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対決④
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「しかし妙なプロポーズだな…」
後藤が苦笑まじりに言った。
「私は以前、奥さんの顔と川原の顔が釣り合わないなんて言いましたが、まさかこんな形で再現されるとは思いませんでした」
平井は読んだ所を見返しながら言った。
「じゃ、続けます」
「頼むよ」
「君を得たのはよかったのだが、僕は同時にたまらない不安を得ることになった。それは僕の性癖だ。
僕は愛する者をみんな殺して来た。
可哀想ゆえに愛し、愛するゆえにいたぶり、いたぶるゆえに可哀想になり、可哀想ゆえに愛する…その繰り返しの果てに、最上で最悪の愛情表現、つまり殺害に及んでしまったのだ。
僕は君を人生の勝利者にすると約束した以上、君を殺害してはならないと心に決めた。
そのためには、自分の心の中の善悪、神と悪魔、良心と邪心を切り離して、悪を葬らなければならないと思った。
結婚と前後して僕は、様々な本を読み漁った。
心理学に精神医学、スピリチュアルに脳医学、仏教にキリスト教、心霊現象、宇宙の本も読んだ。超常現象の本も読んだ。挙句は気功術までだ。
そして僕は見つけたんだ。
【四次元殺害】
という方法をね。
その方法で、悪を、悪魔を殺すんだ」
「ちょっと止めてくれ」
後藤は平井を制した。
「四次元殺害?なんのことだと思う?」
平井に尋ねてみた。
「川原のノートに書いてあった様々な本の使用目的は、刺朗を分離させて自分を殺させることでしたよね?…でもここでは、その反対のこと…悪とか悪魔はおそらく刺朗でしょう?その刺朗を殺すみたいなことを言っていますね?…しかし四次元殺害の方法も目的も、ここまでではさっぱり分かりません」
「川原はなんのために死んだんだ?」
「頭が混乱します…ただ、河原がどこかで生きているような気がするという予感は、もしかして当たっているかも」
「じゃ、どこにいるんだ?川原は」
「とにかく先を読みましょう」
「幸恵、僕は自分の中の悪魔と闘う。そして勝って必ず君の許へ帰る。これも約束だ。約束は必ず果たす」
「奥さんに宛てた章はこれで終わりです。次の章には【第二章 真相】というタイトルが付いています」
平井はさっそく読もうとしたが、後藤は
「少し頭を整理したい。すまないがコーヒーを淹れてくれないか」
と言って目頭を押さえた。
平井は給湯室のコーヒーサーバーへ行くため、部屋を出た。
後藤ひとりになった部屋では、テーブルの上の紙の束の、一番上の一枚が時々、風も無いのに起き上がるようにめくれた。
(真相…なんの真相だ?…過去の事件か、あの不可思議な現象か…)
後藤は、場合によっては自分の命に関わることが、この先明らかになるようで不安だった。
後藤が苦笑まじりに言った。
「私は以前、奥さんの顔と川原の顔が釣り合わないなんて言いましたが、まさかこんな形で再現されるとは思いませんでした」
平井は読んだ所を見返しながら言った。
「じゃ、続けます」
「頼むよ」
「君を得たのはよかったのだが、僕は同時にたまらない不安を得ることになった。それは僕の性癖だ。
僕は愛する者をみんな殺して来た。
可哀想ゆえに愛し、愛するゆえにいたぶり、いたぶるゆえに可哀想になり、可哀想ゆえに愛する…その繰り返しの果てに、最上で最悪の愛情表現、つまり殺害に及んでしまったのだ。
僕は君を人生の勝利者にすると約束した以上、君を殺害してはならないと心に決めた。
そのためには、自分の心の中の善悪、神と悪魔、良心と邪心を切り離して、悪を葬らなければならないと思った。
結婚と前後して僕は、様々な本を読み漁った。
心理学に精神医学、スピリチュアルに脳医学、仏教にキリスト教、心霊現象、宇宙の本も読んだ。超常現象の本も読んだ。挙句は気功術までだ。
そして僕は見つけたんだ。
【四次元殺害】
という方法をね。
その方法で、悪を、悪魔を殺すんだ」
「ちょっと止めてくれ」
後藤は平井を制した。
「四次元殺害?なんのことだと思う?」
平井に尋ねてみた。
「川原のノートに書いてあった様々な本の使用目的は、刺朗を分離させて自分を殺させることでしたよね?…でもここでは、その反対のこと…悪とか悪魔はおそらく刺朗でしょう?その刺朗を殺すみたいなことを言っていますね?…しかし四次元殺害の方法も目的も、ここまでではさっぱり分かりません」
「川原はなんのために死んだんだ?」
「頭が混乱します…ただ、河原がどこかで生きているような気がするという予感は、もしかして当たっているかも」
「じゃ、どこにいるんだ?川原は」
「とにかく先を読みましょう」
「幸恵、僕は自分の中の悪魔と闘う。そして勝って必ず君の許へ帰る。これも約束だ。約束は必ず果たす」
「奥さんに宛てた章はこれで終わりです。次の章には【第二章 真相】というタイトルが付いています」
平井はさっそく読もうとしたが、後藤は
「少し頭を整理したい。すまないがコーヒーを淹れてくれないか」
と言って目頭を押さえた。
平井は給湯室のコーヒーサーバーへ行くため、部屋を出た。
後藤ひとりになった部屋では、テーブルの上の紙の束の、一番上の一枚が時々、風も無いのに起き上がるようにめくれた。
(真相…なんの真相だ?…過去の事件か、あの不可思議な現象か…)
後藤は、場合によっては自分の命に関わることが、この先明らかになるようで不安だった。
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