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バーバリアン

TWiLiGHT OF BARBARiANS#7

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────ブリュンヒルデ(人狼ルガルアルデバドス種、アストレア元老院議官、アースバインダー)


 私の派閥なんて存在しないのに、最近、種族長達が私の傘下に入りたいと相談してくることが増えた。


 まぁ、非公式とはいえ配下が増えるのは悪い気がしないから、引き受けてあげてるけど、どうも様子がおかしい。

 しばらくすると、珍しくフレドライヒが心配した表情で話しかけてきて、「派閥抗争に巻き込まれるかもしれないから手広くやるのは控えたほうがいい」といわれた。

 理由を話したら、フレドライヒは呆れていた。

 どうやら私の派閥らしきものは、かなりの議席数を確保してしまったらしい。
 でも、種族長が会いにきて反射的に了承しただけだから正確な数すら把握してない。
 
 今は、フレドライヒとどうするか検討してる。

 フレドライヒの話では、私は、最初からかなり警戒されていたようだ。

 アルデバドスの残党が全員私の元配下で、今でも私への忠誠は健在だからだ。

 たしかに他のアースバインダーにとっては面白くない状況だ。
 しかも、皆んなが帰還した時には宮廷補佐官を務め、ニーヴェルング鉱床を任されていた。

 そして、最近になって新種族が傘下に加わってきた。

 フレドライヒの指摘通り、元老院での発言力を強化しているようにしか見えない。

 確かにこまった状況だ。ようやく気がついた。
 仕方がないので、フレドライヒと一緒にヒルデブラントに相談しにいった。
 
 
 ヒルデブラントに事情を説明したら、大笑いされた。
 記憶を頼りに議席数を数えさせられたが、すでに議席の3分の1くらい抑えてることがわかった。
 端末には種族長からの面会希望の通知がたくさんあったので、さらに増えるだろう。
 

 おそらく彼らの狙いは、アストレアの中枢に近いアースバインダーに後ろ盾になってもらう事だ。

 どうやら、イサナギの修練で、ティフォーニア、リエル、エリューデイル、ガイゼルヘルと仲良くやってるのが、誤解を生んでしまったようだ。

 ニーヴェルング鉱床の統括を任されてる件もあるし、私はシングルナンバーの王侯エインヘリャルだったから、ネームバリューも関係しているのだろう。


「ヒルデブラント、どうしよう? 全部断ったほうがいいかしら?」

「ここまできてそれはダメだ。アースバインダーの信用に関わる大問題になる。観念して、頼ってきた連中の面倒をしっかり見てやるしかないな」

「さすがに数が多すぎるわよ」

「なら、フレドライヒ。お前が手伝え。どうせ暇だろ?」

「俺? まぁ、いいけど、変な抗争に巻き込まれるの嫌だよ?」

「ここまで大きな勢力になったら、もう誰も迂闊には手が出せんよ。
 ニーヴェルング鉱床の主導権まであるんだ、独立のクーデターを起こしてもおかしくない勢力だ」

「まぁ、そうだね。でも、この数じゃ、あと何人かに手助けしてもらわないと無理だね」

「10番台前半のアースバインダーなら大丈夫だ。グリムハルト、ドライズテイン、モルディリード、リーンスラウト、ギーヴェルハウト。このあたりに声をかけておけ、それだけいれば増えても十分足りる」

「わかった。俺も、急に忙しくなっちゃったな……」

「お前は呆けすぎだ。そろそろちゃんと働け。グリムハルトたちも遊びすぎだ、働かせろ。ティフォーニアにはワシから伝えておく。傘下の種族は気にせず増やしてしっかり面倒を見ろ。ただし勧誘はするな。離脱も引き止めるな。自主性にまかせろ。 
 ブリュンヒンデは、普段通りに振舞って下手に動かんほうがいい。フレドライヒに全てまかせておけ。他のアースバインダーに何か聞かれても、知らんぷりしておけ」
 
「わかったわ。ありがと」
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