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幼少期
21 ウイスキーボンボンの試作とフランスパン
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「ほう、チョコレートの中にウイスキーを入れるなんて奇抜なと思いましたが、なかなかに簡単なものなんですね」
「温度管理さえできたら子供にだってできるからね」
「そうですが、坊ちゃん1人で作るのはダメですぜ。熱いチョコレートがかかったら一大事ですからね」
「わかってるよ。そもそも重いし、混ぜるのも大変だから1人で作ろうなんて思わないよ」
というわけで、今日はユリア叔母さんが届けてくれたチョコレートでウイスキーボンボン作りに励んでいる。
正直、自分で食べるわけでもないのに作っているのは謎だが、ゲルハルディ領ではウイスキーを製造しているし、チョコレートの輸入はバルディ領がメインだから特産品になると思ってのことだ。
前世、野郎な俺がウイスキーボンボンを作れるなんておかしいと思われるかもしれないが、取引先の社長がウイスキーボンボン大好きで、自分でも作っていると言うからコミュニケーションとして一緒に作ったことがあるんだよな。
割と簡単だったから、他の取引先にも配り歩いていたら、意外と好評で何度もねだられて覚えてしまったというわけだ。
「で、坊ちゃん。何やらパンも何かしたという話でしたか」
「そうそう。今のパンって柔らかいのしかないじゃん? 硬いパンも食べたいなって」
「硬い? 柔らかい方が食べやすいでしょう」
この世界のパンはシナリオライターの好みが反映されていて柔らかい……というよりも柔らかすぎるパンしか存在しない。
奴は食パンを出せば耳を残し、ハードタイプのパンは当然だが、焼きたてのフランスパンでさえ見向きもしなかった男だ。
そんな奴の好みが反映されているのか、この世界のパンは前世で流行っていたモチモチパンやコッペパンばかりなんだ。
まあ、それらも美味しいのだが、俺はガーリックフランスやベーコンエピなんかのハードパンに工夫を施したパンが食べたいんだ!
「まあまあ、これも虫除けの実と一緒だよ。嫌いな人もいるかもしれないけど、好きな人もいるかもしれないでしょ」
「まあ、そうですな。で、これも何か画期的な素材が必要なのですかい?」
「いやいや、むしろいつものパンよりも幾分か手抜きしていいくらいだよ。砂糖は塩と同じくらいでいいし、いつもよりも捏ねすぎないことが重要かな」
「ふむ」
「小麦粉は強力粉だけじゃなくて薄力粉も少し混ぜて……あ、オーブンはいつもよりも高い温度にしてね。余熱250度、200度くらいで10分くらい焼く感じかな」
「そいつぁ、焦げねえですかい?」
「砂糖が少ないから平気なはず……まあ、一緒に作ってみようよ。俺は口を出すだけになるけど」
「へえへえ。よしっ、お前ら、坊ちゃんの言うとおりに作るんだぞ」
「「「はい」」」
唐辛子やタバスコなんかの売り上げの一部を特別給金として、試作に協力してくれた料理人に配ったこともあって、貴族の坊ちゃんである俺がこうして調理室に入っても何も言われなくなった。
どころか、若手を中心に俺の試作には協力的で、こうして料理長を含めて何人かの若手が手伝ってくれるようになった。
まあ、保守的な人やここで働いているのは生きるためで腕を磨こうと思ってない人は見向きもしないが、まあ、こっちがわがままを言っているんだからそういう人がいるのは当然だ。
「坊ちゃん、分量はこんな感じで?」
「うん、多分それで大丈夫だよ」
「……捏ねない……捏ねない」
「……結構べたつくな」
「生地がまとまったら一次発酵だね。……俺は外で体力づくりしてくるから、料理長たちはいつもの仕事でもしておいてよ。1時間くらいしたら戻ってくるからさ」
「へい。……ほれ、お前ら夕飯の下ごしらえをするぞ!」
というわけで、発酵時間はやれることがないので、レナとともに外で走ってくることに。
剣を振るには時間が足らないし、休憩をはさみながら走り込みをしていれば1時間なんてあっという間にすぎるからな。
――――――――――――
「……うーん。大体2倍になったかな」
「あとは普通のパンと同じで?」
「ええとね、平べったく伸ばしたら3つ折りにしてほしいんだよね。楕円形になるような感じで」
作ろうとしているのはパリジャンではなく、バタールなのでそれほど長くはしないが、やはりあの楕円形の形にならないとフランスパンっぽくないだろう。
「ほうほう、こんな感じで」
「うんうん、そうそう。やっぱりみんな毎日パン作ってるだけあってうまいね」
「全員が毎日ではないですがね。それよりも普通の生地よりもべたつくので作りづらいっちゃ作りづらいですな」
「ま、その辺も慣れてよ。あとは40分くらい2次発酵させたら、オーブンで焼いていくからオーブンの準備もお願いね」
「もちろんでさぁ。で、坊ちゃん、他に気を付けることは?」
「二次発酵が済んだら、粉を軽く振って切れ目を入れること。オーブンに生地を入れる前に霧吹きで水を吹きかけて素早くオーブンに入れる……くらいかな。あとは気に入ったら研究してよ」
「オーケー、じゃ、坊ちゃんたちは二次発酵が終わるまでまた、走り込みですかい?」
「そうだね、ちょっと行ってくるよ」
「温度管理さえできたら子供にだってできるからね」
「そうですが、坊ちゃん1人で作るのはダメですぜ。熱いチョコレートがかかったら一大事ですからね」
「わかってるよ。そもそも重いし、混ぜるのも大変だから1人で作ろうなんて思わないよ」
というわけで、今日はユリア叔母さんが届けてくれたチョコレートでウイスキーボンボン作りに励んでいる。
正直、自分で食べるわけでもないのに作っているのは謎だが、ゲルハルディ領ではウイスキーを製造しているし、チョコレートの輸入はバルディ領がメインだから特産品になると思ってのことだ。
前世、野郎な俺がウイスキーボンボンを作れるなんておかしいと思われるかもしれないが、取引先の社長がウイスキーボンボン大好きで、自分でも作っていると言うからコミュニケーションとして一緒に作ったことがあるんだよな。
割と簡単だったから、他の取引先にも配り歩いていたら、意外と好評で何度もねだられて覚えてしまったというわけだ。
「で、坊ちゃん。何やらパンも何かしたという話でしたか」
「そうそう。今のパンって柔らかいのしかないじゃん? 硬いパンも食べたいなって」
「硬い? 柔らかい方が食べやすいでしょう」
この世界のパンはシナリオライターの好みが反映されていて柔らかい……というよりも柔らかすぎるパンしか存在しない。
奴は食パンを出せば耳を残し、ハードタイプのパンは当然だが、焼きたてのフランスパンでさえ見向きもしなかった男だ。
そんな奴の好みが反映されているのか、この世界のパンは前世で流行っていたモチモチパンやコッペパンばかりなんだ。
まあ、それらも美味しいのだが、俺はガーリックフランスやベーコンエピなんかのハードパンに工夫を施したパンが食べたいんだ!
「まあまあ、これも虫除けの実と一緒だよ。嫌いな人もいるかもしれないけど、好きな人もいるかもしれないでしょ」
「まあ、そうですな。で、これも何か画期的な素材が必要なのですかい?」
「いやいや、むしろいつものパンよりも幾分か手抜きしていいくらいだよ。砂糖は塩と同じくらいでいいし、いつもよりも捏ねすぎないことが重要かな」
「ふむ」
「小麦粉は強力粉だけじゃなくて薄力粉も少し混ぜて……あ、オーブンはいつもよりも高い温度にしてね。余熱250度、200度くらいで10分くらい焼く感じかな」
「そいつぁ、焦げねえですかい?」
「砂糖が少ないから平気なはず……まあ、一緒に作ってみようよ。俺は口を出すだけになるけど」
「へえへえ。よしっ、お前ら、坊ちゃんの言うとおりに作るんだぞ」
「「「はい」」」
唐辛子やタバスコなんかの売り上げの一部を特別給金として、試作に協力してくれた料理人に配ったこともあって、貴族の坊ちゃんである俺がこうして調理室に入っても何も言われなくなった。
どころか、若手を中心に俺の試作には協力的で、こうして料理長を含めて何人かの若手が手伝ってくれるようになった。
まあ、保守的な人やここで働いているのは生きるためで腕を磨こうと思ってない人は見向きもしないが、まあ、こっちがわがままを言っているんだからそういう人がいるのは当然だ。
「坊ちゃん、分量はこんな感じで?」
「うん、多分それで大丈夫だよ」
「……捏ねない……捏ねない」
「……結構べたつくな」
「生地がまとまったら一次発酵だね。……俺は外で体力づくりしてくるから、料理長たちはいつもの仕事でもしておいてよ。1時間くらいしたら戻ってくるからさ」
「へい。……ほれ、お前ら夕飯の下ごしらえをするぞ!」
というわけで、発酵時間はやれることがないので、レナとともに外で走ってくることに。
剣を振るには時間が足らないし、休憩をはさみながら走り込みをしていれば1時間なんてあっという間にすぎるからな。
――――――――――――
「……うーん。大体2倍になったかな」
「あとは普通のパンと同じで?」
「ええとね、平べったく伸ばしたら3つ折りにしてほしいんだよね。楕円形になるような感じで」
作ろうとしているのはパリジャンではなく、バタールなのでそれほど長くはしないが、やはりあの楕円形の形にならないとフランスパンっぽくないだろう。
「ほうほう、こんな感じで」
「うんうん、そうそう。やっぱりみんな毎日パン作ってるだけあってうまいね」
「全員が毎日ではないですがね。それよりも普通の生地よりもべたつくので作りづらいっちゃ作りづらいですな」
「ま、その辺も慣れてよ。あとは40分くらい2次発酵させたら、オーブンで焼いていくからオーブンの準備もお願いね」
「もちろんでさぁ。で、坊ちゃん、他に気を付けることは?」
「二次発酵が済んだら、粉を軽く振って切れ目を入れること。オーブンに生地を入れる前に霧吹きで水を吹きかけて素早くオーブンに入れる……くらいかな。あとは気に入ったら研究してよ」
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「そうだね、ちょっと行ってくるよ」
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