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曖昧
しおりを挟む「エリックさん……やっぱり俺は、合わなかったんでしょうか……」
机に伏せて、ボソボソと言葉を落とす。
この1、2ヶ月、ずっと悩んでいることだった。
あれから、夜のお相手をするどころか、その雰囲気すら、一向に感じ取れていない。
俺、もしかして、1度目で用済み……?
俺の、存在価値は……?
俺は、俺が必要とされている事実が、欲しいのに。
お相手をすることがないなら、俺がここにいる意味ってなに……?
ぐずぐず項垂れている俺を見ても、エリックさんはいつも通りにこやかに立っていて、それがある意味俺に落ち着きを齎らしていた。
「大丈夫ですよ。嫌になっていたら、食を共にしませんから」
「…………そうなんですか?」
「えぇ。以前、そういったことがありまして。つまらない喧嘩だったんですが、一緒に飯を食いたくない、と」
「……そうなんだ……」
……確かに、自分でも、嫌われてはいない、と思う。
初対面と違って、最近は割と笑顔で接してくれるし、距離も前よりずっと近い。
だけど……俺の肩書きって、なんだっけ。
一応は嫁みたいだけど、表には出ていない。
そもそもエリクスには、愛している他の女性がいるはずだし。
そういえば、この前のパーティーの……
麦色のふわりとした髪に、黄色と白色の可愛いドレスを身に纏っていた、背の低い女性。
だいぶ、幼い顔立ちだった。
もしかして…………あれがエリクスの趣味……?
そうか。あんなに小柄で、如何にも女の子らしい子がタイプなら、通りで俺では満足できないわけだ。したところで、子も産めないし。
なるほどなぁ。
理解して、重い息を吐き出した。
今後、俺が必要とされることはないのか。ようやく、必要になれると思ったのに。
「そういえば……エリクスは、どうして結婚相手まで俺にしたんですか?性欲をどうにかするだけなら、奴隷の方が良かったのに」
「あぁ、それは……」
エリックさんが口を開くと同時に、ノックされて扉が開いた。
「ノア。ここにいたのか」
「探していましたか?」
「いつもは図書室にいると聞いていたからな。エリックもいないし、2人で部屋にいたとは」
「…………まぁ、すこし」
エリクスへの悩みを並べていたなんて言えない。
「それで、どうかしたんですか?」
「あぁ。今夜の晩餐会に、お前も出席することになった」
「晩餐会……っ今夜?」
「前のパーティーほど、盛大なものではないがな」
エリクスがにっこり笑う。
今日の晩御飯はいつもより、豪華になるんだ。お肉……あとあのワインもあるのかな。
楽しみだ。
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