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5章 帝国
04 スパゲッティ
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帝都に向かうまでの道中の料理は請け負うことにしたが、帝国で用意されていた食材はすべて野菜と果物……まあ、王国と変わりない食材だな。
結局料理が発達していない帝国では食料は生で食べられるものがメインになるから、こうなるのは分かっていたことだ。
水魔法や氷魔法の使い手が兵士の中に配置されているから、食材が腐るってことはなさそうだが、結局主食がないってことに変わりはない。
なんで、三日間をかけて帝都に向かう予定だったのだが、五日に工程を伸ばして一日当たりの移動距離を抑えてもらった。
主食に使うパンを作るためにはある程度の時間が必要だから、料理人の天職持ちの兵士に手伝ってもらってもそこまでの移動時間が取れないと判断したためだ。
ミレーヌとしても、皇帝に会う前に料理に関する知識を入れておきたいとのことで、旅程を延ばすことには同意してもらえた。
「今日の昼食は緑菜とベーコンを使ったパスタにするぞ」
料理を食べ慣れていない人にとって麺類は結構食べにくいものだとは思うんだけど、聖王国にばらまいたから爆弾米の備蓄があまりない。
それに、パンにしたって五十人分もすぐさま焼けるものではないので、昼は麺類で勘弁してもらう。
昼食を食べたら、移動の前にパン生地だけは先に作っておかないとな。
「緑菜は食堂の畑のものを先に使いますか?」
「いや、馬車の中の食料を食堂に運んでもらったから冷蔵庫とか保管庫に入りきらないものから先に使っちゃおう」
畑の作物は食堂を展開しなければ生育が止められるから急いで使わなくてもいいだろう。
それよりも、葉物野菜はいくら冷やしていても傷む心配があるからなるべく早く使いたいんだよな。
「ベーコンを使わなくても、お肉なら僕が狩ってくるけど?」
「いや、五十人分になるとレイジの手も必要になってくるからな。獣や魔獣を狩るのは明日以降にしよう」
一日分でも食事をきちんとすればわずかでもステータスが上昇するからな。
帝国兵にも獣狩りをしてもらうのなら、ステータスが上がった状態でやってもらった方が効率がいいだろう。
「じゃあ、僕はベーコンを切り出すよ」
「わたしは緑菜を刻みますね」
「ああ、二人とも兵士の人にも教えながらやってくれよ」
結局料理を教えるのは二人のほうが上手いから、俺は一人でパスタを茹でることにしよう。
ショートパスタもストックになくはないけど、量が少ないから今回はオーソドックスなスパゲッティ。
五十人分ってことだけど、食堂内には全員は入れないから半々で作る感じになるな。
まあ、食堂内のコンロも火力は業務用って感じだから、数キロのパスタを茹でても大丈夫だろう。
「ウィリアム殿から聞いていましたけど、これがマサト様の食堂なのですね」
ミレーヌはやはり手伝ってはくれないようだが、俺たちの料理の様子を食堂のカウンターからみている。
食堂を展開したときの反応は、驚いている人間が半数、動じないように言い聞かせているような人間が四分の一、神様に対して祈りだしたのが四分の一って感じだった。
まあ、普通の天職では絶対に行使できない能力だから、びっくりするのもわかるけどな。
俺としては食堂の能力よりも魔法のほうがびっくりなんだけど、この世界の人にとっては魔法は使える人は使えるのが当たり前ってレベルだから羨ましくはあってもびっくりはしないとかなんとか。
「ウィリアムさんがどう言っていたのかわからないけど、ただ家を建てるだけの能力だぞ?」
調味料が無限に手に入る、この世界にはない冷蔵庫がある、水道やガスの設備があるっていうのは確かに便利だけど、戦闘力が上がるわけでもないから特別凄くはないだろう。
「マサト様がどう言おうとこれは素晴らしい能力ですよ」
まあ、便利なのは確かだし、この能力をくれた神様には感謝してもしきれないのは確かだな。
それにしても……。
「その、マサト様っていうのはどうにかならないか? いくら年下とはいえ、偉い人に様付で呼ばれるとむず痒いんだが……」
「マサト様は国賓ですからね。皇女と言えども粗雑に扱うわけにはまいりません」
うーん、完全に文化の違いかな。
イーリスなんかは仲が良くなるにつれて呼び方も変えてくれたから、もう少し時間を取る必要があるのかな。
「マサトさん、具材の準備は出来ましたのでパスタを茹でてもらっていいですか?」
見るとレイジとミーナがそれぞれ十人前分の具材をフライパンで炒めているところだった。
完全に俺の茹で待ちじゃないか。
「悪い悪い。今から茹でるよ」
鍋自体は茹っているから、あとはパスタを投入するだけ。
パスタを上手に茹でるにはある程度の塩が必要になるが、この世界ではどの国でも塩が手に入るから食堂なしでもパスタは作りやすい部類の料理に入るんだよな。
具材を合わせて炒める時間も考えて茹で時間は少なめにするのが、パスタを作るときのコツだな。
結局料理が発達していない帝国では食料は生で食べられるものがメインになるから、こうなるのは分かっていたことだ。
水魔法や氷魔法の使い手が兵士の中に配置されているから、食材が腐るってことはなさそうだが、結局主食がないってことに変わりはない。
なんで、三日間をかけて帝都に向かう予定だったのだが、五日に工程を伸ばして一日当たりの移動距離を抑えてもらった。
主食に使うパンを作るためにはある程度の時間が必要だから、料理人の天職持ちの兵士に手伝ってもらってもそこまでの移動時間が取れないと判断したためだ。
ミレーヌとしても、皇帝に会う前に料理に関する知識を入れておきたいとのことで、旅程を延ばすことには同意してもらえた。
「今日の昼食は緑菜とベーコンを使ったパスタにするぞ」
料理を食べ慣れていない人にとって麺類は結構食べにくいものだとは思うんだけど、聖王国にばらまいたから爆弾米の備蓄があまりない。
それに、パンにしたって五十人分もすぐさま焼けるものではないので、昼は麺類で勘弁してもらう。
昼食を食べたら、移動の前にパン生地だけは先に作っておかないとな。
「緑菜は食堂の畑のものを先に使いますか?」
「いや、馬車の中の食料を食堂に運んでもらったから冷蔵庫とか保管庫に入りきらないものから先に使っちゃおう」
畑の作物は食堂を展開しなければ生育が止められるから急いで使わなくてもいいだろう。
それよりも、葉物野菜はいくら冷やしていても傷む心配があるからなるべく早く使いたいんだよな。
「ベーコンを使わなくても、お肉なら僕が狩ってくるけど?」
「いや、五十人分になるとレイジの手も必要になってくるからな。獣や魔獣を狩るのは明日以降にしよう」
一日分でも食事をきちんとすればわずかでもステータスが上昇するからな。
帝国兵にも獣狩りをしてもらうのなら、ステータスが上がった状態でやってもらった方が効率がいいだろう。
「じゃあ、僕はベーコンを切り出すよ」
「わたしは緑菜を刻みますね」
「ああ、二人とも兵士の人にも教えながらやってくれよ」
結局料理を教えるのは二人のほうが上手いから、俺は一人でパスタを茹でることにしよう。
ショートパスタもストックになくはないけど、量が少ないから今回はオーソドックスなスパゲッティ。
五十人分ってことだけど、食堂内には全員は入れないから半々で作る感じになるな。
まあ、食堂内のコンロも火力は業務用って感じだから、数キロのパスタを茹でても大丈夫だろう。
「ウィリアム殿から聞いていましたけど、これがマサト様の食堂なのですね」
ミレーヌはやはり手伝ってはくれないようだが、俺たちの料理の様子を食堂のカウンターからみている。
食堂を展開したときの反応は、驚いている人間が半数、動じないように言い聞かせているような人間が四分の一、神様に対して祈りだしたのが四分の一って感じだった。
まあ、普通の天職では絶対に行使できない能力だから、びっくりするのもわかるけどな。
俺としては食堂の能力よりも魔法のほうがびっくりなんだけど、この世界の人にとっては魔法は使える人は使えるのが当たり前ってレベルだから羨ましくはあってもびっくりはしないとかなんとか。
「ウィリアムさんがどう言っていたのかわからないけど、ただ家を建てるだけの能力だぞ?」
調味料が無限に手に入る、この世界にはない冷蔵庫がある、水道やガスの設備があるっていうのは確かに便利だけど、戦闘力が上がるわけでもないから特別凄くはないだろう。
「マサト様がどう言おうとこれは素晴らしい能力ですよ」
まあ、便利なのは確かだし、この能力をくれた神様には感謝してもしきれないのは確かだな。
それにしても……。
「その、マサト様っていうのはどうにかならないか? いくら年下とはいえ、偉い人に様付で呼ばれるとむず痒いんだが……」
「マサト様は国賓ですからね。皇女と言えども粗雑に扱うわけにはまいりません」
うーん、完全に文化の違いかな。
イーリスなんかは仲が良くなるにつれて呼び方も変えてくれたから、もう少し時間を取る必要があるのかな。
「マサトさん、具材の準備は出来ましたのでパスタを茹でてもらっていいですか?」
見るとレイジとミーナがそれぞれ十人前分の具材をフライパンで炒めているところだった。
完全に俺の茹で待ちじゃないか。
「悪い悪い。今から茹でるよ」
鍋自体は茹っているから、あとはパスタを投入するだけ。
パスタを上手に茹でるにはある程度の塩が必要になるが、この世界ではどの国でも塩が手に入るから食堂なしでもパスタは作りやすい部類の料理に入るんだよな。
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