魔王国の宰相

佐伯アルト

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I 宰相始動

9節 モルガンの誘惑 ① (R18)

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 勅命を受けた日の夜、エイジは自室のベッドの上で考え事をしていた。命を受けた会合が解散した後、翌日の任務に備えて装備を整え、ベリアルといくつか相談をして、あとは寝るだけだった。

 さて、彼の考えていることであるが、それは主に今までのことと、明日のことについて。今までのことを感慨深く思い出す。異世界転移して魔王の御前に投げ出され、それから勉強し鍛錬し努力して、遂にここまできた。宰相という地位は目前である。

 このベッドは、他の一般兵達に比べて格別に上品な方だ。ベッド一つとっても別格の好待遇をしてくれているということは、それ程に期待されているのだろう。


 実を言えば、彼は魔王ベリアルに惚れ込んでいた。正に理想の主君なのだ。我の強い魔族達を束ねるカリスマ性、他を圧倒し支配するに足る武、物事を臨機応変かつ柔軟に判断する聡明さ、先見の明や鑑識眼。そして何より、自分を認めてくれた事だ。前の世界では、彼は別段特別な人間ではなく、誰かに認められる事が殆ど無かった。だから、認めてくれるだけで彼にとっては主君として仰ぐには十分だったのだ。


 しかし、そこで彼は違和感に気づく。なんか甘い匂いがするのだ。

__何の匂いだ、これ? 嗅いだことがあるような……__

「……っ!」

 突如、足元がモゾモゾし始めた。気味が悪く、背や脚に何かゾワゾワ走るような感じがする。それは少しずつ上ってきて、そこから出てきたのは__

「こ~んば~んわァ~」

 モルガンだった。

「うっふふ、慌てちゃって、かわいいわァ」

 ホラー展開かと思えば、自分のベッドに女性が入ってきたという初めての体験。状況に頭が追い付かずアワアワしているエイジを、覆い被さったモルガンが妖しい顔つきで見下ろす。

「な、何の用だ⁉︎」

 緊張で声が上擦る。そんな彼の様子を見たモルガンは、獲物を見つけた捕食者の如く舌舐めずりをする。

「もちろん、サキュバスとしてのお仕事をしにきましたァ」
「サキュバスとしての仕事⁉︎ となるとやることは……一つしか………てことはつまり」

「ええ、エッチなことをしに来ましたァ。ウフッ」
「や、やっぱりか……」

「じゃあ、早速始めるわねェ。んっ」

 固まっていると、突然唇が塞がれた。彼女がサキュバスだからなのか、それとも自分が初めてだからなのかわからないが、脳が溶ける感じがする。さっきまで考えていた将来への不安だとか、そんなものはどこかへ消え失せてしまった。

「ウフフ……ごめんねぇ? もう、ワタシもォ、ガマンできないの」
「……もしかして、今まで朝起きたらスッキリしてたのは」
「ええ、ワタシの仕業よ。アナタの精力、とっても美味しかったわァ。さてと、ホンモノは、どうなのかしらねェ」

 モルガンは妖しく微笑みながら、彼の股間に手を伸ばす。

「ヘェ……狼狽えてるけど、下は万全じゃない」

 胸に豊かな双丘が押し付けられて、甘い声で囁き、蠱惑的な仕草をしているのだ。そんなことをされれば__

「そりゃ、男なら誰でもそうなるだろう!」
「あらあら、素直なのねェ。ホント、かわいい子。そういう反応されると、コッチまで嬉しくなっちゃうわァ」

 少し驚き、そして愛おしそうに見つめる。

「じゃあ、早速始めようかしらァ。おっと、抵抗しないでね?」

 そう言うと、サキュバスは毛布を捲り上げて馬乗りに。彼を魔術で拘束し、服を剥ぎ取りにかかった。今彼の着ている服は、いつもの装束ではなく寝巻きなため、狼狽えているうちにあっという間に脱がされてしまった。

「ふゥん……やっぱり思った通りの、イイカラダね」

 最近の鍛錬で鍛えられ、引き締まったエイジの体。その筋肉の筋をなぞるように撫で回す。それは獲物を品定めしているようで……そして、どうやら御眼鏡に適ったようだ。その手つき、表情は、うっとりしたようなものになり。

 そして遂に、最後の衣服が除かれる。

「…………あらァ、けっこう大きいのね。今まで見てきた中でも、なかなかの……」

 突然のことに何もできない。モルガンは感心したように物色すると、顔を近づける。

「すんすん……匂いも、なかなかクるわァ。さて、じゃあ早速……」

 ペニスに手を伸ばし、優しく擦り始める。

「フフッ、硬くて、あっつうい……。これ、好きかもォ……。さて、これならどうかしら?」

 そう言うと、胸の谷間に男根を挟み込み、擦り始めた。襲われている男は、手が縛られているため動けない。解除しようにも、快感で頭がうまく働かない。

「ウフフ、ビクビクして、もっと大きくなったわねェ……気持ちいいかしら? さて、もっと攻めてア・ゲ・ル。ンチュ……レロ……」

 裏筋を舐め上げ、亀頭を撫で回し、舌先で鈴口を責め立てる。

「くぅ……うぁ……」

 今まで感じたことのない刺激で思考が麻痺し、体が震え、息が漏れる。これがサキュバスの手技か。

「どう? ワタシのおっぱい、張りがあるのに柔らかくて、イイでしょう? 舌も、気持ちいいかしら? ほら、責めてあげると、汁がどんどん溢れてくる。レロ……うん、美味しいわァ。こっちまで興奮してきちゃう。あっ、ビクッて、はねたァ……」

 口と胸を巧みに使い、強い快楽を送り込んでくるモルガン。彼が感じている様子を見て、攻めがさらに激しさを増す。

「ねぇ、いいのかしらァ? アナタ、レイプされてるのよ?」
「くっ……ふっ、逆レイプは割と男の夢だったりするんだぞ。美女が自分を求めてくれるってのは、嬉しいからな。それに、この程度の拘束、オレなら簡単に外せる。のに、抵抗しないってことは……察せよな」

 刺激に顔を歪ませながらも、余裕ありげに笑んで見せた。そして、彼が喜んでくれているこということを知ったモルガンは一時ポカンと固まって……彼女もまた、嬉しそうな表情をする。

「そう。ってことはァ、遠慮はいらないわねェ!」

 早く、強く。しかし苦しくない絶妙な加減で。下と乳房を使った責めはさらにエスカレートし、耐え難き大きな快楽が上ってくる。

「……もう、限界だっ……! くっ、うぁっ!」
「ひゃっ⁉︎」

 彼が体を震わせると、ソレの先端から汁が迸り、モルガンを穢した。

「フフッ、いっぱい出たわねぇ……。ワタシも責めてるだけなのに、感じちゃったァ……」

 白濁液が顔や胸にかかった淫猥な姿で、妖艶な笑みを浮かべる。そしてもう一度彼の竿を咥えては、一滴も余すまいといった感じで舐め取り、吸い上げた。その独特な感覚に、萎みかけた逸物は、再び熱さを取り戻す。

「ああ、いいわァ。濃くて、とっても美味しい……」

 我慢できなくなってしまったのか、恍惚とした表情で自らの陰部を擦っている。そしてもう片手で身体にかかった精液までも掬い、ほぼ全てを飲み干した。

「……フフフ、本番はこれから。萎えられたら困っちゃうわァ」

 そして、彼の棒に手を伸ばす。その華奢な手が触れられた瞬間、熱い何かが流れ込み、再び硬く怒張した。

「魔力を流し込んで、活性化させたの。さて、準備はできたわねェ?」

 自身も衣服の下をずらし、秘部を曝け出すと、彼に覆い被さる。それはまるで、蜘蛛の捕食のよう。

 そして、手を添えて導くと、槍の穂先を宛てがう。お互いが触れ合った瞬間、肉壺から粘性のある液体が滴った。もう待ち切れず、早く食べてしまいたいと言わんばかりに、ダラダラと涎を垂らす。それはなんとも淫靡な光景だった。

「じゃあ、挿れるわよォ」

 モルガンはゆっくりと腰を下ろし、エイジを受け入れていく。遂にこの瞬間が! と思ったのも束の間、何かを引き裂く様な感触に驚く。

「イッ……ツゥ…」
「はぁ⁉︎ ……お前、処女だったのか!」

 この反応にまさかと思い、つい尋ねてしまう。

「うっ、フフ。バレ、ちゃったァ……」

 モルガンは破瓜はかの痛みに顔を歪ませ、一筋の涙を流していた。そして、ちょっと恥ずかしそうにもしている。

__なんてこった……痴女に為す術なく、あっさり童貞を奪われるかと思ったら……こんな事が__

 快感より先に、困惑が襲いかかって来た。同時に、疑問も生まれる。

「い、今までどうやって……」
「ふふっ、サキュバスとは本来、夢を見せて精気を吸い取るのよォ」

 サキュバスは別称夢魔と呼ばれている。夢では経験あっても、リアルでは初めてという事もあるのかもしれない。というより、実例が今跨っているのだが。

「うぅ……なんで、アナタはそんなに冷静なの? こっちはもう、大変なのにぃ……」

 この期に及んで色々考え始めてしまうエイジに向け、不満そうな声を出すモルガン。ようやく根本まで咥え込めたようだが、少し苦しそうに体を震わせていた。

「……悪かったよ。ところで、なんで初めてをオレに?」
「そ・れ・は……んうっ、アナタが気になるからよ。見どころがいっぱいあるもの。今後ともご贔屓にね、宰相クン。あっ……」

 語尾が、艶っぽく作られた感じじゃなくなった。彼女も余裕がない様子。違和感は快感に変わり、体をくねくね動かすのも、それをなんとか往なそうとしているようだった。

「んっ、慣れてきたわ……。じゃあ、動くわね」

 そう言うと、彼女は騎乗位でゆっくり腰を動かし始めた。処女だと判ると、その動きのところどころは、ぎこちなく感じられる。

 だが、そんなことを気にしている余裕はなかった。さっきまで処女だった膣が、キツく彼のイチモツを扱き上げる。自慰とは全く違う未知の感覚。蠢く熱いヒダが、挿れているものが生きている、ということを如実に伝えてくる。この感覚で思考が蕩けて、まともな判断が出来なくなってゆく。

「くっ……あっ…」

 エイジも思わず声が漏れてしまう。今までの自慰では、そんなことなどなかったのに。自分は快楽に幾らか強いだろうと思っていたが、決してそんなことはないらしい。

「うふっ、ちゃんと感じてくれてるのね、よかった…」

 彼女も安堵したようで、力んでキツすぎた膣が少し緩み、丁度良い感触になる。

 やはり処女とは言えど、夢で知識や経験はあったからか、モルガンの腰使いは瞬く間に上達し、気を抜くとすぐに果ててしまいそうになる。

「ウフフ、イクの必死に我慢してる顔、カワイイわァ……アンッ…」

 しかし、感じているのは彼だけではない。モルガンの顔も快楽で蕩け始め、抽送の度に喘ぎ声を上げている。

「これなら、どお? 奥、グリグリって……」
「うくっ、ああっ……」

 腰を落として前後左右に動かし、程よく力を込めて締め上げたりと、緩急のある動きで攻め立てる。あまりの気持ち良さに情けない声が漏れ、手につい力が篭る。しかしやられっぱなしも癪だとばかりに、彼女の上下に合わせ突き上げてやる。

「ひやぁん!」

 うまくタイミングが合い、先が最奥に届く。するとモルガンは体を大きく震わせ、大きな声を出した。ナカもビクビクと痙攣し、搾るような動きでうねる。

「ふっ、ふふ。どうした? 余裕かましてたくせに、イッちゃったのか?」

 余裕が出てきたのか、エイジも息を乱していながらも、不敵に笑う。拘束はいつの間にか解いており、体を好きに動かせるようになったことも余裕の一因か。

「んっ、やって……くれたわねぇ…? いいわぁ、サキュバスの本気、味わせてアゲル!」

 リードしているのは自分だ。それをわからせようとしているのか、モルガンがさらに激しく腰を動かし責め立てる。

「ぐっ……くぁ…」
「それっ、それっ……! イッちゃえ! んっ……きゃあん‼︎」

 エイジも相手の腰を掴み、突き上げてペースを乱してやる。そして行為はどんどん激しくなり、タイミングだとかペースなど、どうでも良くなっていく。互いを求める二人は、共にどんどんと昂っていき、そして__

「くぁ……もう、出る!」
「やっ…あっ、あっ、あぁっ……イっちゃう、イク、イク、イクゥゥ! ……ッ‼︎ あっ、あああぁぁぁぁ…」

 エイジが一際強く突き上げると、体を震わす。それとほぼ同時に、モルガンも嬌声を上げつつ、身体をピンッと反らして、引き攣ったようにビクつく。そしてその緊張が解けると、脱力してエイジの方へ倒れ込む。

「ハァ、ハァ、ハァ……。ッ、ナカにぃ、いっぱぁい……んんっ…」

 二人とも息を荒げ、汗だくの状態で抱き合う。余韻に浸り、夢見心地なまま、どちらからともなくキスをする。

「……っと! お、おい、出しちまったが……大丈夫か?」

 つい耐えきれず、何の遠慮もなく中に出してしまったが、大丈夫だろうか。不安になり、慌てて問うた。

「ええ、ちゃんと避妊の魔術、かけといたからぁ。それに、魔族って子供がデキにくいのよねぇ」
「そうか、よかった。異世界に来てすぐにパパになるのは、流石に嫌だからな」

「えぇ~、ダメなのぉ?」
「だって、責任取れないじゃないか!」

 少し残念そうにして揶揄からかうモルガンに、エイジはタジタジだ。

「まぁ、それはともかく。ねぇ、気づいたことがあるのぉ」
「ん? なんだ?」

「ナカ出しされると……つまり、アナタの精液を摂取するとぉ、魔力が強くなるみたいよぉ~?」
「なんだそのエロゲみたいな設定は⁉︎」

 ついツッコミを入れるが、モルガンはピンときていない様子。当然ではあるが。

「どうしてそんなことが?」
「アナタも知ってるでしょうけど。生命の誕生は魔術的な観点では、無から有を生み出す行為だから、とても高等なことなの。その生命の種である精子を、魔力に変換したら、どうなるかしらぁ?」

「それは……莫大な魔力になって、吸収されて……活性化されたり、強まったりするってことか?」
「ンフフ、そーゆーこと」

「なるほど。なら筋は通るか?」
「でも、それだけじゃ考えられないくらいの効果なのよねぇ。もしかしたら、アナタのは最上級なのかもしれないわァ」

 ところで、さっきからどうにもモルガンの様子がおかしい。むず痒そうに身体をくねらせている。それにエイジが気づいた、ことにモルガンが気づくと、体を起こして、胸を彼に向けて差し出す。

「ねえ、胸がおかしいの……触って?」

 さっきまでの柔らかそうな乳房と違い、今は張っているように見える。軽く揉んでみると__

「ひゃうん⁉︎」

 先端から白濁液が噴き出た。刺激が加えられる度に勢いよく放たれる汁は、エイジの体を瞬く間に白く染めていく。

「これは……母乳?」
「あら、こんなところまで活性化されちゃったのかしらぁ? ねえ、飲んでくれる?」

 恥ずかしそうに、それでいて気持ち良さそうに胸から白濁液を噴き出す姿はとても官能的で。彼は我慢できなくなって、つい胸に吸いつく。

「あんっ……お味は、どうかしら?」
「母乳がどういうものなんかはわからねえが……甘くておいしいよ」
「そう、よかったぁ……その、もっと飲んでくれるかしら? 美味しそうに飲んでくれると嬉しいし、ワタシもキモチイイの」

 その求めに応じて、エイジはモルガンの乳首を舐め続ける。左右交互に口を付け、空いた方は指で摘んで搾ってやる。そのちょっとした刺激でも、モルガンの体は善がるようにピクピク跳ねる。そのミルクには、余剰分の魔力を排出しているのか、少なくない魔力が含まれていた。

 しかし、淫魔の乳を飲んでいると、今度はエイジの体が熱く感じられた。もちろん、先程精を吐いて萎んだモノも、硬さを取り戻す。

「あ、おっきくなったァ」

 果てた後も挿入されっぱなしだったのが、自分の中で大きさを取り戻していく。その感覚が気に入ったのか、モルガンは嬉しそうなうっとりした表情
を浮かべる。

「フフッ、かかったわねぇ? サキュバスの体液には、催淫作用があるの。さあ、もっと激しく、まぐわいましょう? 今度は、アナタが攻めてね」

 モルガンはエイジを抱き起こすと、代わりに自らが倒れ込んで下となる。

 彼女の策略によって煽られた情欲には抗い難く、また自分を求め誘惑されては拒めるはずもない。結局そのまま日が昇るまで交わり続け、エイジはほとんど寝られないまま任務に向かうことになったのだった。
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