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幼少期
46 レナとのデート開始
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というわけで、本日はレナとのデート!
というか、婚約者なのに今日が初めてのデートなのだが、貴族だし仕方ないかなとも思っている。
屋敷周辺では一緒に過ごすことも多いし、貴族教育も一緒に受けているから、毎日ほとんどの時間を顔を合わせているのだが、やはりデートとなると違う。
前世ではそれなりに経験がある……いや、取引先の女社長の買い物に付き合うのはデートとは言わんか……あまり経験がないが、前世ではそれなりに遊ぶところが多かったのでこういう時は困らなかったんだが、この世界ではデートも大変だ。
街中は綺麗だし、買い物もできる、のどかな丘や川もあるが、街から一歩離れれば獣や魔獣といったモンスターの脅威もある。
だから、今回は街中で買い物をして、その後に郊外の丘……と言っても、塀で囲まれている街の中だが……で話し合うことにした。
「お待たせしました、マックス様」
「全然待っていないから大丈夫だよ、レナ。……それよりも、いつも綺麗だけど、今日は一段と綺麗だね」
「褒めていただき、ありがとうございます」
レナは黒髪黒目で、影としての教育を受けているからか普段は顔を半分隠すように前髪を下げているのだが、今日は顔が見えるように髪もセットしている。
もちろん、服装もいつも着ているワンピースやメイド服ではなく……影として動くにはメイドが一番自然と言い張ってよくメイド服を着ている……、今日はきちんとおしゃれをしている。
まあ、女性服に関しては似合っているかどうかは前世で鍛えられているからわかるが、種類とか服の名前とかは覚えられないんだよな。
未だにデニムとジーンズの違いもよくわからんし。
「レナ、今日は一緒に楽しもうね」
「マ、マックス様……あの、手が……」
「ああ、確かに貴族は婚約者と言っても触れ合いを良しとはされていないけど、今日はデートだからね。父上も母上もお目こぼししてくれるだろ」
この世界では平民の恋愛観は前世に近いのだが、貴族となると婚姻するまでは触れ合いは最小限にとか、いろいろと面倒くさい。
特に貞操観念はかなり強く、婚姻時に処女検査という魔法が使用され、お互いに清い体であることを証明しなくてはならない。
ま、どちらかが再婚だったりしたらしなくても良いとか、抜け道はあるが、まともな貴族は婚姻前には節度のある付き合いをしているもんだ。
というか、手をつないだだけで、顔を真っ赤にしてしまうとか、マジで俺の婚約者は可愛いな。
前世は仕事柄、徹夜した女性プログラマーを叩き起こしたり、締切ぶっちする女性絵師の家に突撃したりしたけど、こんな可愛らしい反応は返ってきたことないぞ。
大体いつも罵倒か言い訳が返ってきて、化粧くらいしろと言っても男としてみてない人間にそこまでの手間はかけたくないとか言われてたな。
「お、若様。今日は可愛い婚約者とのデートかい?」
「まあね、領主としての教育だとか、王都に連れていかれたりだとかで、まともに交流できていなかったからね」
「おお、そりゃあいかん。婚約者は大切にせな」
「そうだろそうだろ? 領主としての教育も大事だけど、婚約者すら幸せにできなきゃ領民も幸せにできないからな。というわけで、今日は丘でイチャイチャするから野次馬に来ないでくれよ」
「はっはっはっ、若様の恋路を邪魔して馬に蹴られたくはないからな。みんなにも今日は丘の方に行かないように伝えておくよ」
適当に露店で軽食や飲み物を買いつつ、領民とも会話をして情報収集を行っていく。
別に領主としてこういうことをしなければならないというわけではないんだが、前世の経験から自然と人と会話するときには情報収集するのが癖になってるんだよな。
「レナは何か食べたいものはあるかい?」
「マックス様の好きなものでよろしいですよ?」
「いやぁ、そこは頼って好きなものを言ってほしいなぁ。……あ、あのアップルパイはどう?」
「……ええと」
「お、シーフードパイが焼き立て? 最近は良い魚介が入ってるの?」
「ああ、若様か。アンドレ商会が頑張っているからね、最近は新鮮な魚介が入ってくることが増えたよ」
「叔母さまも頑張ってるんだな。……あ、ごめん、レナ。どれにする?」
「ふふ、じゃあ、焼き立てのシーフードパイにしましょうか」
ほんと、悪い癖だな……デート中だってのについつい情報収集しちゃうな。
「おばちゃん、シーフードパイの美味しそうなところ2切れお願いね。……あとは、つまむようにクッキーも貰おうかな」
「クッキーは甘いのが良いならミルク、それ以外なら紅茶入りがおすすめだよ」
「じゃあ、両方とも貰おうかな。余ったら料理長たちにお土産に渡せばいいし」
というか、婚約者なのに今日が初めてのデートなのだが、貴族だし仕方ないかなとも思っている。
屋敷周辺では一緒に過ごすことも多いし、貴族教育も一緒に受けているから、毎日ほとんどの時間を顔を合わせているのだが、やはりデートとなると違う。
前世ではそれなりに経験がある……いや、取引先の女社長の買い物に付き合うのはデートとは言わんか……あまり経験がないが、前世ではそれなりに遊ぶところが多かったのでこういう時は困らなかったんだが、この世界ではデートも大変だ。
街中は綺麗だし、買い物もできる、のどかな丘や川もあるが、街から一歩離れれば獣や魔獣といったモンスターの脅威もある。
だから、今回は街中で買い物をして、その後に郊外の丘……と言っても、塀で囲まれている街の中だが……で話し合うことにした。
「お待たせしました、マックス様」
「全然待っていないから大丈夫だよ、レナ。……それよりも、いつも綺麗だけど、今日は一段と綺麗だね」
「褒めていただき、ありがとうございます」
レナは黒髪黒目で、影としての教育を受けているからか普段は顔を半分隠すように前髪を下げているのだが、今日は顔が見えるように髪もセットしている。
もちろん、服装もいつも着ているワンピースやメイド服ではなく……影として動くにはメイドが一番自然と言い張ってよくメイド服を着ている……、今日はきちんとおしゃれをしている。
まあ、女性服に関しては似合っているかどうかは前世で鍛えられているからわかるが、種類とか服の名前とかは覚えられないんだよな。
未だにデニムとジーンズの違いもよくわからんし。
「レナ、今日は一緒に楽しもうね」
「マ、マックス様……あの、手が……」
「ああ、確かに貴族は婚約者と言っても触れ合いを良しとはされていないけど、今日はデートだからね。父上も母上もお目こぼししてくれるだろ」
この世界では平民の恋愛観は前世に近いのだが、貴族となると婚姻するまでは触れ合いは最小限にとか、いろいろと面倒くさい。
特に貞操観念はかなり強く、婚姻時に処女検査という魔法が使用され、お互いに清い体であることを証明しなくてはならない。
ま、どちらかが再婚だったりしたらしなくても良いとか、抜け道はあるが、まともな貴族は婚姻前には節度のある付き合いをしているもんだ。
というか、手をつないだだけで、顔を真っ赤にしてしまうとか、マジで俺の婚約者は可愛いな。
前世は仕事柄、徹夜した女性プログラマーを叩き起こしたり、締切ぶっちする女性絵師の家に突撃したりしたけど、こんな可愛らしい反応は返ってきたことないぞ。
大体いつも罵倒か言い訳が返ってきて、化粧くらいしろと言っても男としてみてない人間にそこまでの手間はかけたくないとか言われてたな。
「お、若様。今日は可愛い婚約者とのデートかい?」
「まあね、領主としての教育だとか、王都に連れていかれたりだとかで、まともに交流できていなかったからね」
「おお、そりゃあいかん。婚約者は大切にせな」
「そうだろそうだろ? 領主としての教育も大事だけど、婚約者すら幸せにできなきゃ領民も幸せにできないからな。というわけで、今日は丘でイチャイチャするから野次馬に来ないでくれよ」
「はっはっはっ、若様の恋路を邪魔して馬に蹴られたくはないからな。みんなにも今日は丘の方に行かないように伝えておくよ」
適当に露店で軽食や飲み物を買いつつ、領民とも会話をして情報収集を行っていく。
別に領主としてこういうことをしなければならないというわけではないんだが、前世の経験から自然と人と会話するときには情報収集するのが癖になってるんだよな。
「レナは何か食べたいものはあるかい?」
「マックス様の好きなものでよろしいですよ?」
「いやぁ、そこは頼って好きなものを言ってほしいなぁ。……あ、あのアップルパイはどう?」
「……ええと」
「お、シーフードパイが焼き立て? 最近は良い魚介が入ってるの?」
「ああ、若様か。アンドレ商会が頑張っているからね、最近は新鮮な魚介が入ってくることが増えたよ」
「叔母さまも頑張ってるんだな。……あ、ごめん、レナ。どれにする?」
「ふふ、じゃあ、焼き立てのシーフードパイにしましょうか」
ほんと、悪い癖だな……デート中だってのについつい情報収集しちゃうな。
「おばちゃん、シーフードパイの美味しそうなところ2切れお願いね。……あとは、つまむようにクッキーも貰おうかな」
「クッキーは甘いのが良いならミルク、それ以外なら紅茶入りがおすすめだよ」
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