短い話たち

顔

「顔って漢字さ、分解したら面白いよ」
「どう面白いの？」
「左側の彦って、男のことなんだって」
「うん」
「で、右側の頁はさ、ページのことだろ？」
「まぁ、たしかにそうね。ページって漢字で書いたら頁よね」
「だから顔ってさ、男のページってことなんだよ」
「で、どう面白いの？」
「面白くない？」
「あんまり」
「つまりさ、顔には男の歴史があるってことさ」
「歴史？なんで？」
「う～ん、それはさぁ、こうさぁ、ページってめくるだろ？その動作というか行為がさぁ、なんか日記を読み返しているみたいでさぁ、そんな光景がさぁ、なんか歴史的でさぁ…う～ん、分かんないかなぁ」
「分かんないというよりつまんない」
「そう？つまんない？」
「あのねぇ、そこは女のページなのよ」
「え？なんで？」
「女性の裸の写真がそこにあるからよ、男のページって」