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28.友達Ⅱ
しおりを挟む――……。
サラサラと、風が吹くと綺麗に靡く黒髪。
気が付くと、つい目で追ってしまう自分がいた。
京子たちのクラスが校庭でなにやら体育の授業をしている様子だった。
「……」
明は京子の首筋に見つけたキスマーク以来、京子の事が気になって落ち着かない。
そして悶々とした苛立った気持ちが積もる日々が続いていた。
「なあ。和泉っていい身体してるよな」
「なんだ斉藤~。お前、何見てんだよ」
明と同じクラスの男子共が3階の教室から体操着の女子をいやらしい目つきで見ていた。
「ああ、確かに。胸がもう少しあればもっといいけどな……」
「俺は胸のデカい須藤絵梨の方がぜってーいいけど」
「ああ、あいつすげーよな。走ってると胸っユサユサ揺れてる」
「俺は、和泉みたいな清楚な感じがタイプだな」
「意外とあーいうタイプに限って、処女じゃなかったりして……」
「!」
「そーいや明、和泉と仲良かったよな。あいつ彼氏いるか知ってるか?」
「知らねー」
明はいつもなら普通に混じる男子会話に嫌悪感を抱いた。
聞いていたくもなく思わず席を立った。
京子の事をいやらしい男目線で他の男に見られること、そして品定めのごとく身体のことを言うことに激しく不快な感情と抵抗を感じた。
友達の事をそのように見てほしくない。それもある。しかし、自分がこのように苛立つ原因はもっと別の事なのだとはっきりとわかってしまった。
――嫌だ! 嫌なのだ。
京子の心と身体を支配した男が、自分以外にいる。
京子の身体を知っている男がいる。
京子自身がそれを赦した事が余計に腹立たしい――。
*
手で触れているのか、感覚がわからないほどのさらさらの髪質。
俺はその髪に恐る恐る触れ、閉じた瞼に口付けをする。
ふっくらとした小さな赤い唇にさらに唇を重ねた。
ピクリと反応した体に、今度は制服のまま密着し、俺の手はスカートの中の太腿をスーッと撫でる――……。
バチッ。
突然、目が覚めた。
「……」
夢の中で京子あいつを抱こうとしていた。
――俺たちは友達ではなかったのか?
――俺は……。京子あいつを抱きたい……のか?
戸惑いながらも自問自答を繰り返しながら、答えは分かっていた。
心とは裏腹に身体は正直だった。年若い明の下半身は反応していた。
「…………最悪だっ」
朝からあのような夢を見て、京子の顔を見るのがどうしてもバツが悪く思っていた。
ちょうど駅に着いた時だった。携帯の着信音が鳴る。
『――ごめんなさい。先に行きます』
「……」
最近多い。メールの内容……。
「!」
なんとなく明は思った。
(……男か?)
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