88 / 236
Ⅲ 帝魔戦争
2節 戦争準備 其の一 ①
しおりを挟む
会議が終わると、各幹部は散開、それぞれが統括する部署での作業が開始される。その手腕は流石のものであり、即座に戦争に向けた仕事が開始される。会議の翌日にもなれば、それぞれの部署はフル稼働に至っていた。
そして宰相はというと__
「やあみんな! 戦争が始まるぞ!」
執務室の扉を開け、開口一番物騒なことを宣言した。突拍子のないことに、因果を何も知らないメンバーはポカンとしている。
「魔王国はこれからジグラド帝国と戦争を始める。今日からその準備期間に入った」
言いたいことはわかった。でも、なんでそうなるのかわからない。そんな皆に詳細をかくかくしかじか。そうして漸く理解が追いついた。
「ああそうそう、君たちの役割だけど、今回はお留守番、戦場に出ることはないよ。ただ、戦前戦後で活動が活発になるから仕事増えるよーってだけ。それに、オレこれからいろんな部署のところに行って情報伝達したり、指示出ししなきゃいけないから、滅茶苦茶多忙になるし、この部屋には多分そんなにいないから、そこんとこよろしく。では早速だが用事があるので、さらば!」
そうして一方的に情報を捲し立てると、返事や質問を待たぬまま、秘書も置いてそのままどこかに行こうとしてしまう。
「おやすみなさいますの?」
「いや、その余裕は無さそうなんだな」
「お供いたしましょうか」
「いや、必要ない。ここに残って、オレの代わりに対応を。大体のことは、一緒に作ったその資料にあるはずだからその通りに」
「承知しました」
そんな彼に置いていかれまいと、健気についてきた秘書たち。そして指示を受けると、忠実に実行し始める。
それにちょっとした申し訳なさを感じながらも、エイジはその場を離れる。向かう先は倉庫階。身辺整理と必要なものの回収、それから兵站の者達に具体的な指示を出すための応援だ。
その翌日、宰相の足取りは司令室、レイヴンの元へと向かっていた。昨日発表した作戦、その詰めを行うためだ。
「よう、やってるか?」
レイヴンの執務室にはありとあらゆる魔族が出たり入ったりしている。少数精鋭たる統括に比べると人の動きが圧倒的に多い。だがエイジが入室した瞬間、大体の魔族は動きを止めた。自分の用件より宰相の要件の方が大事だ、と思ってくれたのだろうか。
「おお、エイジか。戦略については、昨日時間がある時はずっと考えていたからな、大方の疑問点については纏めてある」
「おお、流石だな」
「だが、編成に関してはあんまり進んでいないな。モルガンと協議し、案を立ててみたが……見て分かる通り、一人で処理するには規模が大き過ぎて無理だ。それに、まずどこから手をつけるか悩んでいる」
資料をややぶっきらぼうに放る。その面には、名前表がびっしり書き込まれていた。
「という訳で相談事が山ほどある。時間取れるか?」
「ああ、いいよ。今日と明日ぐらいなら丸ごと費やせる」
「よし。では先に、戦略を決めてしまおう。十面埋伏の計、だったな。つまり十の部隊が必要だが、それの役割分担に加え、出現順番についても先に決めてしまおう。それに伴って分配していけば効率がいい」
「ああ、そうだな。じゃあ、早速始めるか。ある程度オレの中では形になっている」
「ほう。では聞かせてくれ」
周囲の魔族は完全に捌けて、会議に集中できる環境になった。レイヴンの机を挟んで向かい側に、エイジは椅子を取り出して座ると話し始めた。
「今考えている大体の作戦だけど、大枠としては夜闇に紛れて部隊を隠蔽しながら帝都に接近、明け方に奇襲を仕掛ける。帝国の北東部が一番近いから、ここを正面に定める」
「そうか……ああ少し待ってくれ、地図を持ってこよう。以前帝国周辺の地図が作られたことがあったはずだ」
「いや、その必要はない」
エイジは地図を取り出し広げる。
「はいこれ。部下に頼んで手に入れた帝都周辺の地図」
「なっ……持っていたのかよ」
「ああ。こうなることは、一ヶ月前にはわかっていたからな」
あまりの周到さに、驚きを通り越し呆れ気味にすら見える表情のレイヴンである。
「この戦争が一つのターニングポイントだからな、今までそれに向けてずっと考えてきた。逆に言うと、それ以降のことはあんまり考えてない」
軽薄に笑うエイジに表情一変、不安げになっている。
「ううん……それはそれとして。どうする。この辺りは平坦な地形だ。暗くとも気付かれず接近するのは容易ではないし、付近で待機するとなるとその比ではないが、策はあるのか?」
「レイヴンなら、どう考える?」
「俺なら、隠し通すことは諦める。夜闇に紛れて接近するところは同じだが、陽動をあえて目立たせ開戦、その隙に伏兵が接近する。つまり明け方まで待たず一気に叩く。夜襲だな」
「確かに……魔族は夜に強い者が多いからな、合理的だ。だが……夜は何かと都合が悪い」
「と、いうと?」
「日が暮れてから行動するが、今は初夏だ、夜が短い。その短時間に部隊の展開だけでなく、その他の仕込みをする時間があるかどうか。加えて、相手が陽動に引っかかってくれねばならない。夜は対応が遅くなるからな。敵が集まるのを待っていては陽動隊が削られてしまうし、早まって伏兵を展開すれば散開している部隊が対応してしまう」
「なるほど、夜中での奇襲にもまた難点があると……」
「一応朝方を想定して器材の用意を進めてはいるが。夜半にできるならその方がいいかもしれない。まあその辺りは委ねるよ」
定まりきらず、一抹の不安が残っているがこの話はここでひと段落。次の話に移っていった。
「攻める順番、部隊編成についてはどうだ」
「帝国の正面の陽動隊は魔王様に率いてもらおう。構成については自由、とにかく頭数だ。次が南西、裏側からだ。最初の伏兵でいかに敵を撹乱できるかが大切だからな。そして北西つまり右側ときて、南東左方面へと移っていく。この三つの部隊は幹部に率いてもらおう。あとは上空からエレンが奇襲。残りはそれぞれ部隊長を決めて追撃してもらう」
「そうか……では三つの部隊はノクト、俺、エリゴスが率いるとして、残りはこちらで選出しよう。で、肝心のお前はどうする」
「オレの役割は街中に侵入し、全体を千里眼を併用しつつ俯瞰して合図を出す。これほど大きな作戦だ、各隊の足並みが揃わないと大きな効果は発揮できない。合図役が必要だろう? それに帝都の周りに広く展開するんだ、情報は足では遅すぎるし、戦場を俯瞰できる者もそうはいないだろ」
「エレン達も俯瞰できそうだが……いや、お前以上の適役は確かにいないな」
「残る幹部ゴグは、退却ルート確保のため後方待機だ。ああそれと、十面とは言ったが、そこまで十面に拘る必要はなくて。最低七あれば十分だと思うから。一応、これで決まってることは以上」
エイジは一通り話し終え、レイヴンもまた欲しい情報は手に入ったとばかりに満足気。
「よし、大枠はこれで決まりだな」
「いいんじゃないか? よし、では俺はまた役割分担をしてみよう。接近する手筈についてはお前に任せる。目処がついたら伝えてくれ。次は、しっかり予約を取ってな」
「はい……いきなり押しかけてすみませんでした」
戦略の大枠は定まった。あとの細かい部分や人員の選定についてはレイヴンがやってくれるだろう。よって今宰相がやるべきことは各署の進捗度合いを調べ、その援護に回ること。あとは将軍に頼まれた隠密行動のための策を練ることだ。
「ふむ……魔導院に頼み込んでいたあの兵装の確認ついでに新兵器の案を出すか。レイヴンは忙しそうだから……代わりに魔王様に聞いてもらおうかね」
そして宰相はというと__
「やあみんな! 戦争が始まるぞ!」
執務室の扉を開け、開口一番物騒なことを宣言した。突拍子のないことに、因果を何も知らないメンバーはポカンとしている。
「魔王国はこれからジグラド帝国と戦争を始める。今日からその準備期間に入った」
言いたいことはわかった。でも、なんでそうなるのかわからない。そんな皆に詳細をかくかくしかじか。そうして漸く理解が追いついた。
「ああそうそう、君たちの役割だけど、今回はお留守番、戦場に出ることはないよ。ただ、戦前戦後で活動が活発になるから仕事増えるよーってだけ。それに、オレこれからいろんな部署のところに行って情報伝達したり、指示出ししなきゃいけないから、滅茶苦茶多忙になるし、この部屋には多分そんなにいないから、そこんとこよろしく。では早速だが用事があるので、さらば!」
そうして一方的に情報を捲し立てると、返事や質問を待たぬまま、秘書も置いてそのままどこかに行こうとしてしまう。
「おやすみなさいますの?」
「いや、その余裕は無さそうなんだな」
「お供いたしましょうか」
「いや、必要ない。ここに残って、オレの代わりに対応を。大体のことは、一緒に作ったその資料にあるはずだからその通りに」
「承知しました」
そんな彼に置いていかれまいと、健気についてきた秘書たち。そして指示を受けると、忠実に実行し始める。
それにちょっとした申し訳なさを感じながらも、エイジはその場を離れる。向かう先は倉庫階。身辺整理と必要なものの回収、それから兵站の者達に具体的な指示を出すための応援だ。
その翌日、宰相の足取りは司令室、レイヴンの元へと向かっていた。昨日発表した作戦、その詰めを行うためだ。
「よう、やってるか?」
レイヴンの執務室にはありとあらゆる魔族が出たり入ったりしている。少数精鋭たる統括に比べると人の動きが圧倒的に多い。だがエイジが入室した瞬間、大体の魔族は動きを止めた。自分の用件より宰相の要件の方が大事だ、と思ってくれたのだろうか。
「おお、エイジか。戦略については、昨日時間がある時はずっと考えていたからな、大方の疑問点については纏めてある」
「おお、流石だな」
「だが、編成に関してはあんまり進んでいないな。モルガンと協議し、案を立ててみたが……見て分かる通り、一人で処理するには規模が大き過ぎて無理だ。それに、まずどこから手をつけるか悩んでいる」
資料をややぶっきらぼうに放る。その面には、名前表がびっしり書き込まれていた。
「という訳で相談事が山ほどある。時間取れるか?」
「ああ、いいよ。今日と明日ぐらいなら丸ごと費やせる」
「よし。では先に、戦略を決めてしまおう。十面埋伏の計、だったな。つまり十の部隊が必要だが、それの役割分担に加え、出現順番についても先に決めてしまおう。それに伴って分配していけば効率がいい」
「ああ、そうだな。じゃあ、早速始めるか。ある程度オレの中では形になっている」
「ほう。では聞かせてくれ」
周囲の魔族は完全に捌けて、会議に集中できる環境になった。レイヴンの机を挟んで向かい側に、エイジは椅子を取り出して座ると話し始めた。
「今考えている大体の作戦だけど、大枠としては夜闇に紛れて部隊を隠蔽しながら帝都に接近、明け方に奇襲を仕掛ける。帝国の北東部が一番近いから、ここを正面に定める」
「そうか……ああ少し待ってくれ、地図を持ってこよう。以前帝国周辺の地図が作られたことがあったはずだ」
「いや、その必要はない」
エイジは地図を取り出し広げる。
「はいこれ。部下に頼んで手に入れた帝都周辺の地図」
「なっ……持っていたのかよ」
「ああ。こうなることは、一ヶ月前にはわかっていたからな」
あまりの周到さに、驚きを通り越し呆れ気味にすら見える表情のレイヴンである。
「この戦争が一つのターニングポイントだからな、今までそれに向けてずっと考えてきた。逆に言うと、それ以降のことはあんまり考えてない」
軽薄に笑うエイジに表情一変、不安げになっている。
「ううん……それはそれとして。どうする。この辺りは平坦な地形だ。暗くとも気付かれず接近するのは容易ではないし、付近で待機するとなるとその比ではないが、策はあるのか?」
「レイヴンなら、どう考える?」
「俺なら、隠し通すことは諦める。夜闇に紛れて接近するところは同じだが、陽動をあえて目立たせ開戦、その隙に伏兵が接近する。つまり明け方まで待たず一気に叩く。夜襲だな」
「確かに……魔族は夜に強い者が多いからな、合理的だ。だが……夜は何かと都合が悪い」
「と、いうと?」
「日が暮れてから行動するが、今は初夏だ、夜が短い。その短時間に部隊の展開だけでなく、その他の仕込みをする時間があるかどうか。加えて、相手が陽動に引っかかってくれねばならない。夜は対応が遅くなるからな。敵が集まるのを待っていては陽動隊が削られてしまうし、早まって伏兵を展開すれば散開している部隊が対応してしまう」
「なるほど、夜中での奇襲にもまた難点があると……」
「一応朝方を想定して器材の用意を進めてはいるが。夜半にできるならその方がいいかもしれない。まあその辺りは委ねるよ」
定まりきらず、一抹の不安が残っているがこの話はここでひと段落。次の話に移っていった。
「攻める順番、部隊編成についてはどうだ」
「帝国の正面の陽動隊は魔王様に率いてもらおう。構成については自由、とにかく頭数だ。次が南西、裏側からだ。最初の伏兵でいかに敵を撹乱できるかが大切だからな。そして北西つまり右側ときて、南東左方面へと移っていく。この三つの部隊は幹部に率いてもらおう。あとは上空からエレンが奇襲。残りはそれぞれ部隊長を決めて追撃してもらう」
「そうか……では三つの部隊はノクト、俺、エリゴスが率いるとして、残りはこちらで選出しよう。で、肝心のお前はどうする」
「オレの役割は街中に侵入し、全体を千里眼を併用しつつ俯瞰して合図を出す。これほど大きな作戦だ、各隊の足並みが揃わないと大きな効果は発揮できない。合図役が必要だろう? それに帝都の周りに広く展開するんだ、情報は足では遅すぎるし、戦場を俯瞰できる者もそうはいないだろ」
「エレン達も俯瞰できそうだが……いや、お前以上の適役は確かにいないな」
「残る幹部ゴグは、退却ルート確保のため後方待機だ。ああそれと、十面とは言ったが、そこまで十面に拘る必要はなくて。最低七あれば十分だと思うから。一応、これで決まってることは以上」
エイジは一通り話し終え、レイヴンもまた欲しい情報は手に入ったとばかりに満足気。
「よし、大枠はこれで決まりだな」
「いいんじゃないか? よし、では俺はまた役割分担をしてみよう。接近する手筈についてはお前に任せる。目処がついたら伝えてくれ。次は、しっかり予約を取ってな」
「はい……いきなり押しかけてすみませんでした」
戦略の大枠は定まった。あとの細かい部分や人員の選定についてはレイヴンがやってくれるだろう。よって今宰相がやるべきことは各署の進捗度合いを調べ、その援護に回ること。あとは将軍に頼まれた隠密行動のための策を練ることだ。
「ふむ……魔導院に頼み込んでいたあの兵装の確認ついでに新兵器の案を出すか。レイヴンは忙しそうだから……代わりに魔王様に聞いてもらおうかね」
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生勇者は異世界でもゲーム気分
yahimoti
ファンタジー
ゲーム狂の中学2年生川木内海(カワキ ウツミ)は勇者として異世界に召喚された。
ところが勇者として転生したのに体は幼児だしレベルは1 。
転生特典はないんか?
だけどウツミは「ゲームは初めっからズルなしで遊び尽くすもんさ」ととっても前向き。
王宮からお世話役の任務を与えられた女騎士ミュツスと勇者の孫だと言うユリアやテルファお嬢様とのなんかわからないコメディ。
まあ遊び尽くしている内に経験値が上がって強くなるさ。
とりあえずゲームの世界(異世界)を楽しむぞー。
って感じ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
勇者(代理)のお仕事……ですよねコレ?
高菜あやめ
恋愛
実家の提灯屋を継ぐつもりだったのに、家出した兄の帰還によって居場所を失ってしまったヨリ。仕方なく職を求めて王都へやってきたら、偶然出会ったお城の王子様にスカウトされて『勇者(代理)』の仕事をすることに! 仕事仲間であるルイーズ王子の傍若無人ぶりに最初は戸惑っていたが、ある夜倒れていたルイーズを介抱したことをきっかけに次第に打ち解けていく……異世界オフィスラブ?ストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
最初から最後まで
相沢蒼依
恋愛
※メリバ作品になりますので、そういうの無理な方はリターンお願いします!
☆世界観は、どこかの異世界みたいな感じで捉えてほしいです。時間軸は現代風ですが、いろんなことが曖昧ミーな状態です。生温かい目で閲覧していただけると幸いです。
登場人物
☆砂漠と緑地の狭間でジュース売りをしている青年、ハサン。美少年の手で搾りたてのジュースが飲めることを売りにするために、幼いころから強制的に仕事を手伝わされた経緯があり、両親を激しく憎んでいる。ぱっと見、女性にも見える自分の容姿に嫌悪感を抱いている。浅黒い肌に黒髪、紫色の瞳の17歳。
♡生まれつきアルビノで、すべての色素が薄く、白金髪で瞳がオッドアイのマリカ、21歳。それなりに裕福な家に生まれたが、見た目のせいで婚期を逃していた。ところがそれを気にいった王族の目に留まり、8番目の妾としてマリカを迎え入れることが決まる。輿入れの日までの僅かな時間を使って、自由を謳歌している最中に、ハサンと出逢う。自分にはないハサンの持つ色に、マリカは次第に惹かれていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
オフィーリアへの献歌
夢 浮橋(ゆめの/うきはし)
恋愛
「成仏したいの。そのために弔いの歌を作ってほしい」
俺はしがないインディーズバンド所属の冴えない貧乏ギタリスト。
ある日部屋に俺のファンだという女の子……の幽霊が現れて、俺に彼女のためのオリジナルソングを作れと言ってきた。
祟られたら怖いな、という消極的な理由で彼女の願いを叶えることにしたけど、即興の歌じゃ満足してもらえない。そのうえ幽霊のさらなる要望でデートをするはめに。
けれど振り回されたのも最初のうち。彼女と一緒にあちこち出掛けるうちに、俺はこの関係が楽しくなってしまった。
――これは俺の、そんな短くて忘れられない悪夢の話。
*売れないバンドマンと幽霊女子の、ほのぼのラブストーリー。後半ちょっと切ない。
*書いてる人間には音楽・芸能知識は微塵もありませんすいません。
*小説家になろうから出張中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる