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第一章
(03)
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本の全般的な分野で言えばまだまだ男性の方が読む率は高いが、恋愛小説や作者が見目の良い有名な作家だったりすると、圧倒的に女性の率が高い。そう変化していったのはここ数十年ほどのことだが、その影響で図書館を使用する貴族の令嬢も増えてきている。
女性の読書の率が上がったのはここ数十年ほどのことだ。当然、令嬢が使用することが増え始めた当初、司書と言えば男ばかりだった。しかし目当ての本を探すのに男性司書に話しかけられない令嬢も多く、その影響で女性司書の需要が増えた。
だが、司書だけに問わず、城で働くには試験や適性検査、面接をクリアし、身元も小綺麗でなければいけない。
そのためやんごとない貴族の令嬢は、試験や適性検査を受けなくても就ける《侍女》として働くならまだしも、司書になろうとは考えないらしい。
ライバルが少ないからもしかして、と思ったことは否定しないが、司書として働き、結婚後も仕事を続けたいと言えば亭主関白がお好みな男は見切りを付けて結婚相手候補とは見なさないだろうし、働いている間は防犯システム完備の女性専用の部屋を借りることができるから家に帰らなくても良い。
それに経験を積んで認められれば、副館長や館長も目指すことができるのだから、目指さない手はないだろう。
それから必死に勉強し、成人と認められる十六歳になった年、アシュリーは両親に城下にいる友人に会いに行くと言って、城で行われた司書になるための試験を受けた。
後日届いた採用通知書に飛び上がるほど喜んだことは、今でも思い出せる。
けれどその採用通知書が届くまで、アシュリーは両親に司書になりたいということは伝えられなかった。恐らく渋い顔をされるだろうから。
覚悟を決め、両親にすべてを伝えた夜、当然ながら渋い顔をされた。何かこそこそとしている気配は感じていただろうが、まさか司書になって城で働くために頑張っていたなんて思いもしなかったはずだ。
だがアシュリーの熱心な説得に、結果的に両親は折れてくれた。採用通知書まで出されれば、「ならば一度やってみなさい」と言う他なかったのだろう。
恐らく両親としては、就いてみたけれど途中で嫌になって帰ってきてくれることを望んでいたのかもしれない。
だが、アシュリーはけして仕事を辞めようとは考えなかった。
当然嫌なことはあるし、口さがない噂話を耳にして、思い出しては落ち込むことはあったけれど、職場環境に恵まれていたお陰で、それなりに充実していた。
女性の読書の率が上がったのはここ数十年ほどのことだ。当然、令嬢が使用することが増え始めた当初、司書と言えば男ばかりだった。しかし目当ての本を探すのに男性司書に話しかけられない令嬢も多く、その影響で女性司書の需要が増えた。
だが、司書だけに問わず、城で働くには試験や適性検査、面接をクリアし、身元も小綺麗でなければいけない。
そのためやんごとない貴族の令嬢は、試験や適性検査を受けなくても就ける《侍女》として働くならまだしも、司書になろうとは考えないらしい。
ライバルが少ないからもしかして、と思ったことは否定しないが、司書として働き、結婚後も仕事を続けたいと言えば亭主関白がお好みな男は見切りを付けて結婚相手候補とは見なさないだろうし、働いている間は防犯システム完備の女性専用の部屋を借りることができるから家に帰らなくても良い。
それに経験を積んで認められれば、副館長や館長も目指すことができるのだから、目指さない手はないだろう。
それから必死に勉強し、成人と認められる十六歳になった年、アシュリーは両親に城下にいる友人に会いに行くと言って、城で行われた司書になるための試験を受けた。
後日届いた採用通知書に飛び上がるほど喜んだことは、今でも思い出せる。
けれどその採用通知書が届くまで、アシュリーは両親に司書になりたいということは伝えられなかった。恐らく渋い顔をされるだろうから。
覚悟を決め、両親にすべてを伝えた夜、当然ながら渋い顔をされた。何かこそこそとしている気配は感じていただろうが、まさか司書になって城で働くために頑張っていたなんて思いもしなかったはずだ。
だがアシュリーの熱心な説得に、結果的に両親は折れてくれた。採用通知書まで出されれば、「ならば一度やってみなさい」と言う他なかったのだろう。
恐らく両親としては、就いてみたけれど途中で嫌になって帰ってきてくれることを望んでいたのかもしれない。
だが、アシュリーはけして仕事を辞めようとは考えなかった。
当然嫌なことはあるし、口さがない噂話を耳にして、思い出しては落ち込むことはあったけれど、職場環境に恵まれていたお陰で、それなりに充実していた。
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