い。なのに擦り上げられるとお腹の奥が疼いて、腰が揺れてしまった。
 アシュリーの視界に、苦しげに表情を歪めるヴィルヘルムの姿が映る。その目には苦しげだけれど、どこか恍惚とした光が浮かんでいた。

「ヴィルヘルム、さまぁっ……ぁっあ、んっ」
「あなたの奥は熱くて……気持ちがいい。──病みつきに、なりそうだ」

 奥を穿たれながら、胸を愛撫される。
 赤く色付いた突起を舌で包まれ、吸い上げられると、散々弄られたそこは快楽を拾い、熱に変えた。
 胸も弄られ、下腹部を突き上げられ、苦しさとその中に覚えた気持ち良さに翻弄されて、アシュリーはもう何も考えられない。
 慣らすように揺さぶられていたときより、少しずつ動きが早くなる。

「あ、んっ……あっ、あぁっ……」

 襲い掛かってくる愉悦の嵐に、アシュリーはヴィルヘルムにしがみついているのがやっとだった。
 だが奥を穿たれて、その衝撃でヴィルヘルムの首に回していた腕が滑り落ちそうになる。
 辛うじて落ちなかったのは、代わりにヴィルヘルムの背中に爪を立ててしまったからで、一瞬彼の表情が歪んだ。

「ゃ……あ……ごめんなさ……っ」
「いや……これぐらいの痛みなら、何ともない。それよりあなたを腕に抱いた証が残った。その幸せの方が遥かに大きい」

 そんなふうに言われてしまったら、心拍数も上がってしまう。
 同時に胎内に収めている雄芯も無意識に締め付けてしまい、ヴィルヘルムが小さく俯いて嗚咽を零した。
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