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幼少期
62 ローズマリー嬢の好み
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「どうしたら名前で呼んでくださるの?」
「はあ~、私がファーストネームを呼び捨てにする女性は家族とレナだけです。……ですので、ローズマリー嬢と、そうお呼びしましょう」
「それで結構よ、マックス! レナもそれでいい!?」
「は~、もうそれでいいですよ」
「わ、私も問題ありません」
「うふふ、初めてのお友達だわ」
爵位が上の人間が親しい下位の人間をファーストネームで呼び捨てにする場合は多いから、エルメライヒ公爵令嬢……いや、ローズマリー嬢の呼び方は問題ないだろう。
一応、レナの様子もうかがってみるが、ローズマリー嬢に急に距離を詰められてビックリはしているものの、俺の呼び方に関して不満はなさそうだ。
ま、レナにとっても年の近い友人は俺やアンナ以外では初だし、途惑っている方が強そうかな。
「で、結局何をしにゲルハルディ領までやってきたのですか?」
「お友達になったのだし、もう少し砕けた話し方をしてくださる?」
「はあ~、で、何しに来たんだ?」
「お婿さんを探しに来たのよ!」
その言葉に隣にいたレナがビクッとする。
「言っておくが、レナとの婚約は陛下の承認もあるから解消できないぞ」
「そんなつもりで言ってないわよ!」
ま、当事者である両者、婚約を結んだ両家の当主の全員が同意すれば解消できなくもないが、俺自身が解消する気がないから無理だろうな。
「そういうつもりでないとなるなら、どういうつもりだ?」
「辺境の騎士ってたくましい人が多いのでしょう? お父様も辺境伯の誰かに打診したいと言っていたし、直に見てみたくって」
「? ウチにはローズマリー嬢よりも年下の騎士はいませんよ?」
「? 年上でもいいじゃない?」
「??? 年上は嫌ではなかったのですか? エルメライヒ公爵からはそう聞いていますよ」
確か、お父様のような方は嫌! という身も蓋もないことを言われたとか言っていたぞ。
エルメライヒ公爵はかなり年下の令嬢を嫁にもらっていたから、年上が嫌だと解釈していたのだが……。
「年上は別に嫌じゃないわよ? あまりにも年齢が離れていれば会話が合わないから嫌だけど……」
「……エルメライヒ公爵のような方は嫌だと言っていたのでは?」
「……ああ、そういう。違うわよ、お父様のような方は嫌とは言ったけれど、年のことじゃないわ。お父様のように無駄に太っている方が嫌という意味よ」
あ~、そういう? 確かにゲーム内の主人公も……平民というか孤児だから当然だけど……痩せていたしな。
てっきり年上嫌いから同い年なゲームの主人公を拾ったのかと思ったら、太っている人間が嫌だからか~。
とはいえ、この国の王都周辺では太っている男は、着飾っている女は富の象徴だから、完全にローズマリー嬢の趣味が悪いってことになるんだよなぁ。
あ、辺境周辺ではそもそも戦えなければ生き残れないので、富を持っているかよりも強いかどうかが良い男の基準だ。
「……わかりました。そういうことなら、騎士団の訓練場に案内しましょう」
「ふふ、楽しみだわ」
「言っておきますが、ウチの騎士団からの引き抜きは厳禁ですからね」
「言葉遣いが戻っていますわよ。……別に本人の同意があれば止められるものでもないでしょう?」
「同意があれば……ですね。ウチの騎士団連中は手ごわいですよ」
ローズマリー嬢を連れてレナと一緒に騎士団の訓練場に向かうことになったが、レナもローズマリー様と呼ぶことにし、なかなかに話は出来ているようだ。
決して、話がはずんでいるわけではないが、ローズマリー嬢の質問に対してレナも恐る恐るながらも、きちんと受け答えが出来ている。
母上から受けていた淑女教育は順調のようで、公爵令嬢という格上の相手であってもきちんと話せているようだな。
とはいえ、ローズマリー嬢の方がレナの話し方に不満があるようで、もっと砕けた話し方をしろとしきりに言っているが……。
「ローズマリー嬢、訓練場に着きましたよ」
「ふうふう、いい運動になったわね」
「……直ぐ近くじゃないですか」
実際、騎士団の訓練場は屋敷に隣接しているので、ほとんど歩いていない。
まあ、王都周辺の公爵令嬢ともなればこの距離でも疲れるのかもしれないが。
「マックス様、本日は訓練でしょうか?」
「ああ、クルト。通達があったと思うが、ローズマリー・フォン・エルメライヒ公爵令嬢をお連れした。わかっていると思うが、騎士連中に粗相をしないように知らせてくれ」
「わかっております」
訓練場に着いたと同時に、既に俺のお世話係として騎士団に認定されているクルトがやってきた。
まあ、どうせ誰かにローズマリー嬢のことを全体通達させなければならなかったから、手間が省けたと思っておこう。
「ローズマリー嬢、危険なのであまり訓練場には……」
「マックス、あの方はクルトという名前なの?」
おいおい、ちょっと目を離したすきにローズマリー嬢が顔を赤くしてぽーっとしてるんだが、まさかじゃないよな!?
「はあ~、私がファーストネームを呼び捨てにする女性は家族とレナだけです。……ですので、ローズマリー嬢と、そうお呼びしましょう」
「それで結構よ、マックス! レナもそれでいい!?」
「は~、もうそれでいいですよ」
「わ、私も問題ありません」
「うふふ、初めてのお友達だわ」
爵位が上の人間が親しい下位の人間をファーストネームで呼び捨てにする場合は多いから、エルメライヒ公爵令嬢……いや、ローズマリー嬢の呼び方は問題ないだろう。
一応、レナの様子もうかがってみるが、ローズマリー嬢に急に距離を詰められてビックリはしているものの、俺の呼び方に関して不満はなさそうだ。
ま、レナにとっても年の近い友人は俺やアンナ以外では初だし、途惑っている方が強そうかな。
「で、結局何をしにゲルハルディ領までやってきたのですか?」
「お友達になったのだし、もう少し砕けた話し方をしてくださる?」
「はあ~、で、何しに来たんだ?」
「お婿さんを探しに来たのよ!」
その言葉に隣にいたレナがビクッとする。
「言っておくが、レナとの婚約は陛下の承認もあるから解消できないぞ」
「そんなつもりで言ってないわよ!」
ま、当事者である両者、婚約を結んだ両家の当主の全員が同意すれば解消できなくもないが、俺自身が解消する気がないから無理だろうな。
「そういうつもりでないとなるなら、どういうつもりだ?」
「辺境の騎士ってたくましい人が多いのでしょう? お父様も辺境伯の誰かに打診したいと言っていたし、直に見てみたくって」
「? ウチにはローズマリー嬢よりも年下の騎士はいませんよ?」
「? 年上でもいいじゃない?」
「??? 年上は嫌ではなかったのですか? エルメライヒ公爵からはそう聞いていますよ」
確か、お父様のような方は嫌! という身も蓋もないことを言われたとか言っていたぞ。
エルメライヒ公爵はかなり年下の令嬢を嫁にもらっていたから、年上が嫌だと解釈していたのだが……。
「年上は別に嫌じゃないわよ? あまりにも年齢が離れていれば会話が合わないから嫌だけど……」
「……エルメライヒ公爵のような方は嫌だと言っていたのでは?」
「……ああ、そういう。違うわよ、お父様のような方は嫌とは言ったけれど、年のことじゃないわ。お父様のように無駄に太っている方が嫌という意味よ」
あ~、そういう? 確かにゲーム内の主人公も……平民というか孤児だから当然だけど……痩せていたしな。
てっきり年上嫌いから同い年なゲームの主人公を拾ったのかと思ったら、太っている人間が嫌だからか~。
とはいえ、この国の王都周辺では太っている男は、着飾っている女は富の象徴だから、完全にローズマリー嬢の趣味が悪いってことになるんだよなぁ。
あ、辺境周辺ではそもそも戦えなければ生き残れないので、富を持っているかよりも強いかどうかが良い男の基準だ。
「……わかりました。そういうことなら、騎士団の訓練場に案内しましょう」
「ふふ、楽しみだわ」
「言っておきますが、ウチの騎士団からの引き抜きは厳禁ですからね」
「言葉遣いが戻っていますわよ。……別に本人の同意があれば止められるものでもないでしょう?」
「同意があれば……ですね。ウチの騎士団連中は手ごわいですよ」
ローズマリー嬢を連れてレナと一緒に騎士団の訓練場に向かうことになったが、レナもローズマリー様と呼ぶことにし、なかなかに話は出来ているようだ。
決して、話がはずんでいるわけではないが、ローズマリー嬢の質問に対してレナも恐る恐るながらも、きちんと受け答えが出来ている。
母上から受けていた淑女教育は順調のようで、公爵令嬢という格上の相手であってもきちんと話せているようだな。
とはいえ、ローズマリー嬢の方がレナの話し方に不満があるようで、もっと砕けた話し方をしろとしきりに言っているが……。
「ローズマリー嬢、訓練場に着きましたよ」
「ふうふう、いい運動になったわね」
「……直ぐ近くじゃないですか」
実際、騎士団の訓練場は屋敷に隣接しているので、ほとんど歩いていない。
まあ、王都周辺の公爵令嬢ともなればこの距離でも疲れるのかもしれないが。
「マックス様、本日は訓練でしょうか?」
「ああ、クルト。通達があったと思うが、ローズマリー・フォン・エルメライヒ公爵令嬢をお連れした。わかっていると思うが、騎士連中に粗相をしないように知らせてくれ」
「わかっております」
訓練場に着いたと同時に、既に俺のお世話係として騎士団に認定されているクルトがやってきた。
まあ、どうせ誰かにローズマリー嬢のことを全体通達させなければならなかったから、手間が省けたと思っておこう。
「ローズマリー嬢、危険なのであまり訓練場には……」
「マックス、あの方はクルトという名前なの?」
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