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2章 領都
06 卵があれば
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レイジが上手く捌いてくれたおかげでヘビースネークは食肉として使えそうだ。
レイジが聞いた話だと、抜いた牙は武器として加工するそうだ。
ヘビースネークの毒は魔獣や獣にも有効で、槍の先端などに加工されて騎士団にも配備されているらしい。
「ふむ、胸肉というよりはもも肉に近い感じか」
ヘビースネークを試しに焼いてみた感じではパサつく感じもなく、胸肉よりはもも肉に近い感じだった。
これなら、唐揚げにしてもジューシーで美味しいだろう。
とりあえず、移動する前にヘビースネークの肉は唐揚げ用に漬けダレに漬けておこう。
受け取った緑菜も冷蔵庫に保管してあるから、冷蔵庫のスペースを少しでも空けておきたいのだ。
唐揚げ用の漬けダレには、醤油、料理酒、おろししょうが、おろしにんにくをベースとして使う。
この世界で再現するなら、塩だれのほうがいいのかもしれないが、一から塩だれを作っている時間はないから今回は醤油味にしておこう。
へビ―スネークはとぐろを巻いていたからわかりづらかったが、太さは成人男性の腹回りほどもあり、体長は二メートルちょっとはあったようだ。
また骨がかなり太かったようで、骨を避けて捌いているはずなのに一枚の大きさが俺の手のひらほどの大きさはあった。
ということは、肋骨の間隔が俺の手のひらほど空いているということになるのか……。
まあ、そのおかげで料理に使いやすいから文句を言うのも違うか。
異界のレシピで確認したところ、蛇というのは小さいものだと、捌いてもその形状通り丸まってしまうようだが、ヘビースネークは太さがそれこそ人ほどもあるので切り分けてしまえば丸まることもない。
しかも、ただ焼いただけでも臭みが少なく、肉質も柔らかいので、肉だけを見たり料理後の姿だけを見た人間には蛇だってこともわからないかもしれない。
ただ、二メートル以上あったはずなのに、その半分以上が内臓と骨だったせいで食肉に回せるのは五十キロほどしかないのが欠点と言えば欠点か。
これじゃあ、二十人分の食料としては一日分にしかならないだろう。
まあ、デビルボアのほうが食肉としては優秀なので肉が足りなくなるということはないだろうけど。
この世界の人間は一日に二食しかとらない影響か、昼飯はそんなに食べないのに朝と夜はとろうと思えばびっくりするほど食べるから大目に作っておいても問題はないだろう。
まあ、本人たちに確認すると足りなくてもポーションを飲めば大丈夫だと返ってくるから、ポーションを飲ませないためにも大目に作っておこう。
一人当たり一キロとして、二十五キロ分くらいを漬けダレの中に入れていく。
正直、これだけの分量の漬けダレを作るだけでも重労働だ。
神様の加護で調味料が無限に使えるから、こんなバカげた量の唐揚げを作れるが、そうでなかったら調味料の在庫が一瞬でなくなってしまうだろう。
「マサト兄ちゃん、これで全部、冷蔵庫に入ったよ」
「ありがとうな、レイジ。夜飯の時間になったら、真っ先にレイジの分を作るからな」
「うんっ」
まあ、今回のことではレイジが一番頑張っていたからこのくらいの役得はいいだろう。
それに、レイジには夜飯を食った後にパンづくりなんかで頑張ってもらわないといけないからこの程度で機嫌が取れるなら安いものだ。
「ウィリアムさん、こちらは準備できましたよ」
「では、出発しようか。……ところで、この食堂はどうするんだい?」
そういえば、出すところを見せたのも初めてなら仕舞うところを見せるのも初めてだな。
「こんな感じで、簡単に出し入れできるので仕舞ってから行きますよ」
食堂を仕舞った後には元の草原が続いている。
これも神様の加護だからか、地面がへこんだり、草が倒れたりすることもなく食堂を出す前の状態へと戻るのだ。
どういう原理でこうなっているのかは全くわからないが、原状復帰する労力が省けると思えばよいことだし、そもそもが神様の加護で作られている食堂なので不思議の一つや二つは受け入れるべきだろう。
「……くっくっく、本当に君の加護は面白いな。だが、これならすぐにでも出発できるな」
ウィリアムさんは仕舞った瞬間は驚いたように目をむいていたが、やがて受け入れたように笑い出した。
ひとしきり笑ったウィリアムさんは部隊の前方へと移動していく。
そして、俺たち三人の前には車が用意される。
もちろん曳くのはエメラルドホースのグリーンだ。
グリーンもこの休息時間にたっぷりと休憩が取れたようで昼前よりも元気そうに見える。
ただ、またあの振動地獄に戻るのかと思うが憂鬱だが、これからの道中を歩き詰めで行けるかと問われれば、それは不可能なので我慢するしかないだろう。
「俺は車に乗らせてもらうけど、ミーナとレイジはどうする?」
「僕はお昼の前に行ってたように外を歩くよ」
「ミーナはマサトさんと一緒に車に乗りますよ」
ということで、レイジは騎士の人たちに交じって外を歩くことになった。
まあ、見習いが大部分らしいので行軍速度も遅いし、レイジが外を歩いていても迷惑にはならないだろう。
魔獣や獣が出てもレイジなら見習いの人たち程度には動けるのはウィリアムさんも確認しているし。
「マサトさん、あの魔獣のお肉は夜に使うんですよね? どういった料理にするんですか?」
「あの肉は油で揚げようと思ってね。味付け自体はさっきしたから、あとは小麦粉と片栗粉を混ぜたものを付けて油で揚げれば完成だよ」
「フライドポテトみたいな感じですか?」
そういや、ミーナには揚げ物料理はフライドポテトくらいしか見せていなかったな。
デビルボアがあるんだから豚カツ……というか、ボアカツくらいは作ってもよかったかもしれないが、卵がないから結構難しんだよな。
唐揚げも卵を使うレシピもあるのだが、今回は使わないレシピになっているし。
「そうだな、外側がカリっとなって中身が柔らかく仕上がるって点ではフライドポテトに似ているけれど、今回のは揚げる前に肉に味付けをしたりしているから食べてみたら全然違う様に感じるかもしれないなぁ」
「そうなんですね、今から作るのが楽しみです」
「他にも揚げ物のレシピはいくつかあるんだが、卵がないと難しいんだよな」
「たまご……ですか?」
「そう、この辺では食べ物と認識されていないかもしれないけど、肉同様に、卵も食材になるんだよ」
まあ、この世界では食用になるとは限らないけれど、肉や野菜、きのこも食材として使えたから卵も探せば食べられるものがあると思うんだよな。
「ほう、マサト君は卵が欲しいのかい?」
レイジが聞いた話だと、抜いた牙は武器として加工するそうだ。
ヘビースネークの毒は魔獣や獣にも有効で、槍の先端などに加工されて騎士団にも配備されているらしい。
「ふむ、胸肉というよりはもも肉に近い感じか」
ヘビースネークを試しに焼いてみた感じではパサつく感じもなく、胸肉よりはもも肉に近い感じだった。
これなら、唐揚げにしてもジューシーで美味しいだろう。
とりあえず、移動する前にヘビースネークの肉は唐揚げ用に漬けダレに漬けておこう。
受け取った緑菜も冷蔵庫に保管してあるから、冷蔵庫のスペースを少しでも空けておきたいのだ。
唐揚げ用の漬けダレには、醤油、料理酒、おろししょうが、おろしにんにくをベースとして使う。
この世界で再現するなら、塩だれのほうがいいのかもしれないが、一から塩だれを作っている時間はないから今回は醤油味にしておこう。
へビ―スネークはとぐろを巻いていたからわかりづらかったが、太さは成人男性の腹回りほどもあり、体長は二メートルちょっとはあったようだ。
また骨がかなり太かったようで、骨を避けて捌いているはずなのに一枚の大きさが俺の手のひらほどの大きさはあった。
ということは、肋骨の間隔が俺の手のひらほど空いているということになるのか……。
まあ、そのおかげで料理に使いやすいから文句を言うのも違うか。
異界のレシピで確認したところ、蛇というのは小さいものだと、捌いてもその形状通り丸まってしまうようだが、ヘビースネークは太さがそれこそ人ほどもあるので切り分けてしまえば丸まることもない。
しかも、ただ焼いただけでも臭みが少なく、肉質も柔らかいので、肉だけを見たり料理後の姿だけを見た人間には蛇だってこともわからないかもしれない。
ただ、二メートル以上あったはずなのに、その半分以上が内臓と骨だったせいで食肉に回せるのは五十キロほどしかないのが欠点と言えば欠点か。
これじゃあ、二十人分の食料としては一日分にしかならないだろう。
まあ、デビルボアのほうが食肉としては優秀なので肉が足りなくなるということはないだろうけど。
この世界の人間は一日に二食しかとらない影響か、昼飯はそんなに食べないのに朝と夜はとろうと思えばびっくりするほど食べるから大目に作っておいても問題はないだろう。
まあ、本人たちに確認すると足りなくてもポーションを飲めば大丈夫だと返ってくるから、ポーションを飲ませないためにも大目に作っておこう。
一人当たり一キロとして、二十五キロ分くらいを漬けダレの中に入れていく。
正直、これだけの分量の漬けダレを作るだけでも重労働だ。
神様の加護で調味料が無限に使えるから、こんなバカげた量の唐揚げを作れるが、そうでなかったら調味料の在庫が一瞬でなくなってしまうだろう。
「マサト兄ちゃん、これで全部、冷蔵庫に入ったよ」
「ありがとうな、レイジ。夜飯の時間になったら、真っ先にレイジの分を作るからな」
「うんっ」
まあ、今回のことではレイジが一番頑張っていたからこのくらいの役得はいいだろう。
それに、レイジには夜飯を食った後にパンづくりなんかで頑張ってもらわないといけないからこの程度で機嫌が取れるなら安いものだ。
「ウィリアムさん、こちらは準備できましたよ」
「では、出発しようか。……ところで、この食堂はどうするんだい?」
そういえば、出すところを見せたのも初めてなら仕舞うところを見せるのも初めてだな。
「こんな感じで、簡単に出し入れできるので仕舞ってから行きますよ」
食堂を仕舞った後には元の草原が続いている。
これも神様の加護だからか、地面がへこんだり、草が倒れたりすることもなく食堂を出す前の状態へと戻るのだ。
どういう原理でこうなっているのかは全くわからないが、原状復帰する労力が省けると思えばよいことだし、そもそもが神様の加護で作られている食堂なので不思議の一つや二つは受け入れるべきだろう。
「……くっくっく、本当に君の加護は面白いな。だが、これならすぐにでも出発できるな」
ウィリアムさんは仕舞った瞬間は驚いたように目をむいていたが、やがて受け入れたように笑い出した。
ひとしきり笑ったウィリアムさんは部隊の前方へと移動していく。
そして、俺たち三人の前には車が用意される。
もちろん曳くのはエメラルドホースのグリーンだ。
グリーンもこの休息時間にたっぷりと休憩が取れたようで昼前よりも元気そうに見える。
ただ、またあの振動地獄に戻るのかと思うが憂鬱だが、これからの道中を歩き詰めで行けるかと問われれば、それは不可能なので我慢するしかないだろう。
「俺は車に乗らせてもらうけど、ミーナとレイジはどうする?」
「僕はお昼の前に行ってたように外を歩くよ」
「ミーナはマサトさんと一緒に車に乗りますよ」
ということで、レイジは騎士の人たちに交じって外を歩くことになった。
まあ、見習いが大部分らしいので行軍速度も遅いし、レイジが外を歩いていても迷惑にはならないだろう。
魔獣や獣が出てもレイジなら見習いの人たち程度には動けるのはウィリアムさんも確認しているし。
「マサトさん、あの魔獣のお肉は夜に使うんですよね? どういった料理にするんですか?」
「あの肉は油で揚げようと思ってね。味付け自体はさっきしたから、あとは小麦粉と片栗粉を混ぜたものを付けて油で揚げれば完成だよ」
「フライドポテトみたいな感じですか?」
そういや、ミーナには揚げ物料理はフライドポテトくらいしか見せていなかったな。
デビルボアがあるんだから豚カツ……というか、ボアカツくらいは作ってもよかったかもしれないが、卵がないから結構難しんだよな。
唐揚げも卵を使うレシピもあるのだが、今回は使わないレシピになっているし。
「そうだな、外側がカリっとなって中身が柔らかく仕上がるって点ではフライドポテトに似ているけれど、今回のは揚げる前に肉に味付けをしたりしているから食べてみたら全然違う様に感じるかもしれないなぁ」
「そうなんですね、今から作るのが楽しみです」
「他にも揚げ物のレシピはいくつかあるんだが、卵がないと難しいんだよな」
「たまご……ですか?」
「そう、この辺では食べ物と認識されていないかもしれないけど、肉同様に、卵も食材になるんだよ」
まあ、この世界では食用になるとは限らないけれど、肉や野菜、きのこも食材として使えたから卵も探せば食べられるものがあると思うんだよな。
「ほう、マサト君は卵が欲しいのかい?」
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