悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

文字の大きさ
上 下
65 / 76

婚約者

しおりを挟む
「……あの、エヴェレット様、」

「何だ?」

 後ろを振り向いて呼ぶと、すぐにこちらに来てくれる。
 この件が落ち着くまで、私は騎士団本拠地から学園に通うこととなった。ここからなら徒歩でも近いし、何かあってもすぐに駆けつけられる。

「その、も、もう少し離れても…」

「何言ってるんだ、これ以上離れたらすぐに駆けつけられないだろう」

 とは言っても、なんか凄い居た堪れないのだ。いや、護衛なのは分かっているのだが。
 なんだかんだ言っているうちに、学園に着く。
 すると、大好きな大きな声で話しかけられる。

「レイ!?」

 綺麗な金髪を靡かせて、エリーがこちらに来る。

「お兄様も、最近は騎士団の仕事が忙しいと聞きました。レイ、最近休んでいましたが、何かあったのですか?」

「えっと、」

「エリー、今日の昼休み、レイアと一緒に弁当をも持って中庭に来てくれ。詳しいことはそこで話す」

「わ、分かりました。お兄様」

 エリーはまだ細かいことを知らないらしい。私はどこまで話していいかわからないから、エヴェレットから話してくれるのはありがたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 午前の授業が終わり、エリーと一緒に中庭に向かうと、そこには3人の人がいた。

「ペガサス様、と、、ユニコーン様!?」

 私が声を上げると、2人はお辞儀をする。

「レイアお嬢さん、こんにちは!エリーお嬢さんも!」

「こんにちは、リリー嬢。お久しぶりですね、ノア嬢も」

 エリーに視線を移すと、エリーもスカートの袖を持って挨拶をする。

「お久しぶりでございます。レイとも面識があるのですね」

 3人は面識があったらしい。確かに、兄が騎士団に入っていたら、その影響で会っていてもおかしくない。

「その、話というのは?」

 エリーが聞くと、エヴェレットが話し始める。

「まず、レイアが事件に巻き込まれた」

「レイ!?大丈夫なのですか?」

「は、はい、大丈夫ですよ、エリー」

「事件の詳細は言えないが、こちらで保護する形となった。だから、エリーもレイアと一緒に居てくれたら助かる。何かあったらすぐ俺に知らせてくれ」

「お任せ下さい、お兄様!レイ、心配しないで下さいね!わたくしだって、お手伝いいたします!」

 エリーはグッと握り拳を作る。その姿がとても可愛くて笑ってしまう。

「ペガサス様とユニコーン様も、この学園だったのですね」

「はい!17歳で、お二人さんの一つ上の学年です!何かあったらすぐ言って下さいね!ちなみに組はユニコーンと同じで3組です!」

 ペガサスがにこやかに言う。ペガサスとユニコーンは同じ組なのか。

「説明も済んだことですし、ご飯を食べながら情報を共有しましょう」

 ユニコーンが指揮をとる。私たちは椅子に座ってお弁当を広げる。私のお弁当は、食事場の人たちが作ってくれた。

「レイアお嬢さんって、お弁当も小さいんですね。午後の授業いけます?それで」

「これでも多い方なんですけどね…」

 気を遣ってかなり多く入れてくれたが、全て食べ切れる気がしない。残すのも勿体無いから、どうしようか。

「多いなら俺が食うぞ」

 エヴェレットが助太刀を入れてくれる。それはかなりありがたい。

「本当ですか!?どのくらい食べますか?」

「いや、お前が食う分を先に決めろよ」

「じゃあ私はここを食べるので、エヴェレット様はここから…」

「待て待て待て、少な過ぎるぞ!もっと食え!半分も食べてないじゃないか!」

 そうだろうか。いつもはこれより少ないし、これでも多い方なのだが。
 エヴェレットとペガサスはおせちの重箱のようなお弁当で、エリーとユニコーンは2段のお弁当だ。私のは1段だけだ。

 ご飯を食べながら情報交換をする。今日は特に目立った行動や、怪しい人物はいなかった。

「じゃあ、帰りも気をつけるんだぞ」

 3人と別れてから、エリーと一緒に教室に戻る。
 エリーがお手洗いに行ったため、私は近くで待っていると、声をかけられる。

「あの、」

「何でしょうか?」

「レイア・ルーナマリア・リリー…さん、ですよね?」

「え、ええ、そ、そうです」

「やっぱり!」

 その人は私の手を取る。



「わたくし、エヴェレット様の婚約者の、エミリア・ダーシー・ブレアです!」


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!

あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】 小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。 その運命から逃れるべく、九つの時に家出して平穏に生きていたが。 ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。 その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。 優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。 運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。 ※話数は多いですが、1話1話は短め。ちょこちょこ更新中です! 【2025年1月3日追記】 ストーリーの見直しにあたり、137話からのくだり、特に138話をかなり手直ししております。このあたりは割と二人にとって大事な場面となりますので、よろしければお暇なときにでも読み返していただけると幸いです(#^^#) なろうさんにも同作品を投稿中です。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?

狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?! 悪役令嬢だったらどうしよう〜!! ……あっ、ただのモブですか。 いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。 じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら 乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?

精霊に転生した少女は周りに溺愛される

紅葉
恋愛
ある日親の喧嘩に巻き込まれてしまい、刺されて人生を終わらせてしまった少女がいた 。 それを見た神様は新たな人生を与える 親のことで嫌気を指していた少女は人以外で転生させてくれるようにお願いした。神様はそれを了承して精霊に転生させることにした。 果たしてその少女は新たな精霊としての人生の中で幸せをつかめることができるのか‼️ 初めて書いてみました。気に入ってくれると嬉しいです!!ぜひ気楽に感想書いてください!

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

処理中です...