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幼少期
12 それぞれの感想
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「ふーん、初めて作ったにしてはそれなりのものが出来たじゃねえですか」
「うん、これならもう少し虫除けの実を多くしても良かったかもな」
「若、わたしはあんまり好きじゃないです。口の中が痛いです」
「ああ、レナ。辛い時は水よりも牛乳を飲む方がいいぞ。レナに牛乳を、辛すぎると思ったやつは牛乳を飲んでくれよな」
「はい」
「俺は白ワインと合わせたらおいしいと思うんだが、他の奴はどうだ?」
「僕は結構好きですね」
「私はあんまり。カルボナーラの方が良いですね」
料理長の問いかけに対して、試食をした料理人たちが口々に答えていく。
半々……いや、それは希望的観測か……だけど、嫌いじゃないという評価の人も少なからずいる感じか。
「坊ちゃん、これは旦那様と奥様にも出した方がいいよな?」
「うーん、父上と母上かぁ。どうだろ? 最初は味見程度に出してみて気に入る様だったら1皿分出してみれば?」
「他人事ですなぁ」
「だって、俺はとりあえず満足したし、しばらくは食べなくてもいいかなぁって」
確かにペペロンチーノは好きだが、そんなに連続して食べるもんじゃないというか……連続して食べていると新入社員時代の金欠だったころを思い出すからな。
「じゃあ、虫除けの実を使った他の料理は思いつかないんで?」
「うーん、そうだなぁ。ピザを食べるときに乾燥させて砕いたものをかけるとか……あとはあれだな、ソーセージを作るときに中に入れて辛いソーセージを作るとか……かなぁ」
「ほうほう。両方ともビールが進みそうですなぁ」
「はぁ、料理長の感想は全部酒につながっているけど、俺はまだ5歳だからその感想にはうなずけないぞ。その辺は父上や母上と話し合ってくれ」
前世ではそれなりに酒も好きだったし、関連会社の接待にもよく呼ばれていたが、流石に5歳から酒を飲みたいとは思わんぞ。
まあ、酒に関しては父上も母上も酒豪とはまではいかないけど、普通に夜飯時にワインやビールを飲んでいるので、そっちで確かめてもらうのが良いだろうな。
「ふむ。とりあえず、いくつか作ってみて、屋敷のみんなに試食してもらいますかね。評判が良さそうなら奥様から文官の方に話を通してもらうか」
「ああ、ソーセージとか乾燥させて砕いたのとかできたら、俺にも分けてくれるか? 叔母さまが嫁いだアンドレ商会にサンプルとして持っていくからさ」
「お、坊ちゃん。小遣い稼ぎですかい?」
「まあね。貴族としては副業の1つも持ってないとなかなか嗜好品は買えないからね」
別にゲルハルディ家は貧乏というわけではないし、必要なものなら言えば購入してもらえるが、ダンジョン攻略に必要なアイテムを購入したいから金をくれと言ってもくれないだろう。
まあ、レナという婚約者もできたわけだし、婚約者へのプレゼントくらいは自分で稼いだ金であげたいしな。
「ふむふむ。じゃあ、暇を見つけて試作してみますかね」
「ああ、あと砕いたものだけじゃなく、すりつぶして粉状になったのも用意してくれるかな?」
「ふむ、そっちの用途は?」
「パスタとかスープとかで辛いものが食べたくなった時にかけるようかな。砕いたくらいじゃ舌触りが悪くなりそうだし」
「確かに良さそうだな。……よし、とりあえずお前ら、夕飯の支度に戻るぞ! 坊ちゃん、試作品が出来上がったら声をかけますので、しばらくお待ちください」
「あんまり待たされるのもアレだけど、そこまで急いでるわけでもないから、そっちの都合のいい時でいいぞ」
「はい」
「じゃあ、レナ。体力づくりに戻るか」
「お供します」
まあ、レナは体力づくりは必要ないんだが、俺に付き合って一緒に走ってくれるんだよな。
この健気な婚約者のためにも、なんとか金を稼いで、ダンジョンを攻略して、中ボスになるのを回避しないとな。
「うん、これならもう少し虫除けの実を多くしても良かったかもな」
「若、わたしはあんまり好きじゃないです。口の中が痛いです」
「ああ、レナ。辛い時は水よりも牛乳を飲む方がいいぞ。レナに牛乳を、辛すぎると思ったやつは牛乳を飲んでくれよな」
「はい」
「俺は白ワインと合わせたらおいしいと思うんだが、他の奴はどうだ?」
「僕は結構好きですね」
「私はあんまり。カルボナーラの方が良いですね」
料理長の問いかけに対して、試食をした料理人たちが口々に答えていく。
半々……いや、それは希望的観測か……だけど、嫌いじゃないという評価の人も少なからずいる感じか。
「坊ちゃん、これは旦那様と奥様にも出した方がいいよな?」
「うーん、父上と母上かぁ。どうだろ? 最初は味見程度に出してみて気に入る様だったら1皿分出してみれば?」
「他人事ですなぁ」
「だって、俺はとりあえず満足したし、しばらくは食べなくてもいいかなぁって」
確かにペペロンチーノは好きだが、そんなに連続して食べるもんじゃないというか……連続して食べていると新入社員時代の金欠だったころを思い出すからな。
「じゃあ、虫除けの実を使った他の料理は思いつかないんで?」
「うーん、そうだなぁ。ピザを食べるときに乾燥させて砕いたものをかけるとか……あとはあれだな、ソーセージを作るときに中に入れて辛いソーセージを作るとか……かなぁ」
「ほうほう。両方ともビールが進みそうですなぁ」
「はぁ、料理長の感想は全部酒につながっているけど、俺はまだ5歳だからその感想にはうなずけないぞ。その辺は父上や母上と話し合ってくれ」
前世ではそれなりに酒も好きだったし、関連会社の接待にもよく呼ばれていたが、流石に5歳から酒を飲みたいとは思わんぞ。
まあ、酒に関しては父上も母上も酒豪とはまではいかないけど、普通に夜飯時にワインやビールを飲んでいるので、そっちで確かめてもらうのが良いだろうな。
「ふむ。とりあえず、いくつか作ってみて、屋敷のみんなに試食してもらいますかね。評判が良さそうなら奥様から文官の方に話を通してもらうか」
「ああ、ソーセージとか乾燥させて砕いたのとかできたら、俺にも分けてくれるか? 叔母さまが嫁いだアンドレ商会にサンプルとして持っていくからさ」
「お、坊ちゃん。小遣い稼ぎですかい?」
「まあね。貴族としては副業の1つも持ってないとなかなか嗜好品は買えないからね」
別にゲルハルディ家は貧乏というわけではないし、必要なものなら言えば購入してもらえるが、ダンジョン攻略に必要なアイテムを購入したいから金をくれと言ってもくれないだろう。
まあ、レナという婚約者もできたわけだし、婚約者へのプレゼントくらいは自分で稼いだ金であげたいしな。
「ふむふむ。じゃあ、暇を見つけて試作してみますかね」
「ああ、あと砕いたものだけじゃなく、すりつぶして粉状になったのも用意してくれるかな?」
「ふむ、そっちの用途は?」
「パスタとかスープとかで辛いものが食べたくなった時にかけるようかな。砕いたくらいじゃ舌触りが悪くなりそうだし」
「確かに良さそうだな。……よし、とりあえずお前ら、夕飯の支度に戻るぞ! 坊ちゃん、試作品が出来上がったら声をかけますので、しばらくお待ちください」
「あんまり待たされるのもアレだけど、そこまで急いでるわけでもないから、そっちの都合のいい時でいいぞ」
「はい」
「じゃあ、レナ。体力づくりに戻るか」
「お供します」
まあ、レナは体力づくりは必要ないんだが、俺に付き合って一緒に走ってくれるんだよな。
この健気な婚約者のためにも、なんとか金を稼いで、ダンジョンを攻略して、中ボスになるのを回避しないとな。
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