短い話たち

眠る

ひとつ前の話を送った後で、もしかして「眠る」って言葉は、この世で一番初めに眠った人が言った言葉なんじゃないだろうかと思った。
そしてその人は本当に眠れたんだろうかと思った。
さらにその人は眠ったんだけどまた起きたんだろうなと思った。
そしてまたその人は起きてどこかへ行ったんだろうなと思った。
そしてまたその人が起きてどこかへ行った後には「眠る」が置き忘れてあったんだろうなと思った。
そしてまたその「眠る」は誰かが拾ったんだろうなと思った。
そしてまたその人は眠れたんだろうかと思った。
そして眠りたかった自分が眠れなくなってしまった。
誰かに「眠る」を取られてしまった。
これから「眠る」を探しに行こう。
もしかしたらそこでこの世で一番初めに眠った人に会えるかもしれない。