悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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咎め

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「あら、レイアちゃん久しぶり!」

「お久しぶりです、エミリア様」

 移動中だったエミリアに話しかけられる。エリーは今友達に呼ばれて席を外している。

「もー!そんなに畏まらなくて良いのに!ねえ、聞きたいことがあるんだけど」

「何でしょうか?」

「エヴェレット様、最近忙しいらしいのだけれど、何か知ってる?」

「すみません、私も知らなくて…」

 私が1番知っているが、外に漏らす訳にはいかない。

「エミリア様は、本当にエヴェレットを心配していらっしゃるのですね。エヴェレット様も、きっと嬉しいでしょう」

「あら!そんなこと言って!彼、意外と女誑しなのよ?」

「女誑し…」

「他の人の方に行ってはファンを作ってきて。彼、カッコいいからみんな好きになっちゃうの」

 確かにエヴェレットはとてもかっこいい。そして、距離が近いから皆すぐ恋に落ちてしまうのだろう。とても真面目な性格だし、そこに惹かれる女性もいるはずだ。

「その顔、貴女も心当たりがあるのね」

「へっ!?」

 私は急いで顔を触る。そんな顔してただろうか。婚約者の前でそんな顔したら誰でも嫌に決まっているだろう。エミリアは何か見定めるようにスッと目を細める。

「も、申し訳ありません!私はそんな思いは一切無く…」

「あら!そんなことないわ!どんどん好きになって!彼が好かれることはわたくしにとっても嬉しいから!でも、彼の婚約者はわたくしだからね!」

 エミリアはにっこりと笑うと、はらりと手を振って去ってしまう。

「あの、レイ、あの方は」

「あっ、エリー。一つ上の学年のエミリア様です。エリーもご存じでは?」

「ええ、知っています」

 エリーは微笑んで答える。面識があるなら話しかけてもよかったのに。私たちの会話を邪魔しないようにしてくれたらしい。

「レイ、そろそろみんなで集まる時間です。行きましょう」

「そうですね」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 情報共有も終わり、私たちは帰ろうとすると、エリーから声をかけられる。

「あの、少しお兄様とお話ししても?」

「ええ。では、先に戻っていますね」

 兄妹2人だけで話したいことがあるのだろう。私はその場を足早に去る。
 エリーはエヴェレットの方に足を運んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 下校時、エヴェレットから声をかけられる。

「レイア、何かあったらすぐに呼べ」

「わかっています」

 エヴェレットは相変わらず距離が近い。

「あの、エヴェレット様。お言葉ですが、距離感が近いと誤解されますよ」

「何のことだ?」

「ですから、この距離感のことです!どの女性の方にもこの距離感だと皆様勘違いしてしまいます。相手が私で良かったと言うものの」

「いやだから、」

「婚約者がいるのに、この距離感は不安を煽るだけです。やはり、もう少し距離を置きましょう」

「おい、」

 エヴェレットはまだ何か言いたげだったが、私は足早に学園を抜ける。

「何のことだ…レイアには婚約者がいるのか…?」

 エヴェレットの呟きは、人混みの喧騒に消えていった。


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