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5章 帝国
03 発酵職人
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「わたくしが……ですか?」
実はミレーヌに自己紹介されたときに鑑定をしていたんだが、天職が料理人だったんだ。
『個体名:ミレーヌ・イルデガルド 種族:人間 性別:女 年齢:十四歳 天職:料理人(発酵職人) 食用:可 雑食性のために臭みがあることが多い。食用可能だが臭み取りに時間と手間がかかる。同種族の食肉は禁忌とされているので推奨はしない
ステータス 力:1 素早さ:1 頑健さ:2 器用:15 知力:10 運:1』
料理人、その中でも発酵食品のエキスパートらしい。
「ミレーヌは料理人の天職持ちなんだろう?」
「マサト様にはわかってしまうのですね」
「ん? まあ、鑑定してみたらそうだったからね」
ウィリアムさんからは聞いてないのかな?
兵士の中にも何人か料理人の天職持ちがいたから彼らに手伝ってもらえば料理自体は可能だろう。
「この国は王国とは違って、天職に対してそれほど重きを置いていないんです」
「そうなのか?」
聖王国も天職を知らないって人は多かったかけど、あそこは上層部が完全に管理してたからだしな。
「帝国にはもとより神官の天職持ちが少なく、天職を把握することが困難です。ですので、帝室や各国の元王族はともかく平民は自分の天職を知らない……それ以前に天職という存在を知らないという人も少なくはありません」
「王国では僕らも含めて天職を確認することは出来ない平民も多かったけど、天職の存在を知らないっていうのはなかったかな」
「でも、帝室の人間は違う……と」
「そうです。帝国の中でも帝室の人間、特に皇帝陛下は天職を重視しています」
「良いことじゃないんですか?」
「わたくしの天職が料理人でなければ……あるいはマサト様が料理人の天職に価値を見出してくれなければ良いことでしたね」
答えるミレーヌの表情が陰っていく。
「要するに、ミレーヌは帝位には興味がない。なのに、料理人の天職にかちがついたから困ってる……と」
「はい」
まあ、そういう奴も出てくるよな~。
でも、ミレーヌの天職が発酵食品関係だから何としても力を貸してほしいんだよな~。
「わたしは平民なのでミレーヌ様の言いたいことはよくわかりません。……でも、わたしはマサトさんの一番弟子ですから料理を求められれば作るだけです」
「僕も手伝うよ、マサト兄ちゃん」
「あー、そうだな。ミレーヌにもいろいろ事情があると思うんだけど、手伝ってくれたらうれしい。でも、ミレーヌが無理なら手伝いを無理強いすることはない」
マジで残念なんだけどな!
「マサトさん、ミレーヌさんの天職に何かあるんですか?」
流石にミーナにはわかるか……まあ、俺の反応が聖王国でリリーとブラックカウに出会った時と一緒だもんな。
「……あー、ミレーヌの天職はな~……ソースとか醤油とかを作るのに重要な天職なんだよ」
発酵食品と言えば調味料……というか、調味料の大半は発酵食品だからな~。
香辛料関係は乾燥させるだけだけど、味噌とか醤油、なんなら酒関係も発行の分野だからな~。
「調味料……そういえば食堂で使ってる調味料を作ろうとは言いませんでしたもんね、マサトさんは」
「発酵関係は作り方が難しいのもあるんだけど、素人が手を出すのはな~って。失敗すると材料が腐るし……それに作るのにべらぼうに時間がかかるんだよな」
「時間……ですか?」
「そうそう、味噌とか醤油とかだと作り始めて完成まで一年とかざらだし、酒だと何十年も経たないと完成と言わないものもあるし……」
ソースとかマヨネーズとか発酵が必要ない部類ならそこまでの時間はかからないけど、味噌とか醬油とかはな~。
作ってる間は移動ができなくなるから、旅を続けていると作ろうって気にはならないんだよな。
「そんなに時間がかかるのですか?」
「まあ、時間をかければかけるほど完成度が高くなるのが発酵食品だからな~。……それにミーナやレイジは分かるだろうけど調味料を使った料理と使ってない料理だと味付けが全然違うんだよな」
「うん、それはわかる。塩味だけのから揚げもおいしいけど、醤油味のほうが好きって人は多かったよね」
「そうですね。スープにしても塩だけよりも醤油とか味噌を使った方が人気がありましたね」
「人気もそうだけど、今見つけてる味付け用の食材は種類が少ないからな。多分、飽きが来ると思うんだよな」
塩味とか、胡椒が悪いってわけじゃなくて、味付けの種類数が少ないとそのうち飽きが来るんだよな。
出汁も動物の骨とか野菜からとったコンソメ系しかないから、そこも改善したいし……。
「ってことで、帝国では調味料関係の作成を頑張るから!」
実はミレーヌに自己紹介されたときに鑑定をしていたんだが、天職が料理人だったんだ。
『個体名:ミレーヌ・イルデガルド 種族:人間 性別:女 年齢:十四歳 天職:料理人(発酵職人) 食用:可 雑食性のために臭みがあることが多い。食用可能だが臭み取りに時間と手間がかかる。同種族の食肉は禁忌とされているので推奨はしない
ステータス 力:1 素早さ:1 頑健さ:2 器用:15 知力:10 運:1』
料理人、その中でも発酵食品のエキスパートらしい。
「ミレーヌは料理人の天職持ちなんだろう?」
「マサト様にはわかってしまうのですね」
「ん? まあ、鑑定してみたらそうだったからね」
ウィリアムさんからは聞いてないのかな?
兵士の中にも何人か料理人の天職持ちがいたから彼らに手伝ってもらえば料理自体は可能だろう。
「この国は王国とは違って、天職に対してそれほど重きを置いていないんです」
「そうなのか?」
聖王国も天職を知らないって人は多かったかけど、あそこは上層部が完全に管理してたからだしな。
「帝国にはもとより神官の天職持ちが少なく、天職を把握することが困難です。ですので、帝室や各国の元王族はともかく平民は自分の天職を知らない……それ以前に天職という存在を知らないという人も少なくはありません」
「王国では僕らも含めて天職を確認することは出来ない平民も多かったけど、天職の存在を知らないっていうのはなかったかな」
「でも、帝室の人間は違う……と」
「そうです。帝国の中でも帝室の人間、特に皇帝陛下は天職を重視しています」
「良いことじゃないんですか?」
「わたくしの天職が料理人でなければ……あるいはマサト様が料理人の天職に価値を見出してくれなければ良いことでしたね」
答えるミレーヌの表情が陰っていく。
「要するに、ミレーヌは帝位には興味がない。なのに、料理人の天職にかちがついたから困ってる……と」
「はい」
まあ、そういう奴も出てくるよな~。
でも、ミレーヌの天職が発酵食品関係だから何としても力を貸してほしいんだよな~。
「わたしは平民なのでミレーヌ様の言いたいことはよくわかりません。……でも、わたしはマサトさんの一番弟子ですから料理を求められれば作るだけです」
「僕も手伝うよ、マサト兄ちゃん」
「あー、そうだな。ミレーヌにもいろいろ事情があると思うんだけど、手伝ってくれたらうれしい。でも、ミレーヌが無理なら手伝いを無理強いすることはない」
マジで残念なんだけどな!
「マサトさん、ミレーヌさんの天職に何かあるんですか?」
流石にミーナにはわかるか……まあ、俺の反応が聖王国でリリーとブラックカウに出会った時と一緒だもんな。
「……あー、ミレーヌの天職はな~……ソースとか醤油とかを作るのに重要な天職なんだよ」
発酵食品と言えば調味料……というか、調味料の大半は発酵食品だからな~。
香辛料関係は乾燥させるだけだけど、味噌とか醤油、なんなら酒関係も発行の分野だからな~。
「調味料……そういえば食堂で使ってる調味料を作ろうとは言いませんでしたもんね、マサトさんは」
「発酵関係は作り方が難しいのもあるんだけど、素人が手を出すのはな~って。失敗すると材料が腐るし……それに作るのにべらぼうに時間がかかるんだよな」
「時間……ですか?」
「そうそう、味噌とか醤油とかだと作り始めて完成まで一年とかざらだし、酒だと何十年も経たないと完成と言わないものもあるし……」
ソースとかマヨネーズとか発酵が必要ない部類ならそこまでの時間はかからないけど、味噌とか醬油とかはな~。
作ってる間は移動ができなくなるから、旅を続けていると作ろうって気にはならないんだよな。
「そんなに時間がかかるのですか?」
「まあ、時間をかければかけるほど完成度が高くなるのが発酵食品だからな~。……それにミーナやレイジは分かるだろうけど調味料を使った料理と使ってない料理だと味付けが全然違うんだよな」
「うん、それはわかる。塩味だけのから揚げもおいしいけど、醤油味のほうが好きって人は多かったよね」
「そうですね。スープにしても塩だけよりも醤油とか味噌を使った方が人気がありましたね」
「人気もそうだけど、今見つけてる味付け用の食材は種類が少ないからな。多分、飽きが来ると思うんだよな」
塩味とか、胡椒が悪いってわけじゃなくて、味付けの種類数が少ないとそのうち飽きが来るんだよな。
出汁も動物の骨とか野菜からとったコンソメ系しかないから、そこも改善したいし……。
「ってことで、帝国では調味料関係の作成を頑張るから!」
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