7 / 150
1章 名もなき村
07 パン作り
しおりを挟む
肩ロースは生姜焼きなんかで使うように食べ応えがあっても容易に嚙み切れる程度の薄さに切り出し、ロースはポークステーキなんかで使えるように二センチほどの厚さに切る。
バラ肉は炒め物や鍋で使いやすいように一センチ以下で一口から二口程度の大きさに切っていく。
最後にもも肉だが、こちらは炒め物用の汎用素材として使う予定なので小間切れに近い形で切り出していけばオーケーだ。
量としてはかなりのものなのだが、いかんせん包丁の切れ味が凄すぎるのであまり疲れは感じない。
というよりも、ほとんど力を入れなくてもすいすい切れていくのでかなり楽な作業だった。
フライラットの肉も背中側や頬肉、前肩の肉が結構残っているから夕食で使う用のバラ肉の一部以外は食堂内に設置してある冷凍庫に入れておこう。
肉自体は毎日供給されているみたいだから保存しておく意味は少ないのだが、これから他の村人たちに料理を教えていく過程で肉が足りなくなった場合と冷凍庫がきちんと機能するかの検証のようなものだ。
神様がくれたものだから信用自体はしているが、包丁のように高性能すぎた場合肉が無事に冷凍されるのかと、解凍にかかる時間を調べておきたい。
一応、食堂に電子レンジも設置されているのでそちらの解凍モードを使うというのも一つの手だが、肉の解凍は熱を与えずに氷水に漬けるか冷蔵庫での解凍が一番らしいのでレンジは最終手段だ。
肉の下処理と片付けがすべて終わったので今度はパン作りへと移行する。
一日に一人当たり六個くらい食べるとして三人分だから十八個。
まあ、とりあえず小ぶりなものを三十個くらい作れる分量で作ってみるか。
異界のレシピによるとパン作りは基本的に、小麦粉、砂糖、塩、ドライイースト、お湯があればできるらしい。
もちろん、牛乳や無塩バターを使えばさらに風味がよくなるし、ドライイーストを使わずに酵母菌を育ててそれで作るのもアリらしい。
だが、無塩バターは調味料として冷蔵庫に入っていたが牛乳はなかったしドライイーストは置いてあっても酵母菌はない。
それに一番基本のレシピで成功していないのに応用のレシピに手を出すのは愚かなことだろう。
……と、いろいろ言い訳を重ねているが、正直冷蔵庫に入っていた無塩バターは結構な硬さでこれを常温で溶かしてこねくり回すのが今の俺には面倒くさかっただけというのが実情だ。
材料としては強力粉、砂糖、ドライイースト、塩の順番で量が少なくなっていく。
しかし、実際に計ってみるとパンってのはほとんど強力粉なんだなと改めて思う。
まずは材料を大きなボウルにぶち込んで軽く混ぜ合わせていく。
あ、もちろんこの時使うのは肉が入っていたボウルではない。
一応きれいに洗ったが、肉を運んで外までもっていったボウルでパンを作るのに抵抗があったからだ。
その後、四十度程度に温めたお湯を入れながら粉をヘラで混ぜていく。
結構な量を作るので生地をまとめていくのは大変だが、これが済んでしまえば少なくとも明後日くらいまでは新しくパンを作らなくてもよくなると思って自分を奮い立たせる。
ある程度まとまってきたらボウルから取り出して捏ねていく。
最初は生地の柔らかさや感触が楽しくてリアクションをとったり小さい声で歓声を上げたりしていたが、それも最初の数分だけ。
あとはただひたすら無心になって生地を捏ねていく。
一度にたくさん作ろうとした罰なのか、異界のレシピでは十分ほどでまとまると書いてあったが、表面がきれいになるまで十五分くらいかかった。
多分、俺が下手くそなのもあってそれだけかかったのだろうが、結局ヘラで捏ねていた時間も合わせれば三十分くらい捏ねていてへとへとだ。
あとは捏ねあがった生地を綺麗にまとめてボウルに移したらラップをしてオーブンに入れて発酵機能で三十分ほど放置だ。
腕が疲れ切っていたので休みたくもあったが、今のうちに作業台の上を片付けないと次の切り分けの作業でめんどくさいことになるのは目に見えているので体を叱咤しつつ片づけに入る。
発酵が終了すれば今度はガス抜きと切り分け、そして再度丸める作業だ。
ガス抜きは確かにかなりの空気が入っているようで上から押しつぶすと空気がパン生地の外側からぷくっと出てくる。
何分初めての作業だから塩梅が分かりにくかったが大きな気泡が潰せた段階で生地を切り分けていく。
作業台に広げた記事を五×六になるようにスケッパーと呼ばれるパン生地を切り分ける道具で切っていく。
知識としても知らなかった道具なので鑑定してみたところ、包丁とは違って引ききるのではなく上から押し切るようにするとわかったのでそれでやっていく。
あんまりうまくいった感覚もないし、生地の大きさも結構ばらつきが出てしまったが、まあこの世界での初めてのパンだから許されるだろう。
あとは生地をそれぞれ丸めていって一度濡らした後に固く絞った濡れ布巾をかけて生地を休ませる。
さらにもう一回ガス抜きをした後、綺麗に丸めなおしてあらかじめクッキングシートをひいておいた天板に並べもう一度オーブンの発酵機能を使って今度は十分ほど発酵させていく。
今度の発酵時間の間に作業台をまたしてもきれいにしておく。
もう作業自体はないが、今度は緑菜とバラ肉を使った鍋物を作らなきゃいけないので作業台の上が粉やら生地の残りやらで汚い状態はいただけない。
取り出した天板を室温においてさらに十分程度発酵させていく。
その間に今度はオーブンを予熱しておいて、あとは発酵終了したパン生地をオーブンに入れて十五分ほど焼いて焼き目がきれいについたら完成だ。
俺が食べたくて始めたパン作りだし、一人で食べるわけにはいかないからレイジとミーナの分まで一人で作ったが、正直これを毎回一人でやるのは無理だ。
今度は二人に手伝ってもらうことにしよう。
米さえ見つかればこんな大変な作業しなくても済むんだけどな、とも思うが米は米で稲穂から外したり精米作業が必要だったりでこっちも大変そうなんだよな。
異世界だから、果物の中に精米された米が大量に入っている植物でもなってないかな?
バラ肉は炒め物や鍋で使いやすいように一センチ以下で一口から二口程度の大きさに切っていく。
最後にもも肉だが、こちらは炒め物用の汎用素材として使う予定なので小間切れに近い形で切り出していけばオーケーだ。
量としてはかなりのものなのだが、いかんせん包丁の切れ味が凄すぎるのであまり疲れは感じない。
というよりも、ほとんど力を入れなくてもすいすい切れていくのでかなり楽な作業だった。
フライラットの肉も背中側や頬肉、前肩の肉が結構残っているから夕食で使う用のバラ肉の一部以外は食堂内に設置してある冷凍庫に入れておこう。
肉自体は毎日供給されているみたいだから保存しておく意味は少ないのだが、これから他の村人たちに料理を教えていく過程で肉が足りなくなった場合と冷凍庫がきちんと機能するかの検証のようなものだ。
神様がくれたものだから信用自体はしているが、包丁のように高性能すぎた場合肉が無事に冷凍されるのかと、解凍にかかる時間を調べておきたい。
一応、食堂に電子レンジも設置されているのでそちらの解凍モードを使うというのも一つの手だが、肉の解凍は熱を与えずに氷水に漬けるか冷蔵庫での解凍が一番らしいのでレンジは最終手段だ。
肉の下処理と片付けがすべて終わったので今度はパン作りへと移行する。
一日に一人当たり六個くらい食べるとして三人分だから十八個。
まあ、とりあえず小ぶりなものを三十個くらい作れる分量で作ってみるか。
異界のレシピによるとパン作りは基本的に、小麦粉、砂糖、塩、ドライイースト、お湯があればできるらしい。
もちろん、牛乳や無塩バターを使えばさらに風味がよくなるし、ドライイーストを使わずに酵母菌を育ててそれで作るのもアリらしい。
だが、無塩バターは調味料として冷蔵庫に入っていたが牛乳はなかったしドライイーストは置いてあっても酵母菌はない。
それに一番基本のレシピで成功していないのに応用のレシピに手を出すのは愚かなことだろう。
……と、いろいろ言い訳を重ねているが、正直冷蔵庫に入っていた無塩バターは結構な硬さでこれを常温で溶かしてこねくり回すのが今の俺には面倒くさかっただけというのが実情だ。
材料としては強力粉、砂糖、ドライイースト、塩の順番で量が少なくなっていく。
しかし、実際に計ってみるとパンってのはほとんど強力粉なんだなと改めて思う。
まずは材料を大きなボウルにぶち込んで軽く混ぜ合わせていく。
あ、もちろんこの時使うのは肉が入っていたボウルではない。
一応きれいに洗ったが、肉を運んで外までもっていったボウルでパンを作るのに抵抗があったからだ。
その後、四十度程度に温めたお湯を入れながら粉をヘラで混ぜていく。
結構な量を作るので生地をまとめていくのは大変だが、これが済んでしまえば少なくとも明後日くらいまでは新しくパンを作らなくてもよくなると思って自分を奮い立たせる。
ある程度まとまってきたらボウルから取り出して捏ねていく。
最初は生地の柔らかさや感触が楽しくてリアクションをとったり小さい声で歓声を上げたりしていたが、それも最初の数分だけ。
あとはただひたすら無心になって生地を捏ねていく。
一度にたくさん作ろうとした罰なのか、異界のレシピでは十分ほどでまとまると書いてあったが、表面がきれいになるまで十五分くらいかかった。
多分、俺が下手くそなのもあってそれだけかかったのだろうが、結局ヘラで捏ねていた時間も合わせれば三十分くらい捏ねていてへとへとだ。
あとは捏ねあがった生地を綺麗にまとめてボウルに移したらラップをしてオーブンに入れて発酵機能で三十分ほど放置だ。
腕が疲れ切っていたので休みたくもあったが、今のうちに作業台の上を片付けないと次の切り分けの作業でめんどくさいことになるのは目に見えているので体を叱咤しつつ片づけに入る。
発酵が終了すれば今度はガス抜きと切り分け、そして再度丸める作業だ。
ガス抜きは確かにかなりの空気が入っているようで上から押しつぶすと空気がパン生地の外側からぷくっと出てくる。
何分初めての作業だから塩梅が分かりにくかったが大きな気泡が潰せた段階で生地を切り分けていく。
作業台に広げた記事を五×六になるようにスケッパーと呼ばれるパン生地を切り分ける道具で切っていく。
知識としても知らなかった道具なので鑑定してみたところ、包丁とは違って引ききるのではなく上から押し切るようにするとわかったのでそれでやっていく。
あんまりうまくいった感覚もないし、生地の大きさも結構ばらつきが出てしまったが、まあこの世界での初めてのパンだから許されるだろう。
あとは生地をそれぞれ丸めていって一度濡らした後に固く絞った濡れ布巾をかけて生地を休ませる。
さらにもう一回ガス抜きをした後、綺麗に丸めなおしてあらかじめクッキングシートをひいておいた天板に並べもう一度オーブンの発酵機能を使って今度は十分ほど発酵させていく。
今度の発酵時間の間に作業台をまたしてもきれいにしておく。
もう作業自体はないが、今度は緑菜とバラ肉を使った鍋物を作らなきゃいけないので作業台の上が粉やら生地の残りやらで汚い状態はいただけない。
取り出した天板を室温においてさらに十分程度発酵させていく。
その間に今度はオーブンを予熱しておいて、あとは発酵終了したパン生地をオーブンに入れて十五分ほど焼いて焼き目がきれいについたら完成だ。
俺が食べたくて始めたパン作りだし、一人で食べるわけにはいかないからレイジとミーナの分まで一人で作ったが、正直これを毎回一人でやるのは無理だ。
今度は二人に手伝ってもらうことにしよう。
米さえ見つかればこんな大変な作業しなくても済むんだけどな、とも思うが米は米で稲穂から外したり精米作業が必要だったりでこっちも大変そうなんだよな。
異世界だから、果物の中に精米された米が大量に入っている植物でもなってないかな?
7
お気に入りに追加
610
あなたにおすすめの小説
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる