料理を作って異世界改革

高坂ナツキ

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3章 王都

07 現状確認

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 エリックの天職はやはり素晴らしいものだった。
 もちろん、料理の腕前には関係ないのだがレシピを覚えるという一点においてはこれ以上ない有能な天職だ。
 そんなこんなで俺はエリックとルッカにタウンハウスでは教えなかったレシピを含めて、再現可能なレシピを教えていった。
 とはいっても、王都で入手できる食材には限りがあるから、シェリルバイト領で作っていたものよりもその種類は少なくなっている。

 ライアンさんたちは交代で騎士団やギルドに赴いて食材の調達の交渉に向かってくれている。
 俺は……というよりもレイジもミーナも知らなかったが、王国にはギルドと呼ばれる組織があって傭兵や冒険者と呼ばれる職種の人間が民間人のこまごまとした依頼をこなしているんだとか。
 その依頼の中には貴族や農家からの魔獣や獣の討伐依頼も含まれているから、ギルドにも肉や皮がある可能性が高いのだとか。

 というわけで、肉関連は騎士団とギルドに任せればいいらしいのだが、それ以外の食材が結構難航しているらしい。
 最初はギルドに依頼として出そうと思ったらしいのだが、森や山に入って植物の採取なんて依頼を受ける人間はいないと断られてしまったらしい。
 森や山の中には獣や魔獣がうようよいるから、半端な人材は送り込めないし、逆にそんなところに入れる人材を植物採取なんて訳の分からない仕事につかせるわけにはいかないんだとか。
 まあ、戦闘力のある人間は畑に寄ってくる獣退治に割きたいというのはなんとなくわかる理屈だ。

 というわけで最終手段、というわけでもないのだが、ライアンさんたちから一人出してもらって、レイジと二人一組で採集に向かってもらうことになった。
 ランドールさんが言うには何人も抜けられては困るが、一人くらいなら護衛がいなくなっても大丈夫なんだとか。
 まあ、これは王城に向かうという大仕事が終わったかららしいけどな。

 そんなわけでランドールさんからライアンさんたちの手を借りることを了承してもらって、植物採集の仕事が始まった。
 ちなみに肉のほうは徐々に届いているのだが、王都周辺の鳥型の獣の肉はあまり食用に適していないようだ。
 正確にはキラーバードとは違って前進が胸肉やささみのような食感になっていて、料理酒に漬け込んだりしても火を通しすぎるとあっという間にパサパサしてしまうのだ。

 だが、王都周辺の森に住みついているホーンピッグという魔獣の肉をもらったのだが、そちらは極上の豚肉だった。
 ギルドではホーンピッグの角を目当てに狩っているらしいのだが、肉はいらないとこっちに回されてきた。
 とはいえこの一頭はたまたま王都周辺の畑にまでやってきた個体のものらしく、普段は肉は持って帰ってこないのだとか。
 ライアンさんたちに豚カツにして振舞ったら、なんとしても肉を大量に手に入れると息巻いていたから王都でのメインの肉はホーンピッグになるかもしれない。

 とりあえず、エリックとルッカには豚カツを使ったカツサンドを教えたり緑菜の千切りを作らせたりしている。
 まあ、緑菜と紫トマト、水瓜は王都周辺の畑で収穫しているらしいのでサンドイッチの野菜には事欠かないのが救いかな。
 ちなみに鳥型の獣の卵は普通においしかったのだが、キラーバードの卵に比べれば小型なのと、有精卵しか存在しない関係上、そこまで大量には手に入りそうにない。
 豚カツに使うくらいの量は手に入るのは運がよかったと思わなければならないな。

 ああ、あとランドールさんも周辺貴族の会合を準備しているらしく、食堂の作成もお願いされている。
 どうも周辺の領主たちを中心に、最近シェリルバイト領がにぎわっていることに関して噂が流れているらしい。
 まあ、俺としては料理を作るだけだから何でもいいんだが、食堂を作成したら少人数ずつ招くことになってるらしいので少しは食堂内を改装しないとなと思ってる。

 別に食事さえ出てくればいいのかもしれないが、一応来るのは今までのように騎士団の人間やその辺の庶民ではなく貴族になるからむき出しのテーブルじゃマズいかもと思い至った感じだ。
 とりあえずクッションとかテーブルクロスをランドールさんにお願いしている感じだ。
 まあ、その辺は王都にある服飾品店に頼んであるらしいから順次届くだろう。

 というわけで、エリックとルッカには貴族を招いた際にメインとして出すサンドイッチの練習を、俺とミーナはホーンピッグを使った料理の開発をしている状態だ。
 食堂限定にはなるが、角煮やらチャーシューの試作品もできてきている。
 本当はベーコンやソーセージを作ってみたいのだが、レベル4の食堂を作成しないと燻製室が使用できないのでその辺はおいおいだな。

 いろいろと長々と一人語りを繰り返してきたが、俺たちの現状はこんな感じだ。
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