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貴族学園
125 シャウナ男爵令息との決闘
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「ゲルハルディ! 俺と勝負しろ!」
レナと情報共有をしてから、しばらくの間は平和というか、シャウナ男爵令息も様子見をしていたようだが、とうとうしびれを切らしたのか剣術の授業中に勝負を吹っかけてきた。
ここまでの間にシャウナ男爵令息についても、詳しく調査してみたが、裏はなし。
王家派の貴族の入れ知恵だとか、ミネッティ伯爵令嬢との繋がりも考えて調査したが、何もなくて逆に驚いたくらいだ。
「あー、ゲルハルディ。どうする?」
俺がしょっぱい顔をしていたからか、それとも授業中だからか、教師が俺にどうするかを聞いてきた。
学園側もシャウナ男爵令息が噂をばらまいていることや、授業中に俺をにらみつけていることは確認しているようで、どう対応するかを相談されたこともあるからな。
こちらとしてはゲルハルディ領ではなく、あくまでも俺が喧嘩を売られているだけの状態で、噂に関してもまともな貴族は無視している現状だから、ほっといていいと答えていた。
「彼とは実力が違いすぎますし、授業の邪魔になるのでは?」
剣術の授業は基本的に型の練習や、実力が近い者同士での1対1がメインだ。
俺もマルクスもクリスタも入試で上位を取り、その後も上位を維持している上位陣だ。
反面、喧嘩を売ってきたシャウナ男爵令息は男爵家の次男ということもあり、入試では騎士家系の生徒と同格の下位、その後の授業でも目立ったところはなく下位のままだ。
「はっ! 辺境に住んでいる野蛮人のくせに逃げ出すのか!? 次期領主がこれじゃあ、ゲルハルディ領ってのも大したことはないんだろうな」
はあっ!?
俺が心の中でぶち切れていた瞬間から、周囲がざわついたのが分かった。
ヴァイセンベルク王国では中央に住んでいる貴族は辺境を野蛮とバカにし、辺境に住んでいる貴族は中央を軟弱と罵る傾向にある。
だが、それは心の中に秘めるのが暗黙の了解で、派閥内ならともかく、公衆の面前で口にすれば相手に何をされても文句は言えないものなのだ。
「はあ、これは収まらんな。シャウナ、ゲルハルディ、両者の決闘を正式に認める」
「ゲルハルディ、俺が勝ったら貴様はレナ嬢の婚約者の座を降りろ!」
シャウナ男爵令息……いや、もうクソ男でいいや。クソ男が未だに的外れなことを言っているが、俺はレナの旦那であって、婚約者じゃないから座から降りるもクソもないんだよな。
「ああそれでいい。俺が勝ったらゲルハルディ領とシャウナ男爵領との取引は全面的に停止させてもらう。シャウナ男爵にもおたくの次男が吹っかけてきた決闘で正式に決まったことと通達させてもらう」
正直、俺が提示されている条件に対してクソ男側のリスクが少なすぎるが、こんなクソ男に求める事なんて何一つないんだよな。
シャウナ男爵領との取引がなくなるなんて事態になれば、シャウナ男爵がこいつを貴族学園をやめさせるだろうしさ。
上位貴族に対して決闘で勝てる実力があるならともかく、一方的に喧嘩を売って負けることがあれば、縁を切るのにためらいはないだろう。
「はっ! 辺境との取引など、こちらから願い下げだ。田舎臭いものなど、我がシャウナ男爵領には不要というものよ!」
周囲の反応は領主候補は何を言っているんだ? というもので、騎士に近い人間ほどなるほどという反応だった。
領主の勉強を行っている者なら、辺境の物品が中央の経済を活発化させているのを理解しているが、騎士を目指していて勉強をしない人間にはそれがわからないのだろう。
「両者が合意しているのなら、決闘を始めよう。武器に関しては授業で使っているものを使うように」
さっきも言ったが、授業では1対1を行うこともあるから、刃引きをしている武器が用意されている。
俺はオーソドックスにロングソードとマンゴーシュを使った二刀流で、子供の頃に使っていた盾の代わりに左手にマンゴーシュを握っている。
対するクソ男は体格に見合わない両手剣。
父上が振るうなら恐ろしいソレも、目の前のクソ男では明らかに力量不足だろう。
「危なくなれば止めに入るが、2人とも極力、相手にけがをさせないように。……はじめっ!」
「うおおぉぉぉっ!!!」
教師の合図と同時にクソ男が突っ込んでくる。
思い切りの良さだけは買うが、持っている両手剣を引きずるように走っているのを見る限り、明らかに修練不足だな。
態勢を生かして下段から切り払ってくるのかと思ったが、わざわざ間合いの一歩手前で止まってから上段に持ち替えて切り下してきた。
メーリング領から預かった若手たちも慣れないうちはこんな動きをしていたから、俺としては慣れたもんでマンゴーシュで受け流しつつロングソードで腕を切りつける。
当然だが、致命傷とは判断されず、決闘は続けられる。
俺だけならともかく、ゲルハルディ領、ひいては領民を馬鹿にしたクソ男を簡単に許す気にもなれず、決闘が終わるころにはクソ男は青あざだらけの酷い姿になっていた。
レナと情報共有をしてから、しばらくの間は平和というか、シャウナ男爵令息も様子見をしていたようだが、とうとうしびれを切らしたのか剣術の授業中に勝負を吹っかけてきた。
ここまでの間にシャウナ男爵令息についても、詳しく調査してみたが、裏はなし。
王家派の貴族の入れ知恵だとか、ミネッティ伯爵令嬢との繋がりも考えて調査したが、何もなくて逆に驚いたくらいだ。
「あー、ゲルハルディ。どうする?」
俺がしょっぱい顔をしていたからか、それとも授業中だからか、教師が俺にどうするかを聞いてきた。
学園側もシャウナ男爵令息が噂をばらまいていることや、授業中に俺をにらみつけていることは確認しているようで、どう対応するかを相談されたこともあるからな。
こちらとしてはゲルハルディ領ではなく、あくまでも俺が喧嘩を売られているだけの状態で、噂に関してもまともな貴族は無視している現状だから、ほっといていいと答えていた。
「彼とは実力が違いすぎますし、授業の邪魔になるのでは?」
剣術の授業は基本的に型の練習や、実力が近い者同士での1対1がメインだ。
俺もマルクスもクリスタも入試で上位を取り、その後も上位を維持している上位陣だ。
反面、喧嘩を売ってきたシャウナ男爵令息は男爵家の次男ということもあり、入試では騎士家系の生徒と同格の下位、その後の授業でも目立ったところはなく下位のままだ。
「はっ! 辺境に住んでいる野蛮人のくせに逃げ出すのか!? 次期領主がこれじゃあ、ゲルハルディ領ってのも大したことはないんだろうな」
はあっ!?
俺が心の中でぶち切れていた瞬間から、周囲がざわついたのが分かった。
ヴァイセンベルク王国では中央に住んでいる貴族は辺境を野蛮とバカにし、辺境に住んでいる貴族は中央を軟弱と罵る傾向にある。
だが、それは心の中に秘めるのが暗黙の了解で、派閥内ならともかく、公衆の面前で口にすれば相手に何をされても文句は言えないものなのだ。
「はあ、これは収まらんな。シャウナ、ゲルハルディ、両者の決闘を正式に認める」
「ゲルハルディ、俺が勝ったら貴様はレナ嬢の婚約者の座を降りろ!」
シャウナ男爵令息……いや、もうクソ男でいいや。クソ男が未だに的外れなことを言っているが、俺はレナの旦那であって、婚約者じゃないから座から降りるもクソもないんだよな。
「ああそれでいい。俺が勝ったらゲルハルディ領とシャウナ男爵領との取引は全面的に停止させてもらう。シャウナ男爵にもおたくの次男が吹っかけてきた決闘で正式に決まったことと通達させてもらう」
正直、俺が提示されている条件に対してクソ男側のリスクが少なすぎるが、こんなクソ男に求める事なんて何一つないんだよな。
シャウナ男爵領との取引がなくなるなんて事態になれば、シャウナ男爵がこいつを貴族学園をやめさせるだろうしさ。
上位貴族に対して決闘で勝てる実力があるならともかく、一方的に喧嘩を売って負けることがあれば、縁を切るのにためらいはないだろう。
「はっ! 辺境との取引など、こちらから願い下げだ。田舎臭いものなど、我がシャウナ男爵領には不要というものよ!」
周囲の反応は領主候補は何を言っているんだ? というもので、騎士に近い人間ほどなるほどという反応だった。
領主の勉強を行っている者なら、辺境の物品が中央の経済を活発化させているのを理解しているが、騎士を目指していて勉強をしない人間にはそれがわからないのだろう。
「両者が合意しているのなら、決闘を始めよう。武器に関しては授業で使っているものを使うように」
さっきも言ったが、授業では1対1を行うこともあるから、刃引きをしている武器が用意されている。
俺はオーソドックスにロングソードとマンゴーシュを使った二刀流で、子供の頃に使っていた盾の代わりに左手にマンゴーシュを握っている。
対するクソ男は体格に見合わない両手剣。
父上が振るうなら恐ろしいソレも、目の前のクソ男では明らかに力量不足だろう。
「危なくなれば止めに入るが、2人とも極力、相手にけがをさせないように。……はじめっ!」
「うおおぉぉぉっ!!!」
教師の合図と同時にクソ男が突っ込んでくる。
思い切りの良さだけは買うが、持っている両手剣を引きずるように走っているのを見る限り、明らかに修練不足だな。
態勢を生かして下段から切り払ってくるのかと思ったが、わざわざ間合いの一歩手前で止まってから上段に持ち替えて切り下してきた。
メーリング領から預かった若手たちも慣れないうちはこんな動きをしていたから、俺としては慣れたもんでマンゴーシュで受け流しつつロングソードで腕を切りつける。
当然だが、致命傷とは判断されず、決闘は続けられる。
俺だけならともかく、ゲルハルディ領、ひいては領民を馬鹿にしたクソ男を簡単に許す気にもなれず、決闘が終わるころにはクソ男は青あざだらけの酷い姿になっていた。
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