私が僕であるために

白キツネ

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「なんでー二人とも宿題を終わらせてるのー」

 今、3人は私の家に来ている。なぜ、彼女が怒っているのか。
 それは、僕も冬花も夏休みの宿題を全て終わらせていたからだ。

「なんでー、一緒にやるって言ってたじゃんかー」
「集まった時にしようとは言っていたけど、それ以外の日にもするに決まっているじゃない」
何を言っているのと、冬花がため息をつく。
「えっと、さやかは遊ぶ日だけに勉強すると思っていたの?」
「そう!」
「普通、集まる日以外にもやるでしょ」
「だってー、一緒にやる方が進むから…」
「それでも数回集まるだけで終わるわけないじゃない」
「一人ならそうだけど、二人がいるから大丈夫かなって」
「…高校生になるまで、どうしていたのよ」
「前は、優くんと一緒にやってた」
「じゃあ、なんで今回は彼とやらなかったのよ」
「お姉さんも一緒に帰ってきてたから、勉強と言うよりも遊ぶ方が多かったからかな。ハハハ…」

 途中から僕と冬花のジト目に気づいたのか段々しょんぼりしてきた。

「仕方ないか、私たちも一緒に勉強するから、一緒にやりましょ」
「そうだね」
「ありがとー」

 勉強が進み、さやかの宿題の量も後半に差しかかる。

「この量なら、夏休みが終わるまでには終わりそうね」
「じゃあ、休憩しようよー」
「それでもいいけど、家には何もないよ」

 ティアと遊んでいた手を止めて、さやかの方を向く。

「紗夜ちゃんばかり、ティアちゃんが寄ってきてずるい!」

 そう言うのも、さやかがいくら呼んでもティアは僕の側から離れなかった。

「紗夜が飼い主なんだから、紗夜に懐くのは当たり前でしょ」
「そうなんだけど…、そういえばトーカちゃん、紗夜ちゃんのことを名前で呼ぶようになったんだね」
「…ええ、あのままだと、距離を感じてしまったから」
「なんの話?」
「「なんでもないよ(の)」」
「そ、そう」
「そういえば、紗夜ちゃんとトーカちゃんはゲームセンターに行ったことはあるの?」

 ゲームセンターは聞いたことはある。けれど…

「私はないかな」
「私はある」
「今度一緒に行こーよ」
「さやかのそれが終わったらね」
「はい、じゃあ、早く仕上げてしまいましょう」
「えっ、ちょっと、二人とも…、もう少し休憩しない?」
「「しない」」
「やーだー」

 駄々をこねるさやかをよそ目に勉強を再開したことで、さやかも渋々宿題を再開する。

 ゲームセンターか…

 紗夜お姉ちゃんが友達と一緒に行き、ぬいぐるみを取ってもらったことを喜んでいたことを思い出す。
 紗夜お姉ちゃんも誘ってもらった時はこんな風に楽しみにしていたのかな。

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