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34.自慰
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しとしと雨が降っていた。
「…………」
外は一日雨だった。
「…………もうすぐ……1年」
何を映しているのか、わからない瞳をして京子は布団に横になりながら外を見ていた。
毎日、毎日、毎日――
同じことの繰り返し。
学校、外の町、家、テレビでさえも皆、笑ったり泣いたり怒ったり……色々な表情をくるくると変え時間は進んで行くのに、自分は、あの時と……誠と別れた時から、一人だけポッカリと浮いたような一人だけ境界線を引かれたように同じ部屋でも別世界にいるように思えてならない……
体の感覚はぼーっとしたように麻痺しているのがずっと続いている。それでも不思議と動くのだ。病気ではないと自分でも分かっている。これは心の問題。誠のいない世界に溶け込む努力を自分自身がしているからなのだろう。それでも体は受け入れがたくて……暗い暗い感情がどこからか心の中を渦巻いて私を苦しめる……
――ああ、誠(あの人)はいないんだ。
――この地球の反対側で、誠あなたは何を思っていますか?
――寂しい瞳を曇らせて外を見つめているのですか?
日本の気候とは少し違う事が幸いかもしれない。梅雨の雨は、誠をより哀しませることだろうと思うから……
「…………っ~~」
ポタポタと涙が零れた。
ああ、今、自分は泣いている。
涙を流すことさえも忘れかけていた。
誠(あの人)のいない現実に何も感じないから。
誠が全てだった。
誠の1つ1つの行動に一喜一憂して、嬉しさも、楽しさも、哀しさも……全てが誠中心に世界が回っていた。
こんなにも心を奪われて自分は愚かなのかもしれない。
恋はこんなにも辛いものだったなんて……
目を閉じる。
すると誠を近くに感じることができた。
誠の耳元での甘い吐息。
耳朶をねっとりと愛撫され首筋に接吻された時の自分の胸の高鳴り……
優しく抱き締められた時の安心感。
肌蹴たシャツの隙間から見える体の筋肉は、中世的な見た目に反してとても逞しく艶っぽさを放っていた。
誠の綺麗な顔が自分に近づき、自分の胸を愛撫する。
それは死にそうな位恥ずかしくて、体を固くすると「可愛いい。綺麗だよ」と何度も囁いてくれた。
挿入も早く気持ちよくなるように慣れるまで何度も何度も沢山舐めてくれた。
「ううっ~~」
――誠(あの人)はいない! もう傍にさえいない! 息が詰まりそう!
「~~~~っ」
気付けば、自分で自分の体を弄ることに慣れていた。
誠が触れたように。誠を傍に感じて……
「……っ……」
誠に内腿を触られるとゾクゾクした。
ピクピクと震わせ次の行為に期待した。
その感触を思い出す……
「………っ…」
その手がゆっくりと伸び割れ目をすーっと撫でる。
そうすると決まって誠は小さく笑みを零し「濡れてる」と囁いて来た。
私の反応を楽しんでいるのか。いたずら心なのか。艶っぽい低い声で囁いて来た。
そうして胸を舐めながら花陰部を執拗に攻めてくる。
「………ぁ」
脈が速くなり、息も上がる。小さい甘い声が漏れ始める。
ビクビクと身体は震え快楽は増してくる。
そして一気に貫かれるのだ。
「あああっ!」
艶っぽい誠(あの人)の表情。
息。
声。
身体……
私の中で起こる小さな爆発、その瞬間の一体感。
全て覚えてる。
「…………はあはあはぁ」
京子は身体から手を離した。
手にはぬっとりとした愛液が付いている。
それを見て思った。
――ああ、私は、心はもちろんのこと体さえも捕われてしまったんだ……
「…………」
外は一日雨だった。
「…………もうすぐ……1年」
何を映しているのか、わからない瞳をして京子は布団に横になりながら外を見ていた。
毎日、毎日、毎日――
同じことの繰り返し。
学校、外の町、家、テレビでさえも皆、笑ったり泣いたり怒ったり……色々な表情をくるくると変え時間は進んで行くのに、自分は、あの時と……誠と別れた時から、一人だけポッカリと浮いたような一人だけ境界線を引かれたように同じ部屋でも別世界にいるように思えてならない……
体の感覚はぼーっとしたように麻痺しているのがずっと続いている。それでも不思議と動くのだ。病気ではないと自分でも分かっている。これは心の問題。誠のいない世界に溶け込む努力を自分自身がしているからなのだろう。それでも体は受け入れがたくて……暗い暗い感情がどこからか心の中を渦巻いて私を苦しめる……
――ああ、誠(あの人)はいないんだ。
――この地球の反対側で、誠あなたは何を思っていますか?
――寂しい瞳を曇らせて外を見つめているのですか?
日本の気候とは少し違う事が幸いかもしれない。梅雨の雨は、誠をより哀しませることだろうと思うから……
「…………っ~~」
ポタポタと涙が零れた。
ああ、今、自分は泣いている。
涙を流すことさえも忘れかけていた。
誠(あの人)のいない現実に何も感じないから。
誠が全てだった。
誠の1つ1つの行動に一喜一憂して、嬉しさも、楽しさも、哀しさも……全てが誠中心に世界が回っていた。
こんなにも心を奪われて自分は愚かなのかもしれない。
恋はこんなにも辛いものだったなんて……
目を閉じる。
すると誠を近くに感じることができた。
誠の耳元での甘い吐息。
耳朶をねっとりと愛撫され首筋に接吻された時の自分の胸の高鳴り……
優しく抱き締められた時の安心感。
肌蹴たシャツの隙間から見える体の筋肉は、中世的な見た目に反してとても逞しく艶っぽさを放っていた。
誠の綺麗な顔が自分に近づき、自分の胸を愛撫する。
それは死にそうな位恥ずかしくて、体を固くすると「可愛いい。綺麗だよ」と何度も囁いてくれた。
挿入も早く気持ちよくなるように慣れるまで何度も何度も沢山舐めてくれた。
「ううっ~~」
――誠(あの人)はいない! もう傍にさえいない! 息が詰まりそう!
「~~~~っ」
気付けば、自分で自分の体を弄ることに慣れていた。
誠が触れたように。誠を傍に感じて……
「……っ……」
誠に内腿を触られるとゾクゾクした。
ピクピクと震わせ次の行為に期待した。
その感触を思い出す……
「………っ…」
その手がゆっくりと伸び割れ目をすーっと撫でる。
そうすると決まって誠は小さく笑みを零し「濡れてる」と囁いて来た。
私の反応を楽しんでいるのか。いたずら心なのか。艶っぽい低い声で囁いて来た。
そうして胸を舐めながら花陰部を執拗に攻めてくる。
「………ぁ」
脈が速くなり、息も上がる。小さい甘い声が漏れ始める。
ビクビクと身体は震え快楽は増してくる。
そして一気に貫かれるのだ。
「あああっ!」
艶っぽい誠(あの人)の表情。
息。
声。
身体……
私の中で起こる小さな爆発、その瞬間の一体感。
全て覚えてる。
「…………はあはあはぁ」
京子は身体から手を離した。
手にはぬっとりとした愛液が付いている。
それを見て思った。
――ああ、私は、心はもちろんのこと体さえも捕われてしまったんだ……
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