短い話たち

９

９…

９の形は
私のオタマジャクシ
私の胎児
私の可能性…

あとひとつ進めば、何かが起こりそうな数字だけど、このままがいい。
これ以上進まないでほしい。

それはこの先が10ならいいけれど、0かも知れないから。

だから９の形は
私のオタマジャクシ
私の胎児
私の可能性…私のお守り。

でも９はいつまでも私のそばにいない。
いずれ手足が生え
また意思を持って私から離れて行く。
いつまでも９でいてくれたら
ずっと私は幸せなんだけど…
だから行かないでほしい…

そんなことを
「99円」とか
「999円」の札の前で考えている私。

値上がりしないで。
これだけ褒めたんだから。