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陰謀篇
第68話 突然の侵攻
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私が退院して最初の夜。私の退院祝いに豪勢な食事が運び込まれ、久しぶりの家族団らんを楽しんでいたときのこと。
その無情な現実はあまりにも唐突に突きつけられた。まさに晴天の霹靂と言うに相応しい出来事だった。
『帝国軍が王都へ向かって侵攻を開始。魔の森を焼きながら進行中の模様。二週間程で王国の領域に到達すると見込まれる』
そう書かれた伝書が、伝書鳩の足に括り付けられて送られて来た。
「なんてこと!」
その翌日、帝国から早馬で王城に届けられたのは、かつてはこの国の国王として慕われ、王国と家族のために人質として帝国へ向かった父の首だった。それを見たお祖母様は受け入れ難い現実に気を失ったまま昏睡状態に陥り、お母様はあまりの現実に正気を失ってしまった。
その事実は瞬く間に王国中に知れ渡り、国民たちは帝国に対する憎しみを募らせた。開戦前夜の風潮が広がり、王国中に張り詰めた雰囲気が漂っている。
コンコンコン
「王女殿下、王子殿下方がいらっしゃいました」
「通して」
ルーシーの声に抑揚を付けずに答えるのは私。部屋に入ってきた兄様たちは明らかに窶れていて、その疲労が尋常ではないことを示していた。
お祖母様とお母様が公務を処理出来なくなってからのこと。書類整理を比較的得意とするセオドア兄様と私の公務が単純に三倍になった。お祖母様とお母様の分だ。マテオ兄様は従来の公務に加え、帝国軍と応戦するための力を蓄えるために騎士団の実力を底上げするのに力を入れている。
しかし帝国軍の侵攻は想像以上に速く、王国の領域内に到達するのに必要な時間は一週間とないだろう。それまでに王国軍の実力を底上げできるかと問われれば────否だ。それでもマテオ兄様は少しでも抵抗できるようにと騎士団たちを鍛え上げている。
「すまない。俺が騎士団に掛かりきりになっているせいで、二人に公務を押し付けるような形になってしまった」
「気にしないで。マテオ兄様」
「そうだよ。兄さん」
「それよりも今後の動きについて話し合いましょう。時間は限られている。帝国が王国の領土に入ってくる前に対策を考えないと……」
私たちは再び黙り込む。侵攻への対策────それは戦争の経験が全くない私たちには過去最大級の無理難題だった。
前世で世界史の授業を真面目に受けていたお陰で戦術などに関しては兄様たちよりも知識があるが、前世では当然のことながら魔法や魔獣が存在しないので、それらが存在するこの世界でどこまで通用するかはわからない。そんな状態で無責任に作戦案を出すなど怖くて私には出来なかった。
しかし、私の中で一つだけ勝つ可能性があるのではないかと思える作戦があった。それは魔鉱石を利用した魔法砲撃だ。従来であれば魔力枯渇に命の危険があるとされている以上、魔法砲撃などは正気の沙汰ではないと淘汰されていただろうが、幸運なことに王国には大量の魔鉱石が発掘されている。
魔鉱石は魔力を高温圧縮したものとされていて、属性などは関係ないので魔道具に利用するには効率的だ。さらに圧縮された魔力ということはつまり膨大な魔力が込められているということだ。それを軍事用魔道具に装着すれば、どれだけの威力を誇るかは言うまでもない。
それらの魔道具が完成すれば、魔法使いに頼らずとも魔法砲撃が可能になる。魔力枯渇を恐れることなく魔力砲撃を浴びせられる。相手はありえないと思いこんでいる魔法砲撃での攻撃は、帝国軍を確実に混乱に陥らせるだろう。場合によってはワンサイドゲームで集結するかもしれない。
「あの……」
私は意を決して言い出してみた。最初は険しい表情だった兄様たちも、話を聞いているうちに徐々に表情が和らいでいく。最後には笑顔さえ浮かんでいた。
「フレイア! お前すごいな!」
マテオ兄様がそう言って立ち上がると、魔塔に軍事用の魔道具を作るように命令を出してくると部屋を出ていった。
「それにしても、よく思いついたね」
「偶然です。魔法で砲撃でも出来れば相手も混乱すると思って考え出したら、ここに行き着いただけの話ですから」
「普通なら魔法砲撃なんて思いついても実現させようとする前に魔力枯渇のことが前に出て、それ以上考えようとはしないんだよ」
そう言ってセオドア兄様は笑顔で私の頭を撫でる。普段どおりの温もりのはずなのに、何故か少し遠く感じた。
魔法砲撃の魔道具を開発させ始めてから一週間。魔塔が総力を上げて開発された魔道具は完成しつつあった。そして同時に帝国軍が王国の領土を侵犯し始めた。
「王女殿下、帝国軍が侵犯と開始しました。辺境伯軍と第一王子殿下率いる騎士団が抵抗をしていますが、多勢に無勢で劣勢を強いられています」
「辺境伯に増援を送りなさい。物資の補給も怠らないように。途中で何者かが横領しようものなら見つけ次第がん罰に処することを許可します」
「はっ!」
魔道具が完成するまでの間は通常の戦闘で対抗しなければならない。軍事国家の帝国に勝てる道理はなかったが、魔道具が完成するまでの間の足止め程度なら間に合うだろう。周辺の住民には既に王都に向かって避難してもらっているので、辺境に留まっているのは帝国軍を迎え撃つ覚悟を持っている現地の住民か増援として派遣された騎士団、辺境伯の私設軍だけだ。
「魔塔からの伝令です! 魔道具が完成したとのことです!」
一週間、待って待って待ち望んだ沙汰が漸く告げられた。歓喜したのは私だけではない。作戦を知る全ての貴族たちが嵐のような歓声を上げた。まるで地震が起きたかのように王城が揺れる。
「私は一先ず魔塔へ向かいますので、ここはセオドア兄様に任せます」
私が持つ全権をセオドア兄様に託して作戦会議室を出た。
「お待ちしておりました。王女殿下」
魔塔について出迎えに来たのは、かつてメフィアが侍女になった時の試験で会った魔塔主だった。
「お願いしていた魔道具が完成したとか」
「はい。こちらでございます」
そう言って魔塔主が指差したのは機関銃のような魔道具だった。幾つもの銃口のようなものがあり、重機関銃と言っても良いかもしれない代物だ。
「これから試運転をしようと思っていました。王女殿下もご一緒に如何ですか?」
「是非ご一緒させて下さい」
案内された場所は魔塔専用の試運転場で、魔力障壁と物理障壁が展開されている堅牢な建物だ。王国内では最も安全な場所と言われるほど警備が厳しい。
「では……」
そう言って始まった魔道具の試運転。流石に機関銃と同じ構造をしているだけあって使い方も似ていた。魔鉱石を銃弾の代わりに入れると任意で属性を選ぶことが可能になるようだ。そして属性に即した攻撃魔法が繰り出された。
火属性は炎弾。炎の弾丸で敵を穿つ単体攻撃魔法で、魔力量を調整することで弾速や威力を変えることが出来るオーソドックスな魔法の一つだ。
水属性は水刃。水の刃で敵を穿つ威力も速度も速い単体攻撃魔法。
風属性は極小風球。操作できる弾丸という特殊な魔法で、一つ一つは静止時にギリギリ目に見える程度の大きさ。魔力消費量が少ないので弾幕などに利用できるが、威力は小さいので攻撃には不向き。
雷属性は雷球。読んで文字の如く球状の雷。操作性に優れていて、生物に接触した時に感電させる事が出来るので実用的。しかし雷属性は難易度が高いことで有名で、この魔法を習得する魔法使いは少ない。
土属性は土壁。魔道具に組み込まれている唯一の防御魔法で、水属性、雷属性、風属性、氷属性、土属性の初級攻撃魔法までなら防御できる。
氷属性は極小氷槍。操作性に優れていて、一つ一つは静止時にギリギリ目に見える程度の大きさ。威力は小さいが鋭い形をしているため無痛で血液中にまで侵入させることができる。体内でも操作可能で、生物を内から破壊する悪魔的な魔法。一つ一つが極小のため霧のように拡散し、その絶対的な殺傷能力があることで中範囲殲滅魔法とされているが、魔力消費量は他の中範囲殲滅魔法に比べて比較的少ない。
光属性魔法、闇属性魔法は味方に被害を与えない状態での再現が難しかったそうで、この魔道具には組み込まれていない。
どれも帝国との戦争では有用な魔法ばかりで、私は歓喜のあまり小躍りでもしてしまいそうな気分だった。
「ありがとう。これはどれだけ生産できるかしら?」
「既に完成している物は六十台。現在、魔塔の総力を上げて量産させていますが、一日に三十台が限界です」
「それだけあれば十分よ。早速だけど完成している六十台を増援の兵たちに持たせても?」
「構いません」
「ありがとう」
その無情な現実はあまりにも唐突に突きつけられた。まさに晴天の霹靂と言うに相応しい出来事だった。
『帝国軍が王都へ向かって侵攻を開始。魔の森を焼きながら進行中の模様。二週間程で王国の領域に到達すると見込まれる』
そう書かれた伝書が、伝書鳩の足に括り付けられて送られて来た。
「なんてこと!」
その翌日、帝国から早馬で王城に届けられたのは、かつてはこの国の国王として慕われ、王国と家族のために人質として帝国へ向かった父の首だった。それを見たお祖母様は受け入れ難い現実に気を失ったまま昏睡状態に陥り、お母様はあまりの現実に正気を失ってしまった。
その事実は瞬く間に王国中に知れ渡り、国民たちは帝国に対する憎しみを募らせた。開戦前夜の風潮が広がり、王国中に張り詰めた雰囲気が漂っている。
コンコンコン
「王女殿下、王子殿下方がいらっしゃいました」
「通して」
ルーシーの声に抑揚を付けずに答えるのは私。部屋に入ってきた兄様たちは明らかに窶れていて、その疲労が尋常ではないことを示していた。
お祖母様とお母様が公務を処理出来なくなってからのこと。書類整理を比較的得意とするセオドア兄様と私の公務が単純に三倍になった。お祖母様とお母様の分だ。マテオ兄様は従来の公務に加え、帝国軍と応戦するための力を蓄えるために騎士団の実力を底上げするのに力を入れている。
しかし帝国軍の侵攻は想像以上に速く、王国の領域内に到達するのに必要な時間は一週間とないだろう。それまでに王国軍の実力を底上げできるかと問われれば────否だ。それでもマテオ兄様は少しでも抵抗できるようにと騎士団たちを鍛え上げている。
「すまない。俺が騎士団に掛かりきりになっているせいで、二人に公務を押し付けるような形になってしまった」
「気にしないで。マテオ兄様」
「そうだよ。兄さん」
「それよりも今後の動きについて話し合いましょう。時間は限られている。帝国が王国の領土に入ってくる前に対策を考えないと……」
私たちは再び黙り込む。侵攻への対策────それは戦争の経験が全くない私たちには過去最大級の無理難題だった。
前世で世界史の授業を真面目に受けていたお陰で戦術などに関しては兄様たちよりも知識があるが、前世では当然のことながら魔法や魔獣が存在しないので、それらが存在するこの世界でどこまで通用するかはわからない。そんな状態で無責任に作戦案を出すなど怖くて私には出来なかった。
しかし、私の中で一つだけ勝つ可能性があるのではないかと思える作戦があった。それは魔鉱石を利用した魔法砲撃だ。従来であれば魔力枯渇に命の危険があるとされている以上、魔法砲撃などは正気の沙汰ではないと淘汰されていただろうが、幸運なことに王国には大量の魔鉱石が発掘されている。
魔鉱石は魔力を高温圧縮したものとされていて、属性などは関係ないので魔道具に利用するには効率的だ。さらに圧縮された魔力ということはつまり膨大な魔力が込められているということだ。それを軍事用魔道具に装着すれば、どれだけの威力を誇るかは言うまでもない。
それらの魔道具が完成すれば、魔法使いに頼らずとも魔法砲撃が可能になる。魔力枯渇を恐れることなく魔力砲撃を浴びせられる。相手はありえないと思いこんでいる魔法砲撃での攻撃は、帝国軍を確実に混乱に陥らせるだろう。場合によってはワンサイドゲームで集結するかもしれない。
「あの……」
私は意を決して言い出してみた。最初は険しい表情だった兄様たちも、話を聞いているうちに徐々に表情が和らいでいく。最後には笑顔さえ浮かんでいた。
「フレイア! お前すごいな!」
マテオ兄様がそう言って立ち上がると、魔塔に軍事用の魔道具を作るように命令を出してくると部屋を出ていった。
「それにしても、よく思いついたね」
「偶然です。魔法で砲撃でも出来れば相手も混乱すると思って考え出したら、ここに行き着いただけの話ですから」
「普通なら魔法砲撃なんて思いついても実現させようとする前に魔力枯渇のことが前に出て、それ以上考えようとはしないんだよ」
そう言ってセオドア兄様は笑顔で私の頭を撫でる。普段どおりの温もりのはずなのに、何故か少し遠く感じた。
魔法砲撃の魔道具を開発させ始めてから一週間。魔塔が総力を上げて開発された魔道具は完成しつつあった。そして同時に帝国軍が王国の領土を侵犯し始めた。
「王女殿下、帝国軍が侵犯と開始しました。辺境伯軍と第一王子殿下率いる騎士団が抵抗をしていますが、多勢に無勢で劣勢を強いられています」
「辺境伯に増援を送りなさい。物資の補給も怠らないように。途中で何者かが横領しようものなら見つけ次第がん罰に処することを許可します」
「はっ!」
魔道具が完成するまでの間は通常の戦闘で対抗しなければならない。軍事国家の帝国に勝てる道理はなかったが、魔道具が完成するまでの間の足止め程度なら間に合うだろう。周辺の住民には既に王都に向かって避難してもらっているので、辺境に留まっているのは帝国軍を迎え撃つ覚悟を持っている現地の住民か増援として派遣された騎士団、辺境伯の私設軍だけだ。
「魔塔からの伝令です! 魔道具が完成したとのことです!」
一週間、待って待って待ち望んだ沙汰が漸く告げられた。歓喜したのは私だけではない。作戦を知る全ての貴族たちが嵐のような歓声を上げた。まるで地震が起きたかのように王城が揺れる。
「私は一先ず魔塔へ向かいますので、ここはセオドア兄様に任せます」
私が持つ全権をセオドア兄様に託して作戦会議室を出た。
「お待ちしておりました。王女殿下」
魔塔について出迎えに来たのは、かつてメフィアが侍女になった時の試験で会った魔塔主だった。
「お願いしていた魔道具が完成したとか」
「はい。こちらでございます」
そう言って魔塔主が指差したのは機関銃のような魔道具だった。幾つもの銃口のようなものがあり、重機関銃と言っても良いかもしれない代物だ。
「これから試運転をしようと思っていました。王女殿下もご一緒に如何ですか?」
「是非ご一緒させて下さい」
案内された場所は魔塔専用の試運転場で、魔力障壁と物理障壁が展開されている堅牢な建物だ。王国内では最も安全な場所と言われるほど警備が厳しい。
「では……」
そう言って始まった魔道具の試運転。流石に機関銃と同じ構造をしているだけあって使い方も似ていた。魔鉱石を銃弾の代わりに入れると任意で属性を選ぶことが可能になるようだ。そして属性に即した攻撃魔法が繰り出された。
火属性は炎弾。炎の弾丸で敵を穿つ単体攻撃魔法で、魔力量を調整することで弾速や威力を変えることが出来るオーソドックスな魔法の一つだ。
水属性は水刃。水の刃で敵を穿つ威力も速度も速い単体攻撃魔法。
風属性は極小風球。操作できる弾丸という特殊な魔法で、一つ一つは静止時にギリギリ目に見える程度の大きさ。魔力消費量が少ないので弾幕などに利用できるが、威力は小さいので攻撃には不向き。
雷属性は雷球。読んで文字の如く球状の雷。操作性に優れていて、生物に接触した時に感電させる事が出来るので実用的。しかし雷属性は難易度が高いことで有名で、この魔法を習得する魔法使いは少ない。
土属性は土壁。魔道具に組み込まれている唯一の防御魔法で、水属性、雷属性、風属性、氷属性、土属性の初級攻撃魔法までなら防御できる。
氷属性は極小氷槍。操作性に優れていて、一つ一つは静止時にギリギリ目に見える程度の大きさ。威力は小さいが鋭い形をしているため無痛で血液中にまで侵入させることができる。体内でも操作可能で、生物を内から破壊する悪魔的な魔法。一つ一つが極小のため霧のように拡散し、その絶対的な殺傷能力があることで中範囲殲滅魔法とされているが、魔力消費量は他の中範囲殲滅魔法に比べて比較的少ない。
光属性魔法、闇属性魔法は味方に被害を与えない状態での再現が難しかったそうで、この魔道具には組み込まれていない。
どれも帝国との戦争では有用な魔法ばかりで、私は歓喜のあまり小躍りでもしてしまいそうな気分だった。
「ありがとう。これはどれだけ生産できるかしら?」
「既に完成している物は六十台。現在、魔塔の総力を上げて量産させていますが、一日に三十台が限界です」
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