短い話たち

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降る雪に、一生懸命文字を書く虫がいるという。
その虫は空から落ちて来る雪の中で、雪が地面に落ちるまで、白い雪に黒い文字を書いているというのだが、雪は次々と落ちて来るし、そのひとひらひとひらは儚いから、誰もその虫の姿も、虫が書く文字も見たことはない。そして地面に着いたら雪は溶けて無くなるか、白紙のように積もるだけだ。それでも雪が地面に落ちるまで、たしかに虫たちは文字を書いているという。
一度でいいから虫の姿と、虫たちが書く文字を見てみたいけど、それは見てはいけないことだ。
虫たちがいることと、一生懸命黒い文字を書いていることだけを信じて、眺め続けるのが雪というものなのだ。
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