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28:混乱

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(ああ、まさか本当にジャック様との子どもだなんて……。心の隅ではもしそうだったら嬉しいとは思っていたけれど、実際にそうなら大変だとも思っていたわ。……まさか、本当にそうなるなんて……)

ソフィアは自室で項垂れていた。

(どうしましょう。一刻も早くあの子を見つけないと……。寒さに凍えてないかしら?)

ソフィアは両手を胸の前でギュッと指輪を握り、我が子の無事を祈る。

(何か手掛かりを探さなければ……。でも扉の外には見張りをつけられているし……。ああ、どうしましょう。……ジャック様、助けて……)

産後の疲労残る身体とスッキリしない頭で、ソフィアは頭を抱えるしか出来なかった。


"コンコン"


「奥様、お茶をお持ちしました」

そう言ってマリナが入って来る。
キチっと扉を閉めたことを確認すると、そっとソフィアの座る椅子の前のテーブルへお茶を置く。

「奥様、お話があります」

項垂れたままのソフィアに、マリナは小声で声を掛ける。

「お子様のことです」

"バッ"と勢いよく頭をあげたソフィアは、マリナが今まで見たことのない困り果てた表情をしていた。
マリナはギュッと胸が締め付けられる。

「昨日大奥様の乗る馬車を出したのは、私の幼馴染の御者だったのです。なので、うまく聞き出して来ました。大奥様はギルの町でお子様を連れて馬車を降り、約2時間後に戻られたそうです」

「ギルの町……」

ソフィアは話の内容を理解すると、"バッ"と勢いよく立ち上がった。

「奥様、落ち着いて下さい! 見張りもおりますし、今出掛けるのは無謀です」

今にも走り出しそうなソフィアを、マリナは両手を押さえて制した。

冷静なマリナに、ソフィアも少し冷静になる。

「……そうね。下手をすれば、子どもを移動させられるかもしれないわ。そのようなことになれば、せっかくの情報が台無しになってしまう……」

「はい、その通りです。奥様、策を練りましょう」

ソフィアがジッとマリナを見ていると、マリナは微笑んだ。

「私の案を聞いて下さいますか?」









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