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第二王子・クリス視点
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フィーア姉様と久しぶりに話した次の日、あの愚兄がまた問題を起こしたらしく、もうすぐここに帰ってくるらしい。本当に考えなしというか、自分のことしか考えていないのだろうな。
「さて、では頼んだぞ、ルーカス」
「はい。わかりました」
「すまないな。こんなことを頼んで」
「いいえ、そもそも先にクリス様に迷惑をかけたのは兄の方なので、気にしないでください。では、行きます」
ルーカスはファイサン侯爵の二人目の息子だ。兄の方はあの愚兄を、弟のルーカスは僕の補佐を任せている。そして今回、ルーカスに頼んだことは第一王子を殺すのと等しいことだ。それを説明した上で実行してもらう。
「第一王子殿下!少しお話があるのですが」
「誰だ?お前は?」
「…私はファイサン侯爵の息子のルーカスと言います。以前、愚兄が申し訳ないことをしました。その償いを私がしたいと思い、参りました」
「あいつのように裏切ったら容赦しないぞ」
「…はい。分かっております」
「そうか、それで?それだけなら俺はもう行くぞ」
「お待ちください。く、第二王子のことでお話があります」
「何?」
「第二王子はソフィア・ローズと婚約を結ぶことで、王太子になりました。ですので、彼女の悪評を世間に知らしめれば、殿下が正しかったのだと、多くの者が理解するでしょう!そして、メアリー様が王妃に相応しいと証明いたしましょう!」
さて、これで餌を蒔いた。あとはこれに食いつくか。まぁ、あの愚兄なら食いつくだろうな。食いつかず、大人しくするのであれば、発言権を無くすだけで済まそう。
だが、これでフィーア姉様を貶めようとするのであれば、もう僕は我慢しない。徹底的に追い詰めてやる。
「……どうすればいいと思う。もう、俺の話を聞くやつなんていないぞ」
「どうして、そんな弱気になっているのですか!殿下は何も間違ってはいないじゃないですか!」
「それは、そうなのだが……」
「今までは彼女が誤魔化せる環境があったからです。ですが、卒業パーティーでなら、もう誰にも誤魔化すことはできません。そこでなら、殿下の言葉も皆に通じるでしょう!だって、殿下は第一王子殿下なのですから!」
「…そうか、そうか!わかったぞ、ルーカス!礼を言う!今回の件が成功すれば、お前を側近にしてやろう!」
「ありがたき幸せ」
「では、俺は部屋に戻り、作戦を考える。誰も俺の部屋に近づけさせるなよ!」
そう言い捨てて、愚兄は部屋に急ぐ。さて、僕も行くとしようか。
「後悔してるか?」
「?いいえ、どうしてそのようなことを?」
「お前の言葉によって、人が一人、いなくなるかもしれないと思わないのか?」
「罪悪感はない…とは言い切れません。正直、後味は悪いです。ですが、クリス様がローズ家の方々と取り合ってくれなければ、我が家は存続できていませんからね。他人より自分。ただそれだけです」
「そうか…」
僕はそこまで罪悪感を感じてもいない。王として、それでいいのかもしれないが、僕は案外冷たいやつなのかもしれないな。
「クリス様は優しいですね」
「…なに?」
「どうせ、僕が気にしてると言えば、あれは私の命令だとか言うつもりだったんでしょう?そうやって、自分を追い詰めていると、ソフィア様に怒られますよ?それとも怒られたいんですか?」
「なっ!?」
「では失礼します。次は友人として、学園で話しましょう」
昔から一緒にいたんだ。僕の考えぐらいわかるか。ルーカスとは愚兄を持つ同士、良く話していたが、いつのまにかこんな冗談を言えることがなくなってしまった。
次は友人として…か。
今でも、お前は信頼できる家臣であり、友人だよ。だから、こんなことに付き合わせたんだ。
こんなことを頼める信頼できる者はお前しか僕には思い付かなかったんだよ。
さて、もうあの愚兄に迷惑をかけられるのは終わりだ。学園の卒業パーティーで、全てを終わらせてやる!
「さて、では頼んだぞ、ルーカス」
「はい。わかりました」
「すまないな。こんなことを頼んで」
「いいえ、そもそも先にクリス様に迷惑をかけたのは兄の方なので、気にしないでください。では、行きます」
ルーカスはファイサン侯爵の二人目の息子だ。兄の方はあの愚兄を、弟のルーカスは僕の補佐を任せている。そして今回、ルーカスに頼んだことは第一王子を殺すのと等しいことだ。それを説明した上で実行してもらう。
「第一王子殿下!少しお話があるのですが」
「誰だ?お前は?」
「…私はファイサン侯爵の息子のルーカスと言います。以前、愚兄が申し訳ないことをしました。その償いを私がしたいと思い、参りました」
「あいつのように裏切ったら容赦しないぞ」
「…はい。分かっております」
「そうか、それで?それだけなら俺はもう行くぞ」
「お待ちください。く、第二王子のことでお話があります」
「何?」
「第二王子はソフィア・ローズと婚約を結ぶことで、王太子になりました。ですので、彼女の悪評を世間に知らしめれば、殿下が正しかったのだと、多くの者が理解するでしょう!そして、メアリー様が王妃に相応しいと証明いたしましょう!」
さて、これで餌を蒔いた。あとはこれに食いつくか。まぁ、あの愚兄なら食いつくだろうな。食いつかず、大人しくするのであれば、発言権を無くすだけで済まそう。
だが、これでフィーア姉様を貶めようとするのであれば、もう僕は我慢しない。徹底的に追い詰めてやる。
「……どうすればいいと思う。もう、俺の話を聞くやつなんていないぞ」
「どうして、そんな弱気になっているのですか!殿下は何も間違ってはいないじゃないですか!」
「それは、そうなのだが……」
「今までは彼女が誤魔化せる環境があったからです。ですが、卒業パーティーでなら、もう誰にも誤魔化すことはできません。そこでなら、殿下の言葉も皆に通じるでしょう!だって、殿下は第一王子殿下なのですから!」
「…そうか、そうか!わかったぞ、ルーカス!礼を言う!今回の件が成功すれば、お前を側近にしてやろう!」
「ありがたき幸せ」
「では、俺は部屋に戻り、作戦を考える。誰も俺の部屋に近づけさせるなよ!」
そう言い捨てて、愚兄は部屋に急ぐ。さて、僕も行くとしようか。
「後悔してるか?」
「?いいえ、どうしてそのようなことを?」
「お前の言葉によって、人が一人、いなくなるかもしれないと思わないのか?」
「罪悪感はない…とは言い切れません。正直、後味は悪いです。ですが、クリス様がローズ家の方々と取り合ってくれなければ、我が家は存続できていませんからね。他人より自分。ただそれだけです」
「そうか…」
僕はそこまで罪悪感を感じてもいない。王として、それでいいのかもしれないが、僕は案外冷たいやつなのかもしれないな。
「クリス様は優しいですね」
「…なに?」
「どうせ、僕が気にしてると言えば、あれは私の命令だとか言うつもりだったんでしょう?そうやって、自分を追い詰めていると、ソフィア様に怒られますよ?それとも怒られたいんですか?」
「なっ!?」
「では失礼します。次は友人として、学園で話しましょう」
昔から一緒にいたんだ。僕の考えぐらいわかるか。ルーカスとは愚兄を持つ同士、良く話していたが、いつのまにかこんな冗談を言えることがなくなってしまった。
次は友人として…か。
今でも、お前は信頼できる家臣であり、友人だよ。だから、こんなことに付き合わせたんだ。
こんなことを頼める信頼できる者はお前しか僕には思い付かなかったんだよ。
さて、もうあの愚兄に迷惑をかけられるのは終わりだ。学園の卒業パーティーで、全てを終わらせてやる!
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