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デザート・ストーム

シロッコ#1

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────ルフィリア(人狼ルガルルーノ種、英知の湖ミーミル守人もりと、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)


 ディー=トライプに呼び出されました。
 ククリさんの仕事が終わったのでしょうか?

「ルフィリアです。ククリさん、私の声が聞きたくなったのですね?
 もう、寂しがり屋さんですねー」

「なんだ、ルシーニアじゃないのか。
 あとで連絡くれるよーにいってくれる?」

「えー? お話ししましょうよ。私にも教えてくださいよ」

「暇なの? 新種族の育成は楽すぎたか……」

「いえ、がんばってますよ。でも、こういう時間も大切です」

「あはは。で、何を聞きたいの?」

「そちらの状況です」

「ロデリク族の統一は終わった。族長も決まった。
 今は、ラフィノス公国内に場所借りて住んでもらってる。
 転移ゲートの開通を待ってるところ。
 それまでに色々準備やら勉強やら頑張ってもらっているよ」

「ロデリクって、アルデバドスと仲悪いのでしょ? 大丈夫ですか?」

「うん。だから、普段は武官の青色のホムンクルスタナトスと、文官の紫色のホムンクルスバンシーしか住んでいない、ラフィノス公国内に住んでもらっている。
 ブリュンヒルデの居城は別の区画だからね」

「なるほど。でも喧嘩しそうで心配ですね」

「そうだね、いつも牽制しあってるよ。命の奪い合いした間柄もいるみたいだしね」

「空気悪そうですね」

「みんな自重してくれてる。族長への忠誠心がすごいんだこれが。
 無法者とは思えない団結力だよ?」

「族長さんてどういう方なのですか?」

「君も知ってると思うよ?」

「私、ロデリク族にお知り合いはいませんよ?」

「アールヴヘイムの歴史書に載ってなかった?」

「ルスさんですか? お亡くなりになられたと伺ってますか?
 あとは、グーンデイルさん達と死闘を繰り広げたレイフっていう化け物みたいな方くらいですね」

「うん。そのレイフさん」

「えええええ? その方、生きてらっしゃったのです?」

「まぁね、見つけるの大変かなっておもったら、運良く出会えてラッキーだった」

「ラッキーって、『死神』とか呼ばれてた方でしょ?
 そんな血なまぐさい方が族長で大丈夫なのです?」

「うん、彼以外に任せられる方いないしね」

「でも戦後は殺し屋稼業で一匹狼とか噂されていたような……」

「そうだね」

「どうして、忠誠心がすごいのです?」

「先代の息子だからだよ、本名はウル。
 この名前はロデリク族か、アルデバドスの一部しかしらないだろうね」

「そうだったのですか。でもククリさんはご存知だったのでしょ?」

「うん。お師匠様に教えてもらってたから」

「そうだったのですか。でもちょっと安心しました。
 怖い方だったらどうしようかと思いました」

「ロデリク族も別格扱いでみんな恐れてる方だよ?」

「……。ほんとうに大丈夫なのですか? ニダヴェリールに招いても」

「うん、大丈夫。ニダヴェリールに『殺戮の楽園』を造てくれるってさ。
 やる気満々だったよ。楽しみだねー」

「……」

「あ、そうだ、お願いがあるのだけど聞いてくれる?」

「服は脱ぎませんよ?」

「脱がなくてもいいよ!
 あのね、ケルベロスを彼らに任せたいと思っているんだ。
 ルシーニアとルーテシアに調整してもらっていい?」

「大丈夫なのですか?」

「うん。彼らは器用で用心深いし、
 一発で即死の前線にも喜んで行く奴らだし。
 ルーノのシャーマンよりも向いていると思う。
 引き継ぐ準備だけさせておいて」

「それは心強いですね。調整しておきます。
 転移ゲートの方はどんな感じですか?」

「私も手伝い始めたけど、どうなのかな?
 私に進捗は理解できない。ティフォーニアに聞いて」

「しっかり仕事しないと、強制送還されますよ?」

「あはは、気をつける」

「4人娘達はどう? うまくやれてる?」

「そうですね。まだ、ちょくちょく相談にきますけど、なんとかやれてるみたいです。みんな慕われているみたいですよ。
 着実に成果も出ているようですし。
 ティフォーニアが欲しがりそうで怖いです。
 手を抜かせた方が良いですかね?」

「早めに後任者を育成させて、撤退させたほうがいいかもね」

「ですね。そうします」

「ルフィリアは、困っていることない?」

「いっぱいありますよ。早く帰ってきてください」

「通話じゃダメなの?」

「そうですね。できれば直接お話ししたいですね」

「深刻な内容?」

「細々としたことです。ククリさんとあってお話ししたいだけですよ。
 ミヅキも寂しそうにしてますね、お茶の相手が私だと物足りない感じですよ?」

「ミヅキにはかわいそうなことしちゃったな。早く帰らないとね」

「そうですよ。早く帰ってきてくださいねー」
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