短い話たち

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燕と雀

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「ねえ、どうして燕と雀は鳥なのに鴉や鴎みたいに鳥の字が付いてないの?」
孫娘に質問されたおじいさんは、ぜんぜん知らないのにプライドが邪魔して苦し紛れに「それは本当は鳥じゃないからだよ」と言いました。
「鳥じゃなければなんなの?」と孫娘が聞くとおじいさんはまた苦し紛れに「それは唾女と涼女という女の人が時々姿を変えているからだよ」と言って、紙に書きました。「女って書いて、めって読むんだ」
「じゃあその女の人たちはふだんはどこにいるの?」また孫娘が聞きました。おじいさんはだんだん出口がなくなって「人だからそこらじゅうにいるよ」と本当に苦し紛れに言いました。
「じゃあ唾女はどんな人?」孫娘はツッコミ始めました。
「何もかもに満足できずになぁ、何もかもに唾を吐いてなぁ、次から次へと何からかもへピュンピュン飛び移る…ま、浮気者かな?」と冷や汗をかきながらますます苦し紛れに言いました。
「じゃ、涼女は?」孫娘はいたずらっぽく目を細めて聞きました。
「そんな唾女を涼しい顔して見ながら女の幸せは結婚と家庭なのよと井戸端会議してる人らかな?そうだな、幸せとはこういうものだよな」と、苦し紛れに苦し紛れの上塗りをして、もうメルヘンの世界に入りかけていました。
「ふーん、なるほどね?ところで燕と雀って何?」と孫娘が聞くとおじいさんは
「鳥だよ」
とありがたく言わせてもらいました。
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