気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
上 下
6 / 125
幼少期

06 婚約者になってもらうために押しまくれ

しおりを挟む
「レナ、婚約の返事は?」

「待ってください、若」

「レナの父親のバルディ男爵様も良いと言ってくれたんだろう?」

「そうですが、若はわたしのことが好きなわけではないですよね?」

「ん? 好きだよ」

「その好きは恋人に抱く好きではないでしょう」

 領地に戻ってから体形を戻すためにも食事制限をしつつ、運動もしている俺だが、レナからの返事は色よいものではなかった。

「うーん、まあ俺もまだ5歳だしな好きだなんだのは正直よくわからんが、父上と母上を見ていてわかってることはある。貴族にとって必要なのは燃え上がる恋ではなく、相手を思いやる愛なんだということだ」

 あ、ちなみに、領地に戻ってすぐに王都式の話し方は必要なくなったと両親と話し合って、多少砕けた口調で、呼び名も父上、母上呼びにしてもらった。
 正直、お父様、お母様と呼ぶのはいちいち背筋がゾワってするから、困ってたしな。

「若、本当に5歳ですか? ……でも、これから出会う方に燃え上がるような恋をするかもしれませんよ?」

「俺が? はっ、ないな。……いや、ないと断言はできないが、婚約者がいるのに、他の相手に現を抜かすと? 見くびりすぎだぞ」

「そこまでは言いませんが、そうなった場合に若が困るでしょう?」

「レナも同い年のはずなのに、そこまで未来を考えなくてもいいとは思うが……。困りはしないよ、貴族としても男としても婚約者には誠実にありたいからな」

「でも……」

 うーん、反応は悪くないと思うんだが、自己評価が低いのか、主家に嫁ぐのに抵抗があるのか、なかなか首を縦に振ってくれないな。
 とはいえ、このまま婚約者を決めないと国王陛下の鶴の一声でカタリナ(ヒロイン)と婚約させられかねないし、困るんだよな。

「レナ、確かに俺は恋愛についてはわからないし、これから恋をすることもあるかもしれない。でも、レナのことを好きなのは本当だし、一緒にいたいというのも本当だ。もし、ここでレナと婚約できなければ、他の不本意な相手と婚約しなければならなくなるかもしれない」

「若……」

「だからというわけじゃないが、一生側にいても困らない……一緒に支えあえるレナと婚約したいというのはそこまで間違ったことか?」

「わ、わかりました」

「じゃあ?」

「はい、お父様に言って若との婚約を前向きに考えてみます」

「ありがとう、レナ。大切にするよ」

「若、そう言った言葉は本格的に婚約してからお願いします」

「そうだな」

「それと、婚約しても若の影は続けさせてもらいますから!」

「んー、まあそれがレナのやりたいことなら、まあいいよ。俺もレナが危険な目に遭わないように鍛えないとな。……それと、婚約したら若って呼び方はやめろよ」

「わ、わかりました」

 なんとかなりそうか、これでレナと婚約できれば俗にいうシナリオの強制力とやらも発動しないと考えていいかもな。
 まあ、シナリオの強制力があるなら領地に戻れているのがおかしいんだが、このまま婚約者なしだと危ないのは確かだしな。
 バルディ男爵は婚約には前向きというか、婚約者になればどこでも影の仕事ができるから良いんじゃないかって考え方だったから大丈夫だろうな。

 あとは破滅を防ぐ方法だが、貴族学園に通う10年後までやることがないと思われがちだが、やるべきことはいくつかある。
 1つめはこれから3年後にある海外勢力からの侵攻を妨げることだ。
 これから3年後、マックスが8歳の頃にゲルハルディ領は南大陸の国から侵略され、ゲルハルディ伯爵、伯爵夫人、前伯爵の活躍によって退けることができるも伯爵夫妻が亡くなってしまう。
 一時的に前伯爵、つまりマックスの爺さんが伯爵代行となるが、領の戦力はガタ落ち、マックスの性格もねじくれてしまう。
 まあ、そんなことを考えずとも、両親を死に追いやる侵攻を防ぐのは当然だし、次期領主として、ゲルハルディ領に侵攻することがいかにバカらしいか教えてやらないといけない。

 2つめは侵攻にも関わるが、俺のレベル上げ、更には主人公が勇者になるのを防ぐためにダンジョンを制覇することだ。
 一応、野生生物でもレベル上げはできるがすべての生物にはレベル上限があり、自身のレベル未満の敵を倒しても経験値が得られないので、必然的に強者を相手にする必要がある。
 ダンジョンの敵は野生生物に比べても高レベルで、特にゲルハルディ領は最終決戦の地でもあるので高レベルダンジョンがいくつかある。
 その中の1つに攻略方法さえ知っていれば比較的簡単に攻略出来て、さらにゲーム終盤に主人公が見つけるまで未発見というダンジョンがある。
 ここを利用して、最低でもゲーム内のレベルに追いつく、欲を言えば最高レベルである50レベルになるのが目標だな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役貴族だけど、俺のスキルがバグって最強になった

ポテトフライ
ファンタジー
異世界ゲーム『インフィニティ・キングダム』の悪役貴族クラウス・フォン・アルベリヒに転生した俺。しかし、この世界の設定がバグっており、俺のスキルが異常な強さになっていた——『魔王級魔力(SSS)』『戦闘技術(SSS)』『経済操作(SSS)』……チートのオンパレード!? ゲームでは主人公に敗北し、悲惨な最期を迎えるはずだった俺だが、こんなスキルを持っているなら話は別だ。侵攻してくる王国軍を迎え撃ち、領地を発展させ、俺の支配下に置く。 悪役? いや、もはや“魔王”だ。 世界を手中に収めるため、バグスキルを駆使した最強の統治が今、始まる!

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...