短い話たち

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ハギレ

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私は生まれてからこの方、着ていた服の一部をずっと取っておいた。
それをどうしたかというと、それらをパッチワークのように組み合わせて、服を作ったのだ。それは私の思い出で出来た服だった。
色合いは良く言えばカラフルなんだけど、どちらかというと統一感がなくて、結局みすぼらしいという感じだった。

私はもっと統一感があって、シックでエレガントな思い出の服は出来ないかと考えた。そして思い付いた。

思い付いてから私の家族親戚が次々と不可解な死を遂げた。

私はそれぞれのお葬式で着た喪服の一部を、そのたびに切り取っては繋ぎ合わせているのだが、もう身内は全部始末したのにまだ少しハギレが足りない。もう少し大きめに切ればよかったかなぁ。

そうだ、どなたか私に、あなたのお葬式の思い出を恵んでいただけませんか?
お申し出がなくても、こちらから伺いますが。
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