悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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不整脈

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「婚…約者…?」

 私は目を見開く。エヴェレットには、婚約者が居たのか?初めて知った。いや、私には関係のないことだから、エヴェレットが言わないのも当然か。

「最近、エヴェレット様と関わっていらっしゃいますよね?ノア家の者なのに、リリー家の者に関わるなんて珍しいと思って。彼、最近までそんな友好的じゃなかったから」

「そ、そう、ですね。エヴェレット様には、お世話になっております」

「うふふ、だから、貴女ともお友達になりたいと思ったのです!」

 彼女は私の手をブンブンと振る。

 エミリア・ダーシー・ブレア。深緑の髪色をしており、髪はボブカットだ。前髪は眉が隠れるくらいで、左側をピンク色の細かい装飾がされたピンで止めている。
 二重の大きなタレ目で、蜂蜜のような黄色の色をしていて、メイクをバッチリ決めている。
 17歳らしく、一つ上の学年らしい。

「エヴェレット様には、婚約者がいらっしゃったのですね」

 ゲームではそんな話無かったから驚いた。でも、貴族の息子なのだから婚約者くらいいて当然か。でも、エリーには居なかったよな。エリーに婚約者が居たら、私との恋相談のときに話すはずだ。

「ええ!エヴェレット様とは昔馴染みで!小さい頃のことも知っていますよ!」

 その言葉に胸がチクリとする。
 あれ?なんで何で痛いのだろうか。不整脈?でも、不整脈ならチクリとはしないだろう。

「えっと、リリーさんはエヴェレット様とはどう言う関係で?」

「私は、ただのエリーの友達です。その関係で、少し関わっているだけです」

 今の状況は言わない。言ったら、彼女が心配するかもしれないし。それに、自分の婚約者が役目とは言え、違う女の護衛なんてしていたら嫌だろう。嘘をついて隠すのは心苦しいが、今は許して欲しい。

「…そう。えっと、リリーさんのこと、レイアちゃんって、呼んでも?」

「はい!構いません!」

「ありがとう、レイアちゃん!じゃあ私のことはエミリアって!」

「エ、エミリア…様、」

「んー、まあそれでもいっか!よろしくね!あっ、そろそろ戻らないと、じゃあね!」

 パッと手を離すとパタパタと走って行ってしまう。すると、丁度エリーが出てくる。

「お待たせしました、レイ」

「いえ、では行きましょうか」

 そっか。エヴェレットには婚約者が居たのか。だからあんなに女性の扱いに慣れているのだ。

「レイ?胸を押さえてどうしましたか?」

「えっ?いっいえ、少し、不整脈…?が…」

「まぁ!大丈夫ですか?」

「ええ。ご心配ありがとうございます」

 それにしても、この胸のモヤモヤは何なのだろうか。別に、私には何も関係ないことなのに。エヴェレットと彼女への罪悪感?いや、それとはまた違う気もする。

 
  これは、いったい何なのだろうか。
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