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しょうたい

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レオス様と話している間に、エヴァンス家に到着した。

 案内されるがままに部屋に入る。部屋は会談ようなのか、机とソファしかないシンプルな作りになっており、すでにエヴァンス公爵が座っていた。それだけではない。隣に予想外の人物も何故か座っている。

「やぁ」

「…どうしてロック様がここに?」

「アリシア嬢、よく来てくれた。席に座ってくれ。リオン君は愚息とは話にならない時の保証だ。気にしないで欲しい」

「公爵はそう言っているが、本当は君に会いに来たんだ。また会いたいと思ってね。記念に私のことはリオンと、もしくはリオと呼んで欲しい」

 なんの記念ですか!?からかっているだけ?とりあえず、誤魔化そう。

「ロック様もお久しぶりですね。では失礼します」

 私は椅子に腰掛けるために移動する。

「…爵位を気にしているなら私は気にしないよ?」

「…リオン様って結構意地悪なんですね。もう少し優しい方だと思っていました」

 爵位を気にするな。ロック様も、アースベルト家も侯爵だ。本来ならこの言葉はおかしい。だけど、その対象が私であるなら話は変わってくる。私は自分をアースベルト家の一員だとは全く思っていない。便宜上名乗っているだけ。リオン様と釣り合いが取れているのはアースベルト家ではお姉様だけだ。
 そのことをわかっていてこの人は言っている。

「君が賢いからついね。気を悪くしたなら許して欲しい」

「ではロック様と「それはできない」…」

 まるでお姉様と話しているみたい。口では謝りながらも訂正はしてくれないんだから。賢い貴族ってみんなこうなのかな…

「リオンさ…リオン君。そろそろいいかね。私もアリシア嬢と話があるんだ」

「ああ、すまない。久しぶりに会えたから、ついはしゃいでしまった。話を止めてすまなかったな」

「いえ、それでは改めて、アリシア嬢、今日はわざわざ来てくれてありがとう。正直、君は家から離れたくはなかっただろうが、まだ定まっていないみたいだったからね。誘わせてもらった」

「いいえ、こちらこそお誘いいただいてありがとうございます。それと、お気遣いも嬉しく思います。あと、昨日定まりました」

「ほう。急だね、何かあったか?」

「はい。今日お姉様から離れることで嬉々として動き出しそうなお花畑がありますので、その対策に…」

 この部屋にいた人たちの顔色が変わる。驚いたのは侍女たちも皆顔色を変えたことだ。つまり、全員がこの話を理解していることを意味する。まあ、相変わらずレオン様はわかっていなさそうなのだが、いいのか、公爵家の次男が侍女よりも察しが悪くて…

「それはすまないことをした。私が気づくべきことだったな」

「いえ、私も公爵様からの手紙をもらった時点で気付くべきでした。少々浮かれていたみたいです」

「「……」」

 お互い沈黙が続く。だけど、後悔するのはこれだけでいい。

「昨日、私なりに使用人たちを煽ってみました。その中で一人だけ怪しいものがいました。彼女を警戒すればもう少しお姉様も自由に動けると思います」

「……彼女はドーラという名前じゃないかい?」

「!? よくご存知ですね」

「ああ、彼女は私が君の護衛のために、侯爵に推薦させてもらった。知らせるのが遅れてすまなかったね」

「そうだったのですか!?」

 それなら彼女がずっと警戒していたのは、私が攻撃されないため…

「帰ったらお礼を言いたいと思います」

「ああ、私からもよろしく言っておいてくれ」

「はい。わかりました。ですが、それならもっと安心できました。外側を警戒するだけでいいのですから…」

「ああ、後悔は次へと活かそう。時間がもったいない。本題に入ってもいいかね?」

 本題…お姉様を保護する方法について、何か現状を打破する方法が見つかればいいのだけど…
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