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編
「とりあえずせっかく
過去の世界に来たんだし、
私達の街を散策してみようか。」
私が提案すると、
「賛成ー!」
美春が元気良く賛成してくれた。
「まぁこの街のモンスターの状況も
見たいし悪くない提案だな。」
「お父様とお母様に会えるのかしら!」
雷太と麗華も賛同してくれたようだ。
「まずは私達の住んでいる家に
行ってみようか。」
(あの頃はまだお父さんとお母さんは
仲良かったんだよな…。でも今は…。)
「胡桃ちゃん?何考えてるの?
早く行こうよ!」
美春に促されて私達は出発した。
街を歩いている最中、珍しく雷太が
感傷的になっているみたいだった。
「雷太、どうしたの?」私が聞くと、
「いや、過去に戻れたってことは
ばあちゃんにも会えるってことだよな?」
「お兄ちゃん…。」
美春には思い当たる節があるようだ。
「そうだね。そう言えばこの頃だっけ。
私達の事も可愛がってくれた雷太と美春の
おばあちゃんが亡くなったのは…。」
「そうなんだけどさ。ちょっとな…。」
「うん…。思い出しちゃった。」
雷太と美春は何か
気になることがあるようだが、
あまり深掘りをするのは
野暮だと思ったので、
これ以上は聞かないことにした。
「着いたよ!私達の家!」
雷太と美春の家である電気屋だ。
「あっ!あれ若い時のお父さんと
お母さんじゃない?
おばあちゃんも居るよ!」
美春が10年前のご両親の元に
駆け寄っていく。
「お父さん!お母さん!
美春とお兄ちゃんだよ!」
美春は嬉しそうに言うが、
「何言ってんだい!私達の子供はこんなに
大きくないよ!誰だいアンタ達は!」
「そうだ。いきなり見知らぬ人間に俺達の
子供とか言われても話にならないな。」
美春と雷太のご両親の言うことは
もっともだ。
しかし、おばあちゃんは…。
「あら!可愛らしい子達だね。ウチの孫も
これくらいの歳になったら
こんな感じかね。」
私達を受け入れてくれたようだ。
「美春、落ち込まないで。ご両親の反応も
もっともだよ。あんまり困らせないの。」
私が励ますと、「そうだよね。
今の私達を見ても分かんないよね…。」
美春がさらに落ち込み始めた。
「しけたツラすんなよ、美春。
ばあちゃんの姿が見れて受け入れて
くれただけでもいいだろ。」
雷太がそう言うと、
「そうだよね…。一番会いたかった
おばあちゃんの姿も見れたもんね!」
どうやら美春は元気を取り戻したようだ。
「お騒がせしてごめんなさい!
失礼しました!」
美春が丁寧に謝罪し、おばあちゃんの
笑顔を見送りながら次は麗華の家に
行くことになった。
「次は私の家ね!
美春とは違って話しかけたり
しないけど、遠くからお父様とお母様を
見ることができればそれでいいわ。」
麗華はさっきの出来事を
踏まえてそう言った。
「あれは!お父様とお母様だわ!
何と麗しい姿なんでしょう。やっぱり
お二人とも若くて美男美女ね。」
「はいはい。麗華のご両親の自慢は
これくらいにして、次行くわよ。」
「何よ!胡桃。もう少し見せてくれても
いいじゃないの…。」麗華がぶつくさ文句を
言っているが、無視して私の家に向かう。
(次は私の家か…。お父さん、お母さん…。)
「胡桃ちゃん!着いたよ!」
美春に手を引っ張られて促される。
(お父さんとお母さんだ…。
10年前のこの頃に
私はこの美容室を開くためにこの街に
引っ越してきた2人に付いてきたんだっけ…。
あの頃はまだ、楽しかったな…。)
「胡桃ちゃん?どうしたの?」
美春が心配そうに私の顔を覗き込む。
「ううん。何でもないよ。行こうか!」
4人の家と家族の姿を見て、他の所に
向かおうとしたその時…。
「ガァァァァ!」
勢いよくモンスターが飛び出してきた。
「胡桃ちゃん!モンスターだよ!
これから戦闘モードに入るね!」
頭の中で精霊が呼びかける。
「皆、モンスターが現れたみたい!
戦闘モードに入って!」
こうして、初めてモンスターと
戦うことになったのである。
「とりあえずせっかく
過去の世界に来たんだし、
私達の街を散策してみようか。」
私が提案すると、
「賛成ー!」
美春が元気良く賛成してくれた。
「まぁこの街のモンスターの状況も
見たいし悪くない提案だな。」
「お父様とお母様に会えるのかしら!」
雷太と麗華も賛同してくれたようだ。
「まずは私達の住んでいる家に
行ってみようか。」
(あの頃はまだお父さんとお母さんは
仲良かったんだよな…。でも今は…。)
「胡桃ちゃん?何考えてるの?
早く行こうよ!」
美春に促されて私達は出発した。
街を歩いている最中、珍しく雷太が
感傷的になっているみたいだった。
「雷太、どうしたの?」私が聞くと、
「いや、過去に戻れたってことは
ばあちゃんにも会えるってことだよな?」
「お兄ちゃん…。」
美春には思い当たる節があるようだ。
「そうだね。そう言えばこの頃だっけ。
私達の事も可愛がってくれた雷太と美春の
おばあちゃんが亡くなったのは…。」
「そうなんだけどさ。ちょっとな…。」
「うん…。思い出しちゃった。」
雷太と美春は何か
気になることがあるようだが、
あまり深掘りをするのは
野暮だと思ったので、
これ以上は聞かないことにした。
「着いたよ!私達の家!」
雷太と美春の家である電気屋だ。
「あっ!あれ若い時のお父さんと
お母さんじゃない?
おばあちゃんも居るよ!」
美春が10年前のご両親の元に
駆け寄っていく。
「お父さん!お母さん!
美春とお兄ちゃんだよ!」
美春は嬉しそうに言うが、
「何言ってんだい!私達の子供はこんなに
大きくないよ!誰だいアンタ達は!」
「そうだ。いきなり見知らぬ人間に俺達の
子供とか言われても話にならないな。」
美春と雷太のご両親の言うことは
もっともだ。
しかし、おばあちゃんは…。
「あら!可愛らしい子達だね。ウチの孫も
これくらいの歳になったら
こんな感じかね。」
私達を受け入れてくれたようだ。
「美春、落ち込まないで。ご両親の反応も
もっともだよ。あんまり困らせないの。」
私が励ますと、「そうだよね。
今の私達を見ても分かんないよね…。」
美春がさらに落ち込み始めた。
「しけたツラすんなよ、美春。
ばあちゃんの姿が見れて受け入れて
くれただけでもいいだろ。」
雷太がそう言うと、
「そうだよね…。一番会いたかった
おばあちゃんの姿も見れたもんね!」
どうやら美春は元気を取り戻したようだ。
「お騒がせしてごめんなさい!
失礼しました!」
美春が丁寧に謝罪し、おばあちゃんの
笑顔を見送りながら次は麗華の家に
行くことになった。
「次は私の家ね!
美春とは違って話しかけたり
しないけど、遠くからお父様とお母様を
見ることができればそれでいいわ。」
麗華はさっきの出来事を
踏まえてそう言った。
「あれは!お父様とお母様だわ!
何と麗しい姿なんでしょう。やっぱり
お二人とも若くて美男美女ね。」
「はいはい。麗華のご両親の自慢は
これくらいにして、次行くわよ。」
「何よ!胡桃。もう少し見せてくれても
いいじゃないの…。」麗華がぶつくさ文句を
言っているが、無視して私の家に向かう。
(次は私の家か…。お父さん、お母さん…。)
「胡桃ちゃん!着いたよ!」
美春に手を引っ張られて促される。
(お父さんとお母さんだ…。
10年前のこの頃に
私はこの美容室を開くためにこの街に
引っ越してきた2人に付いてきたんだっけ…。
あの頃はまだ、楽しかったな…。)
「胡桃ちゃん?どうしたの?」
美春が心配そうに私の顔を覗き込む。
「ううん。何でもないよ。行こうか!」
4人の家と家族の姿を見て、他の所に
向かおうとしたその時…。
「ガァァァァ!」
勢いよくモンスターが飛び出してきた。
「胡桃ちゃん!モンスターだよ!
これから戦闘モードに入るね!」
頭の中で精霊が呼びかける。
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戦闘モードに入って!」
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戦うことになったのである。
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