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47:新しい嫁
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翌月ヴァイオレットは、急に出かけて行ったが、要件はジェームズも知らないようだ。
ヴァイオレットのいない約1週間を、とても心穏やかに楽しくソフィアは過ごした。
ヴァイオレットに遭遇することを気にせずに、思いっきり屋敷内でブライトと遊ぶことが出来たからだ。
だがヴァイオレットの帰宅により、楽しい気持ちは一変する……
婚姻を結んでから初めて、ソフィアはジェームズに呼び出された。
「母上が嫁を見つけて来たらしい」
渋い顔で淡々と言うジェームズに、ソフィアは開いた口が塞がらない。
やっとのことで声を出す。
「……それは一体……」
「ずっと母上好みの顔を探していたらしい。情報が入り、この1週間に実際に会いに行っていたそうだ」
「……」
「ちょうど金に困っていた伯爵家の令嬢らしく、援助を約束して嫁入りも決めて来たと」
「……我が国は、重婚はできないはずです……」
ソフィアはワナワナと震える右手を左手で押さえ、冷静を装う。
「……お前と離縁しろと言われた。子どもも追い出し縁を切れと」
ソフィアは目を見開く。
「……相変わらず簡単に仰いますね……」
人のことを何だと思っているのか、何故このような扱いを受けなければならないのか……
ソフィアは怒りが込み上げてくるのを必死に抑える。
「……ハンナも追い出すと……」
伏せたジェームズの目を見たソフィアは、一気に仲間意識が芽生えて同情の眼差しを向けた。
「旦那様、このままお義母様の言いなりになられるおつもりですか!?」
「……」
ジェームズが黙り込んだその時、部屋の扉がノックされた。
「奥様、大奥様がお呼びです」
その使用人の言葉に、ソフィアとジェームズは目を見合わす。
「俺も一緒に行こう」
「えっ……」
ジェームズがそんなことを言うなんて、ソフィアは意外だった。
それだけ、他人事ではない"自分ごと"なのであろう。
(ハンナさんが絡むと人が変わるわね……。いえ、こちらが本当の旦那様なのかもしれないわ……)
ソフィアはそう思いながら、頷いた。
ヴァイオレットのいない約1週間を、とても心穏やかに楽しくソフィアは過ごした。
ヴァイオレットに遭遇することを気にせずに、思いっきり屋敷内でブライトと遊ぶことが出来たからだ。
だがヴァイオレットの帰宅により、楽しい気持ちは一変する……
婚姻を結んでから初めて、ソフィアはジェームズに呼び出された。
「母上が嫁を見つけて来たらしい」
渋い顔で淡々と言うジェームズに、ソフィアは開いた口が塞がらない。
やっとのことで声を出す。
「……それは一体……」
「ずっと母上好みの顔を探していたらしい。情報が入り、この1週間に実際に会いに行っていたそうだ」
「……」
「ちょうど金に困っていた伯爵家の令嬢らしく、援助を約束して嫁入りも決めて来たと」
「……我が国は、重婚はできないはずです……」
ソフィアはワナワナと震える右手を左手で押さえ、冷静を装う。
「……お前と離縁しろと言われた。子どもも追い出し縁を切れと」
ソフィアは目を見開く。
「……相変わらず簡単に仰いますね……」
人のことを何だと思っているのか、何故このような扱いを受けなければならないのか……
ソフィアは怒りが込み上げてくるのを必死に抑える。
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それだけ、他人事ではない"自分ごと"なのであろう。
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