148 / 150
終章 迷宮都市
13 プロポーズ
しおりを挟む
目が覚めたら見慣れた天井がある。
いやいや、アホなこと言ってる場合じゃないな。
俺は……そうか、神様にこの世界に残してもらうことにしたんだ。
神様からは役割は終わったから、転生してもいいとは言われたけど、なんとなく俺はこの世界でやり残したことがあるような気がするんだよな。
まあ、神様としても残るのなら異界のレシピの内容を日本語と現地語の両方で書き残してほしい、なんて頼まれたけど。
神様が言うには俺から不老不死の肉体と、ダメージを反射する加護、それに死への恐怖心を取り除いて、現地語が理解できるようにしたってことなんだけど。
恐怖心は旅を続けるのに障害になるから、現地語については一所に根付くことを避けるために神様かが勝手に付け足した呪いらしい。
まあ、神様からしたら旅をして料理を広めてもらわないと困るから、当然の処置っちゃ処置なんだが、一言言ってくれてもよかったよな。
まあ、なんにせよ俺のやることは変わらない。
食堂自体はこのまま俺の能力として使えるらしいし、レイジが迷宮都市で頑張ってる間はここに根を張って新しい食材で新しい料理を作って、暇を見つけたらレシピを書き留めるかな。
死への恐怖心が人並みになったなら、これからは旅も難しくなるかもしれないけど、その辺もどうなってるのか確かめないとな。
「あれ、マサトさん、今日はゆっくりなんですね。お兄ちゃんたちはもう行っちゃいましたよ?」
自室で準備をして食堂の一回に降りると、既にミーナは起きていたようで食堂の開店準備をしていた。
「ああ、夢に……? 夢に神様が出てきてさ」
「?」
「なんか神様からの頼まれごとは解決したから、これから適当に生きろ的な? 話をされてさ」
いや、ミーナが困惑してるがマジでこういうしかない出来事なんだよな。
レイジとミーナには神様関連の話をしてし加護の関係もあるから伝えるけど、他の人には話さないほうがいいかもな。
「まあ、だからこれからは加護がなくなる代わりに自由に生きていいらしいんだよね。……あ、ミーナもこれから普通に怪我とかするだろうから、包丁の扱いには気を付けるんだぞ?」
「……よくわかりませんけど、マサトさんが言うなら気を付けます」
「まあ、料理人の天職持ちのミーナに言うことじゃないかな……レイジにも気を付けるように言っときたいけどレイジも戦闘系の天職持ちだし……一番に気を付けるのは俺か」
天職には対応している物事に対するボーナスみたいなものがあるから、刃物の扱いで気を付けるのは俺なんだよな。
「……」
ふと、何の気なしにミーナの顔を覗いた瞬間、俺は、俺がこの世界でやり残したことに気が付いた。
「……ミーナ」
「はい?」
「ええと、何というか、俺は今、なんで俺がこの世界に残ったのかに気が付いた」
「はい……?」
「俺はミーナのことが好きだ。これからの人生をミーナと一緒に過ごしたい」
初めてこの世界に降り立った時に出会った少女、楽しい時も苦しい時も常に一緒にいて感情を共有してきた。
この世界でいろいろな場所を旅してきて、いろんな人たちに出会った。
それでも俺が一緒に居たいと思ったのは、レイジとミーナだけ。
多分、本能的に家族になりたいと思った人を選別していたんだろうな……と、神様かの加護がなくなった今なら思う。
「え?……えっと?」
「あー、いきなりこんなことを言われたら混乱するよな。神様から加護を取られた影響か、いろいろと俺も変わったんだ。その影響で恋とか愛についての感情も取り戻したんだけど、ミーナの顔を見た瞬間に分かったんだ。俺はミーナのことが好きなんだって」
「は……はい」
「あー、悪い。なんか一方的に話をしちゃったな。ミーナにそういうつもりがなければそう言ってもらっていいし、よくわからないならまた日を改めても……」
「ち、違います! わたしも! わたしもマサトさんのことが好きです!」
見る見るうちにミーナの顔が赤くなっていく……いや、多分の俺の顔も真っ赤なんだろうな、かなり顔が熱い。
「じゃあ……」
「はい、これからもわたしと一緒にいてくださぃ」
かなり恥ずかしいのか後半は声が小さくなってしまったが、なんかこういうところも好きなんだよな。
いやいや、アホなこと言ってる場合じゃないな。
俺は……そうか、神様にこの世界に残してもらうことにしたんだ。
神様からは役割は終わったから、転生してもいいとは言われたけど、なんとなく俺はこの世界でやり残したことがあるような気がするんだよな。
まあ、神様としても残るのなら異界のレシピの内容を日本語と現地語の両方で書き残してほしい、なんて頼まれたけど。
神様が言うには俺から不老不死の肉体と、ダメージを反射する加護、それに死への恐怖心を取り除いて、現地語が理解できるようにしたってことなんだけど。
恐怖心は旅を続けるのに障害になるから、現地語については一所に根付くことを避けるために神様かが勝手に付け足した呪いらしい。
まあ、神様からしたら旅をして料理を広めてもらわないと困るから、当然の処置っちゃ処置なんだが、一言言ってくれてもよかったよな。
まあ、なんにせよ俺のやることは変わらない。
食堂自体はこのまま俺の能力として使えるらしいし、レイジが迷宮都市で頑張ってる間はここに根を張って新しい食材で新しい料理を作って、暇を見つけたらレシピを書き留めるかな。
死への恐怖心が人並みになったなら、これからは旅も難しくなるかもしれないけど、その辺もどうなってるのか確かめないとな。
「あれ、マサトさん、今日はゆっくりなんですね。お兄ちゃんたちはもう行っちゃいましたよ?」
自室で準備をして食堂の一回に降りると、既にミーナは起きていたようで食堂の開店準備をしていた。
「ああ、夢に……? 夢に神様が出てきてさ」
「?」
「なんか神様からの頼まれごとは解決したから、これから適当に生きろ的な? 話をされてさ」
いや、ミーナが困惑してるがマジでこういうしかない出来事なんだよな。
レイジとミーナには神様関連の話をしてし加護の関係もあるから伝えるけど、他の人には話さないほうがいいかもな。
「まあ、だからこれからは加護がなくなる代わりに自由に生きていいらしいんだよね。……あ、ミーナもこれから普通に怪我とかするだろうから、包丁の扱いには気を付けるんだぞ?」
「……よくわかりませんけど、マサトさんが言うなら気を付けます」
「まあ、料理人の天職持ちのミーナに言うことじゃないかな……レイジにも気を付けるように言っときたいけどレイジも戦闘系の天職持ちだし……一番に気を付けるのは俺か」
天職には対応している物事に対するボーナスみたいなものがあるから、刃物の扱いで気を付けるのは俺なんだよな。
「……」
ふと、何の気なしにミーナの顔を覗いた瞬間、俺は、俺がこの世界でやり残したことに気が付いた。
「……ミーナ」
「はい?」
「ええと、何というか、俺は今、なんで俺がこの世界に残ったのかに気が付いた」
「はい……?」
「俺はミーナのことが好きだ。これからの人生をミーナと一緒に過ごしたい」
初めてこの世界に降り立った時に出会った少女、楽しい時も苦しい時も常に一緒にいて感情を共有してきた。
この世界でいろいろな場所を旅してきて、いろんな人たちに出会った。
それでも俺が一緒に居たいと思ったのは、レイジとミーナだけ。
多分、本能的に家族になりたいと思った人を選別していたんだろうな……と、神様かの加護がなくなった今なら思う。
「え?……えっと?」
「あー、いきなりこんなことを言われたら混乱するよな。神様から加護を取られた影響か、いろいろと俺も変わったんだ。その影響で恋とか愛についての感情も取り戻したんだけど、ミーナの顔を見た瞬間に分かったんだ。俺はミーナのことが好きなんだって」
「は……はい」
「あー、悪い。なんか一方的に話をしちゃったな。ミーナにそういうつもりがなければそう言ってもらっていいし、よくわからないならまた日を改めても……」
「ち、違います! わたしも! わたしもマサトさんのことが好きです!」
見る見るうちにミーナの顔が赤くなっていく……いや、多分の俺の顔も真っ赤なんだろうな、かなり顔が熱い。
「じゃあ……」
「はい、これからもわたしと一緒にいてくださぃ」
かなり恥ずかしいのか後半は声が小さくなってしまったが、なんかこういうところも好きなんだよな。
8
お気に入りに追加
609
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる