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1章
その1
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学校が終わり、家路につく。今日は珍しく授業が早く終わったので、門限の一間前に着くことが出来そうだ。
道なりに歩いていると、目の前に一軒の家が現れた。これと言って外見的特徴の無い、無機質な色の壁。この辺りにある景観とはミスマッチである。
そして、これが俺の家だ。
──「よし、最後までちゃんとしよう」。自分に言い聞かせるように呟くと、家に入った。
「ただいま、ママ」
台所で料理をしている母親に声を掛ける。
ちゃんとした声と表情で言えているだろうか。
自分の事は見えないので、いつも不安になる。
「おかえり、紘一。今日の学校はどうだった?」
良かった。ちゃんと出来ているようだ。
「いつも通りだよ。……あ、今日抜き打ちの小テストがあったんだ」
当たり障りのない話題を出す。
「そう。結果はどうだったの?」
一瞬、母の目が鋭くなった。
「もちろん、合格点だったよ。
今までの内容の復習をしておいてよかった」
こう言うと、大抵の場合は喜んでくれる。
「そう。だったらよかったわ。ねえ、あなたもそう思うでしょう?」
「ああ。よくやった。紘一」
食卓でコーヒーでも飲んでいたんだろう。
マグカップを置き、父が答える
「あ、パパ。帰っていたんだね。おかえり」
俺は母に向けていたちゃんとした声と表情で答えた
「ただいま。今日は仕事が早く終わったんだ」
「じゃあ今日は久々に3人でご飯なんだね。僕、すごくお腹すいてたんだ!」
「あらあら。でもそれは良かったわ。あ、もうすぐご飯だから、着替えておきなさい。出来たら呼ぶからね」
「はーい! じゃあ待ってるね」
俺はそう言うと、自分の部屋に向かった。
道なりに歩いていると、目の前に一軒の家が現れた。これと言って外見的特徴の無い、無機質な色の壁。この辺りにある景観とはミスマッチである。
そして、これが俺の家だ。
──「よし、最後までちゃんとしよう」。自分に言い聞かせるように呟くと、家に入った。
「ただいま、ママ」
台所で料理をしている母親に声を掛ける。
ちゃんとした声と表情で言えているだろうか。
自分の事は見えないので、いつも不安になる。
「おかえり、紘一。今日の学校はどうだった?」
良かった。ちゃんと出来ているようだ。
「いつも通りだよ。……あ、今日抜き打ちの小テストがあったんだ」
当たり障りのない話題を出す。
「そう。結果はどうだったの?」
一瞬、母の目が鋭くなった。
「もちろん、合格点だったよ。
今までの内容の復習をしておいてよかった」
こう言うと、大抵の場合は喜んでくれる。
「そう。だったらよかったわ。ねえ、あなたもそう思うでしょう?」
「ああ。よくやった。紘一」
食卓でコーヒーでも飲んでいたんだろう。
マグカップを置き、父が答える
「あ、パパ。帰っていたんだね。おかえり」
俺は母に向けていたちゃんとした声と表情で答えた
「ただいま。今日は仕事が早く終わったんだ」
「じゃあ今日は久々に3人でご飯なんだね。僕、すごくお腹すいてたんだ!」
「あらあら。でもそれは良かったわ。あ、もうすぐご飯だから、着替えておきなさい。出来たら呼ぶからね」
「はーい! じゃあ待ってるね」
俺はそう言うと、自分の部屋に向かった。
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