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4章 聖王国
04 牛肉
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「あーー! 本当にもう! ほんっとうにもう!」
「マサト兄ちゃんは何にそんなに叫んでるの?」
「マサトさんは欲しかった牛乳が手に入らなかったのを嘆いてるんだよ」
「あー、なるほどね。そういえばあの村で出会った子はグリーンバッファローとは意思疎通できなかったんだっけ」
そーなんだよなー、結局あの後サーシャにグリーンバッファローの気持ちがわかるか試してもらったけど全然わからないってことになったし。
やっぱりあの天職はフライングスクオロル限定の天職で、他の獣や魔獣相手には効力を発揮するタイプじゃなかったみたいだ。
まあ、そのおかげかフライングスクオロルを傷つけない条件でグリーンバッファローに関してはある程度の融通はしてもらえることになったけどね。
とはいえ、王国とは違って聖王国の獣は人間を襲うほどじゃないから、新しくできた畑を守る時と食料が少ない時に肉にするために狩るくらいで、積極的に間引くのはしないようにしてもらっている。
とにかくそんなわけで、村で教えることも終わったので次の村に向けて旅を再開しているところだ。
旅程は徒歩とはいえ食堂作成で昼でも夜でも安全に休憩ができるし、食材の在庫も豊富。
王国で仕入れていた豚肉系統や鶏肉系統は加工肉か冷凍肉になってしまうが、まだまだ食堂内にあるし、道中で狩ったグリーンバッファローの肉も豊富だから飢えることはないだろう。
「で、なんでミーナはそんなに不機嫌な訳?」
レイジがミーナに対して質問する。
そういえばミーナは村に滞在している途中からなんとなく機嫌が悪いというか、拗ねているというか。
「だって、マサトさんが見つけてきたのがまた女の子なんだもん」
ん? サーシャのことか?
「あー、そういえばあの子も女の子だったね。イーリスさんと言いマサト兄ちゃんには女の子が寄ってくるのかな?」
「何言ってるんだ? ロバートもボブも男だったし女の方が多いってことはないだろ?」
「でも、イーリスさんが……」
「本当にミーナはイーリスが好きだな。でも、イーリスにしたってミーナやレイジに教えさせてたし、俺が直接かかわってたってことはないだろ?」
領都にいたころは俺は料理を教えるというよりは、新しい食材の調理法を考えるほうに重きを置いてたし、絡んできてたのはジョシュアさんにウィリアムさん、ライアンさんとムサイ男ばかりだったはずだ。
王都に出てからもライアンさん含む騎士たちとランドールさんの相手ばかりだし女に囲まれているとかは完全に風評被害だ。
「でも……マサトさんはあの子についてきてほしかったんじゃないですか?」
「ミーシャのことか? 別についてきたところで役には立たないだろうし、ミーシャも村から離れるつもりもなかったろう?」
事情があってついてきたいっていうなら、強いて拒むこともなかったかもしれないけど、この旅に役に立つってこともなかっただろう。
獣が殺されるのに忌避感があるし、むしろついてきたら料理に関してのアレコレで問題を起こしていたかもしれない。
ミーシャの天職のことを考えてもあの村に残った方が幸せだろう。
「じゃあ、マサトさんは最初から連れていくつもりはなかったってことですか?」
「ないよ。ミーナやレイジみたいに村での居心地が悪いってこともないだろうし、むしろついてきた方が辛いだろ?」
「……そっかそっか」
「ん? よくわからんな」
「まあ、マサト兄ちゃんはあんまり気にしなくていいんじゃない? ミーナが一人で空回ってるだけだから。……それよりもお昼は何にするの?」
「ああ、そうだな。あの村でもグリーンバッファローの肉が結構手に入ったし牛肉を使った料理がいいかな」
「じゃあ、あれ。あの牛丼ってやつがいいな」
「牛丼か」
食堂の裏手にある畑で玉ねぎ代わりのサウザンドオニオンもとれるし、グリーンバッファローの肉が手に入ってすぐのころに作ったんだよな。
食堂内なら調味料は自由自在だし、紅ショウガがないのは片手落ちだけどレイジやミーナの反応も上々だったから牛丼もいいか。
「そうだな。聖王国に入ってから食堂もパワーアップしてるし牛丼にするかな」
そう。聖王国に入ってから気づいたのだが、食堂の畑に時間管理機能(?)とかいうのが追加されてたんだ。
以前は食堂を収納している間は畑を含む食堂内の時間は停止していたんだが、気づいたら収納時の畑の時間を管理できるようになっていた。
このおかげである程度、畑の作物を自由に管理することができるようになった。
聖王国では自生している植物が少ないから、王国の作物の種を分け与えるのにも役立っている。
まあ、それ以上に食堂内なら自由に野菜が食べられることが大きいんだけどな。
とはいえ、食堂の畑はそこまで大きくはないから、配布用の種を採ってしまえば食料としてはそこまで多くはない。
旅路に三人で食べる分、ある程度加工して村に着いたときに村人に食事を知ってもらうために使う分で全部なくなってしまう程度の量しかないんだよな。
「マサト兄ちゃんは何にそんなに叫んでるの?」
「マサトさんは欲しかった牛乳が手に入らなかったのを嘆いてるんだよ」
「あー、なるほどね。そういえばあの村で出会った子はグリーンバッファローとは意思疎通できなかったんだっけ」
そーなんだよなー、結局あの後サーシャにグリーンバッファローの気持ちがわかるか試してもらったけど全然わからないってことになったし。
やっぱりあの天職はフライングスクオロル限定の天職で、他の獣や魔獣相手には効力を発揮するタイプじゃなかったみたいだ。
まあ、そのおかげかフライングスクオロルを傷つけない条件でグリーンバッファローに関してはある程度の融通はしてもらえることになったけどね。
とはいえ、王国とは違って聖王国の獣は人間を襲うほどじゃないから、新しくできた畑を守る時と食料が少ない時に肉にするために狩るくらいで、積極的に間引くのはしないようにしてもらっている。
とにかくそんなわけで、村で教えることも終わったので次の村に向けて旅を再開しているところだ。
旅程は徒歩とはいえ食堂作成で昼でも夜でも安全に休憩ができるし、食材の在庫も豊富。
王国で仕入れていた豚肉系統や鶏肉系統は加工肉か冷凍肉になってしまうが、まだまだ食堂内にあるし、道中で狩ったグリーンバッファローの肉も豊富だから飢えることはないだろう。
「で、なんでミーナはそんなに不機嫌な訳?」
レイジがミーナに対して質問する。
そういえばミーナは村に滞在している途中からなんとなく機嫌が悪いというか、拗ねているというか。
「だって、マサトさんが見つけてきたのがまた女の子なんだもん」
ん? サーシャのことか?
「あー、そういえばあの子も女の子だったね。イーリスさんと言いマサト兄ちゃんには女の子が寄ってくるのかな?」
「何言ってるんだ? ロバートもボブも男だったし女の方が多いってことはないだろ?」
「でも、イーリスさんが……」
「本当にミーナはイーリスが好きだな。でも、イーリスにしたってミーナやレイジに教えさせてたし、俺が直接かかわってたってことはないだろ?」
領都にいたころは俺は料理を教えるというよりは、新しい食材の調理法を考えるほうに重きを置いてたし、絡んできてたのはジョシュアさんにウィリアムさん、ライアンさんとムサイ男ばかりだったはずだ。
王都に出てからもライアンさん含む騎士たちとランドールさんの相手ばかりだし女に囲まれているとかは完全に風評被害だ。
「でも……マサトさんはあの子についてきてほしかったんじゃないですか?」
「ミーシャのことか? 別についてきたところで役には立たないだろうし、ミーシャも村から離れるつもりもなかったろう?」
事情があってついてきたいっていうなら、強いて拒むこともなかったかもしれないけど、この旅に役に立つってこともなかっただろう。
獣が殺されるのに忌避感があるし、むしろついてきたら料理に関してのアレコレで問題を起こしていたかもしれない。
ミーシャの天職のことを考えてもあの村に残った方が幸せだろう。
「じゃあ、マサトさんは最初から連れていくつもりはなかったってことですか?」
「ないよ。ミーナやレイジみたいに村での居心地が悪いってこともないだろうし、むしろついてきた方が辛いだろ?」
「……そっかそっか」
「ん? よくわからんな」
「まあ、マサト兄ちゃんはあんまり気にしなくていいんじゃない? ミーナが一人で空回ってるだけだから。……それよりもお昼は何にするの?」
「ああ、そうだな。あの村でもグリーンバッファローの肉が結構手に入ったし牛肉を使った料理がいいかな」
「じゃあ、あれ。あの牛丼ってやつがいいな」
「牛丼か」
食堂の裏手にある畑で玉ねぎ代わりのサウザンドオニオンもとれるし、グリーンバッファローの肉が手に入ってすぐのころに作ったんだよな。
食堂内なら調味料は自由自在だし、紅ショウガがないのは片手落ちだけどレイジやミーナの反応も上々だったから牛丼もいいか。
「そうだな。聖王国に入ってから食堂もパワーアップしてるし牛丼にするかな」
そう。聖王国に入ってから気づいたのだが、食堂の畑に時間管理機能(?)とかいうのが追加されてたんだ。
以前は食堂を収納している間は畑を含む食堂内の時間は停止していたんだが、気づいたら収納時の畑の時間を管理できるようになっていた。
このおかげである程度、畑の作物を自由に管理することができるようになった。
聖王国では自生している植物が少ないから、王国の作物の種を分け与えるのにも役立っている。
まあ、それ以上に食堂内なら自由に野菜が食べられることが大きいんだけどな。
とはいえ、食堂の畑はそこまで大きくはないから、配布用の種を採ってしまえば食料としてはそこまで多くはない。
旅路に三人で食べる分、ある程度加工して村に着いたときに村人に食事を知ってもらうために使う分で全部なくなってしまう程度の量しかないんだよな。
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