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タウの刻印

欠格者#7

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────ククリ(人狼ルガルガルダーガ種、ニダヴェリール宮廷正室、アースバインダー)


 最近は壁を乗り越えたらしくルシオーヌが楽しそうだ。
 ミヅキもようやく進み始めて一安心といった感じだ。


 あ、面会希望?
 メイリンか。
 あー、あれか、やっぱり気づいちゃったか……当たり前だよね。
 渡した時点で気づかなかったのが不思議なくらいだったしね。
 とりあえず、面会拒否っと。

 
「ククリ! 拒否ってどういうこと?」

「拒否したのに入ってこないでよ。みんな仕事で忙しいの!」

「キスするくらい、いいでしょ?」

「だめだよ!」

「で、この装置、相手が逃げ回ってるんだけど、なんで?」

「しらないよ。ミユキに任せたから」

「ミユキは?」

「イサナミ自治区。ミユキにきいてみて。
 てか、なんでエキドナまでいるの? 出禁だよね?」

「なんで出禁にしたの?」

 私は事情を話した。

「あー、そういうこと。確かにエキドナが悪いね」
 メインリンが納得したように言った。

「ごめん、私が悪かったから解除して。いろいろ必死だったから、ほんとごめん」

「でも、会いにくる必要ないよね?」

「ひどーい、たまには会いにきてもいいじゃない」

「じゃ、面会制限年1回でいい?」

「もっと増やしてよ!」

「面会制限年2回」

「週3回とかにして!」

「隔週1回」

「もう一声!」

「月3回」

「それで!」

「設定した」

「ありがとう」

「でも、何しにくるつもり? 仕事の邪魔したらマジで怒るよ?」

「私も色々勉強しないといけないから、情報収集かな?」

「どんな分野? 私の専門は狭いよ」

「なにがあるの?」

「生命の基礎法術関連が中心だね」

「ガルダーガのごく一部しか使えない、あのわけわかんないやつか」

「最近は、もう当たり前のようにつかってるよ?」

「うそ? なんで? みんな頭良くなったの?」

「頭の良し悪しは関係ないよ。イサナギとかがその集大成って感じ。
 リサードマンの特殊言語も生命の基礎法術の応用だしね」

「そんなに広まってるんだ。高階法術理論とかも?」

「そっちは、イサナギにすこし混ぜ込んであるけど、本格的に使いこなしてる人はごく一部だね」

「でも、ガルダーガ以外でもいるんだね……ルーノ族?」

「ルーノ、ロデリク、アラクネ、アシダカ、色々いるね」

「アルデバドスは?」

「エリューデイル、ガイゼルヘルさんだね。ブリュンヒルデがもう少しで入門できそうな感じ」

「うっそ? ブリュンヒルデが?」

不毛の大地ノドはある意味運のいい大地だったから、アストレアの生活が長いの」

「あいつに遅れを取るのはいやだな……」

「力任せで正面突破のエキドナには向いてないよ。ブリュンヒルデはアルデバドスの中では一応知略家だしね」

「決めつけないでよ。最近はいろいろ考えてるんだから」

「興味あるならロデリクの若者に混ざって修練するといいよ。
 ニダヴェリールなら、アースバインダーの能力もかなり弱まるはずだし、力任せが通じないから、ちょうどいいでしょ?
 ヴォールフデイルさんとシュタルフディードさんも、修練中らしいよ」

「ほんと?」

「うん、飲み込みが早いからどんどん先に進んでるらしい。ヒルデブラントさんも修練にきてるよ、健康に良さそうだからって気に入ったみたい、無理しない程度にマイペースでやってるってさ」

「知らなかった。他にいるの?」

「エリューデイル、ガイゼルヘルさん、ブリュンヒルデは、アストレアで一緒に修練してるね。アルデバドスのアースバインダーはそれくらいかな?
 あーそうだ、メイリンが、グードルーンに指南してるってきいたけど、本当?」

「うん。キスとスキンシップのついでに指南してる。楽しくなったみたい。週3くらいで呼び出されてる」

「へー、ようやく彼女ができたのか」

「まぁね、ブリュンヒルデは彼女に振られたから、しばらく口を聞いてくれなかった」

「なんだか置いてかれてる気分……」
 エキドナが不安そうに呟いた。

「ウルさんにいっておくから、時間見つけていってみたら?
 始めると楽しくなるとおもう」

「わかった、試して見る。でも、理論はないのでしょ?」

「うん。そんなに理論が知りたいの?」

「確認してからじゃないと、安心できない」

「へんな、ところで潔癖症だね。
 エリューデイルに言えば、一通りの資料を開示してくれるはずだよ。
 アストレアのイサナギ関連の統括はエリューデイルとリエルの担当だからね」

「わかった、とりあえず、これからロデリクにいってみる」

「了解、連絡は送信しておいたから大丈夫」

「ありがと」

 エキドナは部屋を後にした。

「……」

「どうしたの? メイリン。ミユキのところに行かないの?」

「行く必要あるの? 私に言わなきゃいけないことあるでしょ?」

「ゼディーとルークと私で、話し合ってみたところ、かなり難しいことがわかって時間が取れそうにないので、ミユキ先生に発注しました。ごめんなさい」

「ゼディーとルークに押し切られたね?」

「うん、私もかなりやりたくなかった。人狼ルガルは脳構造が複雑すぎるってさ」

「どうして騙そうとしたの?」

「ちょっとした出来心で、その場にミユキがいたのでなんかそんな雰囲気になって……」

「今日は、もう暇だよね?」

「いあ、ま……」

「暇だよね?」

「えっと……」

「暇だよね!」

「……はい」

 結局、その日は、翌朝までメイリンの修行に付き合わされた。
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