TAKE TIME WORLD

areafa krain

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34編

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「だから私の言うことに口出ししないで!」
「僕の考えだってあるんだ!そっちこそ
いい加減僕の考えを認めてくれよ!」
自宅へ向かうと外まで聞こえてくる
両親の喧嘩の声にウンザリしつつも
お店のドアを開けた。

「ねぇ。外まで聞こえてるんだけど。
恥ずかしいから、もう少し声を抑えるか
喧嘩自体辞めて欲しいんだよね。」 
「胡桃には関係ないでしょ!」
「そうだ!子どもは
あっちに行ってなさい!」
もう我慢の限界だ。そう思った。
「いい加減にしてよ!
私が毎日どう言う思いで
二人の喧嘩を見てると思ってるの⁉︎
どうして前みたいに仲良くできないの?
そんなにお金って人を変えるの?
そんなんだったら、こんなお店
潰れちゃえばいい‼︎」
私はそう言い残して走って自宅を離れた。
途中でどちらか分からない怒鳴り声が
聞こえたが、無視して走り去っていった。  

「ハァッハァッ!何でこうなるの…。」
「もう胡桃ちゃん待ってよ~。私達を
置いてけぼりにしないでよ~。」
美春達の存在を忘れていた。
「皆、ごめん!でもあれじゃあとても
私の悩みは解決出来ると思えない。」
「確かに厳しそうだよな。
おじさんとおばさんは
何であんなに意見が
食い違う様になったんだ?」
「確かにあんなに
仲良かったのに不思議よね。
私のお父様とお母様は未だに仲良しよ。
何が違うのかしら…。」

「お金は人を変えるって事だよ。
麗華には悪いけど、
お金が無いと人はどんなに
仲良くてもすれ違う様になってしまうの。
お母さんはもっとお店を広くして事業を
拡大したいと思ってるけどそのためには
借金をしなければならない。
お父さんはそれに反対してるの。
今のお店のままで良いじゃないかって。
それで二人の経営方針が合わずに
どんどんお客さんも離れていって
今みたいな状態になってるんだ。」

「そうだったんだ…。
そんな事があったんだ。」
「胡桃はどうしたいって考えてるんだ?」
「私は今のままでいいと思う。無理にお店を
広げてお客さんがますます来なくなったら
元も子もないもの。
小さくても昔みたいに
二人で楽しそうに髪を切って欲しいと
思ってる。でもその思いを伝える前に
いつも二人に口を挟むなって言われる。」

「もう二人の会話を遮って本当に
思ってる事を無理矢理にでも伝えれば
良いんじゃないかしら?」
「それしかないのかな…。」
「思い立ったが吉日よ!さあ行くわよ!」
「麗華!ちょっと待ってよ!
まだ覚悟が…。」
「そんな事言ってたらいつまで経っても
言いたい事言えないわよ!
ほら、家に着いたわ。
行って来なさい!」

私は麗華に無理やり連れられて
覚悟が付かないまま、二人に思いを
伝える羽目になったのである。
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