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Ⅴ ソロモン革命
1節 布石 ②
しおりを挟む「ティール、今日は本当に助かった。色々と教えてくれてありがとな」
「いいってことよ。じゃあな」
オルアットたちと別れたティールは宿に戻り、髪だけをお湯で洗って直ぐに寝た。
そして翌日、昼手前で起きた。
「はぁ~~~~~~……まだ昼、じゃないよな」
寝ぼけた顔を洗って目を覚まし、まずは朝食。
直ぐに食べ終えてギルドに……向かわず、ティールは昼間から歓楽街へと向かった。
先日、店でオルアットたちと夕食を食べている時に、奴隷を売っている店は歓楽街にあるという内容が耳に入った。
信用できて自分を絶対に裏切らない仲間を手に入れるならば、やはり奴隷しかない。
そう思い、人々が必死に働いている時間からティールは歓楽街へと向かった。
十二歳の子供が来るような場所ではないが、ティールは既に歓楽街に来たことがある。
「昼間なのに、全く酒や女性の匂いが全く消えていないな」
多くの店が開く夜ではないので、全く賑やかではない。
だが、歓楽街のメインであるお酒と女性の匂いは全く消えていない。
歓楽街では毎日のように夜になれば賑やかになる。
それ故に、独特の匂いが消えることはない。
「あら、可愛い坊やね。こんな昼間から歓楽街に何しに来たのかしら」
薄着を着た嬢であるお姉さんが話しかけてきた。
化粧をしていなくとも、その美しさは健在。
そして業務時間ではないのにも拘わらず、妖艶な空気を纏っている。
「を探しに来たんだ。信用出来る仲間が欲しくてな」
「そういうことね。それなら昼間から歓楽街に来るのも納得ね。でも、奴隷を買うにはそれなりにお金が必要よ。坊やは奴隷を買えるだけのお金は持ってるの?」
「あぁ、ちゃんと持ってるよ。お姉さんに情報料を渡せるぐらいには」
「あらそうなの? ……なら、良いところを教えてあげるわ」
お姉さんはヤドラスで一番の奴隷館をティールに教えた。
ティールが本当にそれ相応の金を持っているのかは分からなかったが、なんとなく目の前の子供はお金を持っていると思った。
(もしかしたら貴族の令息がお忍びで来てるのかしら?)
ティールが歓楽街に来ても慣れた様子を見て、その可能性が無きにしも非ずかと嬢は思ったが、事実は異なる。
目の前の少年は貴族の令息ではなく、規格外な実力とギフトを持った平民だった。
「ありがとな。はい、情報料」
奴隷館の場所を教えてもらった料金として、ティールはお姉さんに銀貨十枚を渡した。
「ふふ、本当に坊やはお金持ちのようね」
「これでも一応稼いでるからな。それじゃ」
歓楽街は昼間だからといって。厄介なゴロツキがいないわけではない。
だが、ティールは厄介な連中に絡まれるのを避ける為に戦意を放ち、好戦的な笑みを浮かべながら教えてもらった道を進む。
歓楽街に来るような年齢ではないティールを見て絡み、有り金や身に着けている道具を全て奪おうと考えた馬鹿もいたが、子供が放つような戦意ではない強烈な雰囲気を持つティールに怯え、後ずさる。
結局面倒な輩が絡んでくることはなく、ティールは無事にヤドラスで一番の奴隷館の前に到着できた。
「……でか」
お姉さんからヤドラスで一番の奴隷館とは聞いていた。
だが、その店がここまで大きいとは全く予想していなかった。
(入り口に警備の兵までいるし……色々と期待出来そうだな)
だが、このままではおそらく弾き返されてしまうだろうと思い、ティールは財布から白金貨を手で遊びながら入口に向かった。
護衛の兵の内、一人が鑑定のスキルを持っており、ティールの手にある白金貨を即座に調べた。
(本物か。もしかしたら貴族の令息がお忍びで来ているのかもしれないな)
正体は違うが、客であることに変わりはない。
警備の兵がティールの入店を遮ることはなかった。
「……外装も凄かったが、内装も凄いな」
貴族の屋敷なのかと錯覚するが、ここは奴隷館。
内装の凄さに驚きながらも、ティールはゆっくり店員が立っているカウンターへと向かった。
「いいってことよ。じゃあな」
オルアットたちと別れたティールは宿に戻り、髪だけをお湯で洗って直ぐに寝た。
そして翌日、昼手前で起きた。
「はぁ~~~~~~……まだ昼、じゃないよな」
寝ぼけた顔を洗って目を覚まし、まずは朝食。
直ぐに食べ終えてギルドに……向かわず、ティールは昼間から歓楽街へと向かった。
先日、店でオルアットたちと夕食を食べている時に、奴隷を売っている店は歓楽街にあるという内容が耳に入った。
信用できて自分を絶対に裏切らない仲間を手に入れるならば、やはり奴隷しかない。
そう思い、人々が必死に働いている時間からティールは歓楽街へと向かった。
十二歳の子供が来るような場所ではないが、ティールは既に歓楽街に来たことがある。
「昼間なのに、全く酒や女性の匂いが全く消えていないな」
多くの店が開く夜ではないので、全く賑やかではない。
だが、歓楽街のメインであるお酒と女性の匂いは全く消えていない。
歓楽街では毎日のように夜になれば賑やかになる。
それ故に、独特の匂いが消えることはない。
「あら、可愛い坊やね。こんな昼間から歓楽街に何しに来たのかしら」
薄着を着た嬢であるお姉さんが話しかけてきた。
化粧をしていなくとも、その美しさは健在。
そして業務時間ではないのにも拘わらず、妖艶な空気を纏っている。
「を探しに来たんだ。信用出来る仲間が欲しくてな」
「そういうことね。それなら昼間から歓楽街に来るのも納得ね。でも、奴隷を買うにはそれなりにお金が必要よ。坊やは奴隷を買えるだけのお金は持ってるの?」
「あぁ、ちゃんと持ってるよ。お姉さんに情報料を渡せるぐらいには」
「あらそうなの? ……なら、良いところを教えてあげるわ」
お姉さんはヤドラスで一番の奴隷館をティールに教えた。
ティールが本当にそれ相応の金を持っているのかは分からなかったが、なんとなく目の前の子供はお金を持っていると思った。
(もしかしたら貴族の令息がお忍びで来てるのかしら?)
ティールが歓楽街に来ても慣れた様子を見て、その可能性が無きにしも非ずかと嬢は思ったが、事実は異なる。
目の前の少年は貴族の令息ではなく、規格外な実力とギフトを持った平民だった。
「ありがとな。はい、情報料」
奴隷館の場所を教えてもらった料金として、ティールはお姉さんに銀貨十枚を渡した。
「ふふ、本当に坊やはお金持ちのようね」
「これでも一応稼いでるからな。それじゃ」
歓楽街は昼間だからといって。厄介なゴロツキがいないわけではない。
だが、ティールは厄介な連中に絡まれるのを避ける為に戦意を放ち、好戦的な笑みを浮かべながら教えてもらった道を進む。
歓楽街に来るような年齢ではないティールを見て絡み、有り金や身に着けている道具を全て奪おうと考えた馬鹿もいたが、子供が放つような戦意ではない強烈な雰囲気を持つティールに怯え、後ずさる。
結局面倒な輩が絡んでくることはなく、ティールは無事にヤドラスで一番の奴隷館の前に到着できた。
「……でか」
お姉さんからヤドラスで一番の奴隷館とは聞いていた。
だが、その店がここまで大きいとは全く予想していなかった。
(入り口に警備の兵までいるし……色々と期待出来そうだな)
だが、このままではおそらく弾き返されてしまうだろうと思い、ティールは財布から白金貨を手で遊びながら入口に向かった。
護衛の兵の内、一人が鑑定のスキルを持っており、ティールの手にある白金貨を即座に調べた。
(本物か。もしかしたら貴族の令息がお忍びで来ているのかもしれないな)
正体は違うが、客であることに変わりはない。
警備の兵がティールの入店を遮ることはなかった。
「……外装も凄かったが、内装も凄いな」
貴族の屋敷なのかと錯覚するが、ここは奴隷館。
内装の凄さに驚きながらも、ティールはゆっくり店員が立っているカウンターへと向かった。
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