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14:寒い夜に
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「入ってもいいか?」
「はい、大丈夫です!」
入って来たジャックは、もう怒った顔はしていなかった。
いつものジャックの淡々とした穏やかな顔に、ソフィアはホッとする。
ジャックは、ソフィア用に作っておいてくれたスープを出してくれる。
「冷えただろう。飲んで身体の内から温まれ」
「ありがとうございます」
ソフィアがお椀を受け取ると、ふとジャックの視線を感じた。
「どうかしましたか?」
「あっ……いや、髪を下ろしているところを初めて見たから。そんなに長かったのだな」
そう言いバッと目を逸らす。
「あ、ええ。いつもは邪魔なので纏めていました」
ソフィアは、綺麗な金髪が自分の魅力の一つだと知っている。
だから敢えて、ずっと束ねていたのもある。
外見ではなく、ソフィア自身を見て欲しくて……
"ブルッ"
スープを飲み終え一旦温まった身体だったが、夜になり冷え始めると、ソフィアは再び悪寒を感じ出した。
(ああ、寒いわね……毛布も濡れてしまったし、持っている服をかけて今晩は寝るしかないわね……)
ソフィアが寝る支度をしていると、ジャックが飲み物の入った瓶とグラスを持って来た。
「葡萄酒は飲んだことがあるか? 身体が冷え切っていたから、少し酒を飲んで温まると良いかもしれないと思ったのだが……」
「あっ、飲んだことはありませんけど、ずっと興味はありました! 是非いただきたいです!」
元気よく食い付き気味に言うソフィアに、ジャックは笑みをこぼす。
「本当に好奇心旺盛だな」
「次はいつその機会に恵まれるわからないではありませんか! 後で後悔しないように生きているのです!」
ソフィアは照れ隠しに堂々と断言する。
ジャックは一瞬驚いた顔をした後、すぐに破顔した。
「ははっ。俺よりも8つも年下なのに、本当にソフィアはしっかりしているな! その通りだ。人はいつ死ぬかわからない。後悔しないように日々を生きよう! 乾杯!」
初めて酒での乾杯をしたソフィアは、酒をチビチビ飲みながらジャックを見る。
この幸せな時間が少しでも延びるように願いながら。
「はい、大丈夫です!」
入って来たジャックは、もう怒った顔はしていなかった。
いつものジャックの淡々とした穏やかな顔に、ソフィアはホッとする。
ジャックは、ソフィア用に作っておいてくれたスープを出してくれる。
「冷えただろう。飲んで身体の内から温まれ」
「ありがとうございます」
ソフィアがお椀を受け取ると、ふとジャックの視線を感じた。
「どうかしましたか?」
「あっ……いや、髪を下ろしているところを初めて見たから。そんなに長かったのだな」
そう言いバッと目を逸らす。
「あ、ええ。いつもは邪魔なので纏めていました」
ソフィアは、綺麗な金髪が自分の魅力の一つだと知っている。
だから敢えて、ずっと束ねていたのもある。
外見ではなく、ソフィア自身を見て欲しくて……
"ブルッ"
スープを飲み終え一旦温まった身体だったが、夜になり冷え始めると、ソフィアは再び悪寒を感じ出した。
(ああ、寒いわね……毛布も濡れてしまったし、持っている服をかけて今晩は寝るしかないわね……)
ソフィアが寝る支度をしていると、ジャックが飲み物の入った瓶とグラスを持って来た。
「葡萄酒は飲んだことがあるか? 身体が冷え切っていたから、少し酒を飲んで温まると良いかもしれないと思ったのだが……」
「あっ、飲んだことはありませんけど、ずっと興味はありました! 是非いただきたいです!」
元気よく食い付き気味に言うソフィアに、ジャックは笑みをこぼす。
「本当に好奇心旺盛だな」
「次はいつその機会に恵まれるわからないではありませんか! 後で後悔しないように生きているのです!」
ソフィアは照れ隠しに堂々と断言する。
ジャックは一瞬驚いた顔をした後、すぐに破顔した。
「ははっ。俺よりも8つも年下なのに、本当にソフィアはしっかりしているな! その通りだ。人はいつ死ぬかわからない。後悔しないように日々を生きよう! 乾杯!」
初めて酒での乾杯をしたソフィアは、酒をチビチビ飲みながらジャックを見る。
この幸せな時間が少しでも延びるように願いながら。
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