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4章 聖王国
08 搾乳
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「よし、これなら食べられそうだ。リリー、協力してくれるか?」
「……んー? この地面にあるのじゃ……ダメなのかな?」
「そりゃあ、地面に撒かれた液体なんて食べたくはないだろ」
いや、井戸水も地面に撒かれているようなものだけど、ここにばらまかれているミルクは土混じりだし、土を除去して綺麗な状態にするのは骨が折れるからな。
「……でも、どうやればいいのー? この子達は基本的に地面に勝手に撒くから改めてミルクを取ろうなんて思ったことないし……」
「ふむ……。俺も経験があるわけじゃないけど、俺が試しにやってみるか」
異界のレシピで調べてみたことがあるが、牛乳は前の世界なら子供でも採れるもの……多少苦労はするかもしれないが俺でも取れないってことはないだろ。
とりあえずミルクを保管するように鍋を出しておくか、レベル1の食堂ならここに出してもそう目立ちはしないだろう。
本当はガラス瓶とか蓋のあるような金属缶に保管するのがいいのだろうが、食堂内にあるのは1Lくらいの牛乳瓶しかないからな。
牛乳瓶は保管するのにはいいが、あれに直接ミルクを注ぐのが難しいのは素人の俺でも理解できる。
「……お兄さん……持っているものはどこから出したんですかー?」
「……あー、これはあれだ。リリーがブラックカウと仲良くなれるように、俺は料理に関する不思議な何かがあるんだ」
別に食堂に関することは秘密にすることでもないんだが、説明するのが面倒臭い。
聖王国は宗教関連の力が強いから神様からもらった食堂を見せびらかすのも怖いし、そもそも彼らが信奉している神が俺が出会った神様と同一である保証がない。
もちろん争いになれば加護をもらっている俺が死ぬことはないだろうが、むやみやたらと争いになればこの世界に料理を広めるという目的の達成自体が難しくなるからな。
「……ふーん……隠したいようなら突っ込んでは聞かないけどねー」
「そうしてもらえると助かる。……んで、ミルクを取りたいんだがこのブラックカウにおとなしくしていてくれるように言ってくれるか?」
「……まあこの子は元からおとなしいから大丈夫だろうけど、初めてのことだしねー。……静かにしてるんだよー」
リリーのいうことがわかるのかブラックカウは低く一鳴きするとその場に立ち尽くす。
本当はリリーにも背中から降りてほしいのだが、多分言っても聞いてはくれないだろうな。
「まずは下に鍋をセットしてっと」
確か根元を逆流しないように押さえてから、徐々に指を折り曲げていくんだったよな。
付け根の方、人差し指から小指に向かって……おおっ、ミルクを地面に撒いてるからか素人の俺でも簡単に搾れるな。
「……ふーん。……そうやって搾るんだー。……簡単そうだねー……私もやってみてもいいかなー?」
「おう、やってみてくれ。ミルクを使ったレシピも教えるから村のみんなでこれからも食べてくれると嬉しいんだがな」
「……食べるかどうかとかは私にはわからないけど、搾るのは楽しいし、この子も喜んでるから続けてもいいかなー」
リリーはそう言うと俺がやったのとは比べ物にもならないくらいの量のミルクをブラックカウから搾りだす。
……いや、さっき俺が素人でも簡単に取れるといったが、やはり天職持ちと比べると全然できてないな。
「……んー? この地面にあるのじゃ……ダメなのかな?」
「そりゃあ、地面に撒かれた液体なんて食べたくはないだろ」
いや、井戸水も地面に撒かれているようなものだけど、ここにばらまかれているミルクは土混じりだし、土を除去して綺麗な状態にするのは骨が折れるからな。
「……でも、どうやればいいのー? この子達は基本的に地面に勝手に撒くから改めてミルクを取ろうなんて思ったことないし……」
「ふむ……。俺も経験があるわけじゃないけど、俺が試しにやってみるか」
異界のレシピで調べてみたことがあるが、牛乳は前の世界なら子供でも採れるもの……多少苦労はするかもしれないが俺でも取れないってことはないだろ。
とりあえずミルクを保管するように鍋を出しておくか、レベル1の食堂ならここに出してもそう目立ちはしないだろう。
本当はガラス瓶とか蓋のあるような金属缶に保管するのがいいのだろうが、食堂内にあるのは1Lくらいの牛乳瓶しかないからな。
牛乳瓶は保管するのにはいいが、あれに直接ミルクを注ぐのが難しいのは素人の俺でも理解できる。
「……お兄さん……持っているものはどこから出したんですかー?」
「……あー、これはあれだ。リリーがブラックカウと仲良くなれるように、俺は料理に関する不思議な何かがあるんだ」
別に食堂に関することは秘密にすることでもないんだが、説明するのが面倒臭い。
聖王国は宗教関連の力が強いから神様からもらった食堂を見せびらかすのも怖いし、そもそも彼らが信奉している神が俺が出会った神様と同一である保証がない。
もちろん争いになれば加護をもらっている俺が死ぬことはないだろうが、むやみやたらと争いになればこの世界に料理を広めるという目的の達成自体が難しくなるからな。
「……ふーん……隠したいようなら突っ込んでは聞かないけどねー」
「そうしてもらえると助かる。……んで、ミルクを取りたいんだがこのブラックカウにおとなしくしていてくれるように言ってくれるか?」
「……まあこの子は元からおとなしいから大丈夫だろうけど、初めてのことだしねー。……静かにしてるんだよー」
リリーのいうことがわかるのかブラックカウは低く一鳴きするとその場に立ち尽くす。
本当はリリーにも背中から降りてほしいのだが、多分言っても聞いてはくれないだろうな。
「まずは下に鍋をセットしてっと」
確か根元を逆流しないように押さえてから、徐々に指を折り曲げていくんだったよな。
付け根の方、人差し指から小指に向かって……おおっ、ミルクを地面に撒いてるからか素人の俺でも簡単に搾れるな。
「……ふーん。……そうやって搾るんだー。……簡単そうだねー……私もやってみてもいいかなー?」
「おう、やってみてくれ。ミルクを使ったレシピも教えるから村のみんなでこれからも食べてくれると嬉しいんだがな」
「……食べるかどうかとかは私にはわからないけど、搾るのは楽しいし、この子も喜んでるから続けてもいいかなー」
リリーはそう言うと俺がやったのとは比べ物にもならないくらいの量のミルクをブラックカウから搾りだす。
……いや、さっき俺が素人でも簡単に取れるといったが、やはり天職持ちと比べると全然できてないな。
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