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Ⅳ 魔王の娘
エピローグ:革命前夜
しおりを挟む「エイジよ、どうであったか? アストラス山脈の調査は」
「いやはや~、大! 収! 穫‼︎ でした」
ベリアルはレイエルピナとの登山デートの成果の方を期待していたのだが、エイジの興奮のベクトルが違うことで察する。このテンションは、今まで何度も見てきたアレの方だ。
「どうやら、熱意は復活してくれたようだな。よかったよかった」
取り敢えずそうは言っておくが、エイジの、親に自慢したくて堪らなそうな、子供のようなキラキラした目が訴えてくる。早く訊いて、と。
「ふむ、随分と興奮しているようだな。何か、あったのか?」
仮にもエイジは一国を背負う宰相。もう少し落ち着いて欲しいものだが、この若さだから仕方あるまいと、ベリアルは甘い。その代わり、至極落ち着いて問う。
「ええ。この調査で、すごいことを発見してしまいましてね、フフフ……とんでもないことを思いついてしまいましたよ!」
「この国の、未来のことか?」
「ええ、ええ! そうですとも!」
今すぐにでも話したそうな様子である。だが、今この自分一人で彼の熱を受け止められるとも思えない。聞きたいのは山々だが、上司として、ここはひとつ彼を落ち着ける。
「わかった。その様子を見るに、期待できることなのだろう。だが、今日はもう遅い。今晩の内に皆に通告しておく。故に翌日の会議まで待て。その内に、お前の中で何を話すかまとめておくのだぞ」
「はっ、承知しました」
ベリアルの冷静さにあてられて、エイジも少しばかり落ち着きを取り戻す。とはいえ、そう内に燃え滾る炎は衰えぬ。
「待っていろ。このオレが、この国に革命をもたらしてやる‼︎」
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