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止められない想い
掌の上
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朝起きると、そこは先生の部屋だった。
「んぅ…」
「烏坂」
「……?、先生……先生!?」
急いで起き上がると、少し寝不足そうな先生が目の前にいた。
「起きたか」
「おき、、ました…っ、」
ズキリと頭が痛くなる。僕が頭を押さえると、先生が水を持ってくる。
「昨日のこと、覚えてるか?」
「えっと……、」
確か、僕が先生のお酒を飲んでしまって………。あれ、あれぇ……?
「覚えてないか」
「すっ、すみません!!僕、何か迷惑かけましたか!?かけましたよねぇ!?すみません、すみません!!」
僕が大声で謝っていると、先生は僕の頬を掴む。
「い、いひゃい、れふ」
「別に。確かに酔って大変だったが、いいものを見せてもらった」
先生はニヤリと笑う。
その顔に僕はサッと血の気が引く。僕、何かしたんだ。やばい、何をしたんだろう。思い出せない。
「せっ、先生、」
「ほら、いいから水飲め」
先生からペットボトルをもらってそれを飲む。生温い水が喉を通っていく。
これが、俗に言う二日酔いってやつなのだろうか。
「烏坂、新しい寝巻き買うぞ」
「!、またその話!大丈夫ですよ。これで外出るわけでもないですし。安心して下さい」
「はああああ…俺の気を考えてくれ…」
先生は額に手を当てて大きな溜息を吐く。 何でそんなに言うのだろう。別に、僕が何を着ようが良いだろう。先生は僕がだらしない人に育つのを危惧しているみたいだが、寝巻きくらい好きにさせて欲しい。
「別に、ちゃんと着てますよ。ほら」
くるりと回ってみせるが、先生は眉を顰めたままだ。いや、なんかもっと眉を顰めた気がする。
「やっぱり駄目だ」
「なんでー!」
僕が抗議の声を上げるのを無視し、先生はばっと上を脱ぐ。僕は急いで後ろを向いて目を手で覆う。
「別に見ても構わないが」
「駄目です!僕が駄目です!と言うか、先生も僕がいるのに勝手に脱がないで!」
「お前が俺の部屋で寝たからだろ」
そこをつかれると何も言えない。今からここから去りたい気分だが、目を隠しているから無理だ。僕がずっと後ろを向いていると、背後に気配を感じる。
「なあ」
「ひゃあ!」
耳元で言われ、僕は声を出す。
「気づいてないと思うが、」
「み、耳、だ、駄目です、」
耳に先生の熱い吐息がかかる。僕は目を隠している手を片方外して耳を塞ごうとするが、その手は先生に握られる。
「せん、」
「お前、耳が真っ赤だぞ」
そう指摘されてもっと体温が上がる。手の先まで血が速く巡って熱くなる。
「手まで熱いな」
「や、せん、あの、」
横で先生が笑う声が聞こえる。掌で踊らされている僕は悔しくてそのまま振り返ると、上裸の先生と目が合う。
先生の体は鍛えられていて、誰が見ても惚れ惚れするような理想的な体型だ。筋肉質で、厚くて。腹筋が6つに割れていて、腕にも筋肉が付いている。
「はぅ…」
僕は振り返ったことを後悔した。息を漏らすことしかできない僕に、先生は笑う。
「照れるな、そんなに見られると」
「なっ、」
僕はベッドから飛び降りて、急いでドアに向かう。
「もっとここにいても良いんだが」
「帰ります!せ、先生も、気をつけて下さい!」
「烏坂が聞いてくれたら、俺も気をつける」
そんなことを言われる。それなら僕は言うことを聞いて、先生の薦める寝巻を買おうか。でも、先生が勧めるやつ絶対首元とか暑いよな…。冬は良いけど、先生が言ってるのは夏だしな…。
僕は気が乗らないままドアノブに手をかけた。
「んぅ…」
「烏坂」
「……?、先生……先生!?」
急いで起き上がると、少し寝不足そうな先生が目の前にいた。
「起きたか」
「おき、、ました…っ、」
ズキリと頭が痛くなる。僕が頭を押さえると、先生が水を持ってくる。
「昨日のこと、覚えてるか?」
「えっと……、」
確か、僕が先生のお酒を飲んでしまって………。あれ、あれぇ……?
「覚えてないか」
「すっ、すみません!!僕、何か迷惑かけましたか!?かけましたよねぇ!?すみません、すみません!!」
僕が大声で謝っていると、先生は僕の頬を掴む。
「い、いひゃい、れふ」
「別に。確かに酔って大変だったが、いいものを見せてもらった」
先生はニヤリと笑う。
その顔に僕はサッと血の気が引く。僕、何かしたんだ。やばい、何をしたんだろう。思い出せない。
「せっ、先生、」
「ほら、いいから水飲め」
先生からペットボトルをもらってそれを飲む。生温い水が喉を通っていく。
これが、俗に言う二日酔いってやつなのだろうか。
「烏坂、新しい寝巻き買うぞ」
「!、またその話!大丈夫ですよ。これで外出るわけでもないですし。安心して下さい」
「はああああ…俺の気を考えてくれ…」
先生は額に手を当てて大きな溜息を吐く。 何でそんなに言うのだろう。別に、僕が何を着ようが良いだろう。先生は僕がだらしない人に育つのを危惧しているみたいだが、寝巻きくらい好きにさせて欲しい。
「別に、ちゃんと着てますよ。ほら」
くるりと回ってみせるが、先生は眉を顰めたままだ。いや、なんかもっと眉を顰めた気がする。
「やっぱり駄目だ」
「なんでー!」
僕が抗議の声を上げるのを無視し、先生はばっと上を脱ぐ。僕は急いで後ろを向いて目を手で覆う。
「別に見ても構わないが」
「駄目です!僕が駄目です!と言うか、先生も僕がいるのに勝手に脱がないで!」
「お前が俺の部屋で寝たからだろ」
そこをつかれると何も言えない。今からここから去りたい気分だが、目を隠しているから無理だ。僕がずっと後ろを向いていると、背後に気配を感じる。
「なあ」
「ひゃあ!」
耳元で言われ、僕は声を出す。
「気づいてないと思うが、」
「み、耳、だ、駄目です、」
耳に先生の熱い吐息がかかる。僕は目を隠している手を片方外して耳を塞ごうとするが、その手は先生に握られる。
「せん、」
「お前、耳が真っ赤だぞ」
そう指摘されてもっと体温が上がる。手の先まで血が速く巡って熱くなる。
「手まで熱いな」
「や、せん、あの、」
横で先生が笑う声が聞こえる。掌で踊らされている僕は悔しくてそのまま振り返ると、上裸の先生と目が合う。
先生の体は鍛えられていて、誰が見ても惚れ惚れするような理想的な体型だ。筋肉質で、厚くて。腹筋が6つに割れていて、腕にも筋肉が付いている。
「はぅ…」
僕は振り返ったことを後悔した。息を漏らすことしかできない僕に、先生は笑う。
「照れるな、そんなに見られると」
「なっ、」
僕はベッドから飛び降りて、急いでドアに向かう。
「もっとここにいても良いんだが」
「帰ります!せ、先生も、気をつけて下さい!」
「烏坂が聞いてくれたら、俺も気をつける」
そんなことを言われる。それなら僕は言うことを聞いて、先生の薦める寝巻を買おうか。でも、先生が勧めるやつ絶対首元とか暑いよな…。冬は良いけど、先生が言ってるのは夏だしな…。
僕は気が乗らないままドアノブに手をかけた。
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