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3:ケールの町:指輪で首輪
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行先を決めていなかったソフィアは、結局終点であるケールの町で降車した。
ソフィアは初めての場所に、辺りをキョロキョロと見渡す。
(何もないわね……)
辺りには、小さな民家がぽつぽつあるだけだった。
「その道をまっすぐ行くと海が見えるわよ。あと泊まる所はこの町にはないから、日が暮れる前に王都へ行った方が良いわよ」
声の方を振り向くと、一緒に降車した先程の女性が微笑みを浮かべて続ける。
「悩み事には海を見るといいわ。広い海は、自分の悩みをちっぽけにしてくれるわよ」
ソフィアは少し驚いた顔をしたあと、フッと微笑み、素直に彼女の善意を受け取ることにする。
「ご親切にありがとうございます」
(私はそれほど酷い表情をしているのかしら?)
ソフィアはそう思うと自分に苦笑いした。
女性に教えてもらった道を行くと、30分ほど歩いたところで海岸に出た。
「わあ、海だわ!」
ソフィアの暮らすリッチィ伯爵領には海がないため、幼い頃以来に見る海だ。
一瞬気持ちが昂ったソフィアだったが、キラキラな水面に反射する太陽の光が、今のソフィアには眩しすぎた。
海から視線を逸らして周囲を見ると、灯台が視界に入る。
「少し遠そうだけれど、行ってみようかしら」
ソフィアは、軽いバッグ一つで身軽だ。
必要になれば、その都度購入すれば良いと思ったのだ。
昨日リッチィ伯爵家から帰宅した時に、何故か父から金を貰ったので金は十分にある。
きっと伯爵邸を訪れた際に金を貰ったのだろう。
こんなふうに金を貰うのは初めてで、父親としての謝罪の気持ちからなのか感謝の気持ちからなのか……なんなのかよくわからなかった。
ただ、『予定通りしっかり嫁ぐように』その想いが込められていることは間違いないと感じた。
なんならソフィアは、この旅行でこの金を使い切りたいとさえ思っている。
(これが私の、自由に私らしくいられる最後の時間かもしれないわ)
ソフィアは灯台を見付けた時、ふとそう思った。
「この2週間は、上を向いて過ごしましょう」
空を見上げると、何故だか少し気分が良くなる気がする。
その勢いで、ソフィアは灯台へ向けて歩みを進める。
1時間ほど歩いただろうか?
やっとソフィアは灯台へ到着した。
「はあ……はあ……、運動不足の私には遠い道のりだったわ……」
奮える脚を踏ん張って、灯台の階段を上る。
「……!?」
そこに広がっていたのは見渡す限りの青、青、青……
ソフィアの瞳の色でもあるスカイブルーは、ソフィアの一番好きな色でもあった。
「水平線を挟んで空の青と海の青……青のグラデーション……何て素敵なの……」
ソフィアは灯台のてっぺんに座り込み、暫くじっと水平線を眺めていた。
「……本当に、私の晴れない気持ちなんてちっぽけなことのように思えて来るわね。ふふっ」
この国は伯爵から上位の貴族とそれ以下の貴族で、待遇が大きく異なる。
そのため伯爵家以上の爵位を持つ家系と親戚関係になることは、家系の安寧と繁栄をとても大きく左右するのだ。
「娘の嫁入りを利用するなんて、よくある常套手段じゃない……」
開放感から、一人なのをいいことにソフィアは想いを声にし始めた。
「でも、お母様が12歳の時に亡くなって以来、家族のために頑張って来たのに。お母様の代わりにと、弟や妹たちの面倒ばかりみて……やりたい事も後回しにして……。それなのに、次は赤の他人に尽くすの?」
水平線の一点を凝視しながら、昨日から我慢していた想いは次から次へと溢れて来る。
「もう18だもの。婚姻は仕方ないわ。でも何故、あの家? 嫁ぎ先に尽くすのはわかるわ。でも……あの家はそうゆうのではないわ……」
領地内で領主の悪口を言うことは憚られるが、領主であるリッチィ伯爵家の評判はよくなかった。
「先代領主様が亡くなって跡を継いだ息子は、冷たく人の心が通っていない。母親の関心は外見だけ。……本当に噂通りの家のようだったわ……」
ソフィアは噂で物事を判断することはしたくないと思い、今までは話半分に聞いていた。
しかし昨日あの親子を目の当たりにし、短時間の交流ではあったが噂を信じるに十分な情報量だった。
「美形の孫が欲しいからと、私の外見にしか興味のない義母……」
ソフィアは急に感情が昂るのを感じる。
「私は子供を産む道具じゃないわよ!!!」
咄嗟に左手を空へ掲げる。
そこには、昨日無理矢理嵌められた薬指の指輪が光る。
大きなエメラルドの周りに華美な装飾が施された、重たい金の指輪だ。
「とても古くて重たい指輪。何でサイズがぴったりなのよ! いっそのこと入らなければよかったのに!」
ふと昨日の苦痛な時間を思い出し、目に涙が込み上げて来た。
「……私は性欲処理の道具でもないわ……」
そのぴったりの指輪に、ソフィアは”逃げられない”と言われている気がする。
「永遠の愛を誓う指輪? 代々のリッチィ伯爵家当主が、生涯愛すると誓った人に送り続けて来たですって?」
ソフィアは指輪を右手で抜き去る。
外す時に、第二関節でつっかかり抵抗があったこと苛立ちを感じてしまう。
「何がよ! こんなの首輪と同じじゃない!!! 私をあの家へ縛りつける首輪よ!!! こんなもの!!!」
ソフィアは、指輪を”ギュッ”と握りしめて右腕を大きく振り上げる。
しかし、その指輪が投げられることはなかった。
「……投げられないわ……」
3人の弟たちの顔が次々と脳裏に浮かぶ。
弟たちにとっても、伯爵家との繋がりは将来にとって有利となり大きいのだ。
いっきに選択肢が広がる。
そう、ソフィアはわかっていた。
自分さえ我慢すれば良いということを……
ソフィアは初めての場所に、辺りをキョロキョロと見渡す。
(何もないわね……)
辺りには、小さな民家がぽつぽつあるだけだった。
「その道をまっすぐ行くと海が見えるわよ。あと泊まる所はこの町にはないから、日が暮れる前に王都へ行った方が良いわよ」
声の方を振り向くと、一緒に降車した先程の女性が微笑みを浮かべて続ける。
「悩み事には海を見るといいわ。広い海は、自分の悩みをちっぽけにしてくれるわよ」
ソフィアは少し驚いた顔をしたあと、フッと微笑み、素直に彼女の善意を受け取ることにする。
「ご親切にありがとうございます」
(私はそれほど酷い表情をしているのかしら?)
ソフィアはそう思うと自分に苦笑いした。
女性に教えてもらった道を行くと、30分ほど歩いたところで海岸に出た。
「わあ、海だわ!」
ソフィアの暮らすリッチィ伯爵領には海がないため、幼い頃以来に見る海だ。
一瞬気持ちが昂ったソフィアだったが、キラキラな水面に反射する太陽の光が、今のソフィアには眩しすぎた。
海から視線を逸らして周囲を見ると、灯台が視界に入る。
「少し遠そうだけれど、行ってみようかしら」
ソフィアは、軽いバッグ一つで身軽だ。
必要になれば、その都度購入すれば良いと思ったのだ。
昨日リッチィ伯爵家から帰宅した時に、何故か父から金を貰ったので金は十分にある。
きっと伯爵邸を訪れた際に金を貰ったのだろう。
こんなふうに金を貰うのは初めてで、父親としての謝罪の気持ちからなのか感謝の気持ちからなのか……なんなのかよくわからなかった。
ただ、『予定通りしっかり嫁ぐように』その想いが込められていることは間違いないと感じた。
なんならソフィアは、この旅行でこの金を使い切りたいとさえ思っている。
(これが私の、自由に私らしくいられる最後の時間かもしれないわ)
ソフィアは灯台を見付けた時、ふとそう思った。
「この2週間は、上を向いて過ごしましょう」
空を見上げると、何故だか少し気分が良くなる気がする。
その勢いで、ソフィアは灯台へ向けて歩みを進める。
1時間ほど歩いただろうか?
やっとソフィアは灯台へ到着した。
「はあ……はあ……、運動不足の私には遠い道のりだったわ……」
奮える脚を踏ん張って、灯台の階段を上る。
「……!?」
そこに広がっていたのは見渡す限りの青、青、青……
ソフィアの瞳の色でもあるスカイブルーは、ソフィアの一番好きな色でもあった。
「水平線を挟んで空の青と海の青……青のグラデーション……何て素敵なの……」
ソフィアは灯台のてっぺんに座り込み、暫くじっと水平線を眺めていた。
「……本当に、私の晴れない気持ちなんてちっぽけなことのように思えて来るわね。ふふっ」
この国は伯爵から上位の貴族とそれ以下の貴族で、待遇が大きく異なる。
そのため伯爵家以上の爵位を持つ家系と親戚関係になることは、家系の安寧と繁栄をとても大きく左右するのだ。
「娘の嫁入りを利用するなんて、よくある常套手段じゃない……」
開放感から、一人なのをいいことにソフィアは想いを声にし始めた。
「でも、お母様が12歳の時に亡くなって以来、家族のために頑張って来たのに。お母様の代わりにと、弟や妹たちの面倒ばかりみて……やりたい事も後回しにして……。それなのに、次は赤の他人に尽くすの?」
水平線の一点を凝視しながら、昨日から我慢していた想いは次から次へと溢れて来る。
「もう18だもの。婚姻は仕方ないわ。でも何故、あの家? 嫁ぎ先に尽くすのはわかるわ。でも……あの家はそうゆうのではないわ……」
領地内で領主の悪口を言うことは憚られるが、領主であるリッチィ伯爵家の評判はよくなかった。
「先代領主様が亡くなって跡を継いだ息子は、冷たく人の心が通っていない。母親の関心は外見だけ。……本当に噂通りの家のようだったわ……」
ソフィアは噂で物事を判断することはしたくないと思い、今までは話半分に聞いていた。
しかし昨日あの親子を目の当たりにし、短時間の交流ではあったが噂を信じるに十分な情報量だった。
「美形の孫が欲しいからと、私の外見にしか興味のない義母……」
ソフィアは急に感情が昂るのを感じる。
「私は子供を産む道具じゃないわよ!!!」
咄嗟に左手を空へ掲げる。
そこには、昨日無理矢理嵌められた薬指の指輪が光る。
大きなエメラルドの周りに華美な装飾が施された、重たい金の指輪だ。
「とても古くて重たい指輪。何でサイズがぴったりなのよ! いっそのこと入らなければよかったのに!」
ふと昨日の苦痛な時間を思い出し、目に涙が込み上げて来た。
「……私は性欲処理の道具でもないわ……」
そのぴったりの指輪に、ソフィアは”逃げられない”と言われている気がする。
「永遠の愛を誓う指輪? 代々のリッチィ伯爵家当主が、生涯愛すると誓った人に送り続けて来たですって?」
ソフィアは指輪を右手で抜き去る。
外す時に、第二関節でつっかかり抵抗があったこと苛立ちを感じてしまう。
「何がよ! こんなの首輪と同じじゃない!!! 私をあの家へ縛りつける首輪よ!!! こんなもの!!!」
ソフィアは、指輪を”ギュッ”と握りしめて右腕を大きく振り上げる。
しかし、その指輪が投げられることはなかった。
「……投げられないわ……」
3人の弟たちの顔が次々と脳裏に浮かぶ。
弟たちにとっても、伯爵家との繋がりは将来にとって有利となり大きいのだ。
いっきに選択肢が広がる。
そう、ソフィアはわかっていた。
自分さえ我慢すれば良いということを……
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