悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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そっくり

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 目が覚めると、明るい光が目に入ってくる。
 パチリと目を開けると、エヴェレットと目が合う。

「レイア!」

「………え、エヴェレット様?」

「よかった、目が覚めて…!」

 エヴェレットは寝起きの私をとても強い力で抱きしめる。息が出来ないし、骨もミシッと音を立てている気がする。

「お前がこのまま一生目覚めないと思ったら、俺は…!!」

 さらに抱きしめる力が強まる。私はエヴェレットの背中をポンポンと叩いて抗議を示す。

「つ、つよい、苦しいです、」  

 エヴェレットは私から離れないが、力を弱めてくれた。
 私はエヴェレットとようやくちゃんと向き合う。

「あれ、エヴェレット様、あまり寝れていないのですか?」

 エヴェレットの目の下には薄くクマがある。

「お前が起きるまでずっと起きてた」

「えっ!?」

 これが本当だとしたら、エヴェレットは今夜一睡もしていないと言うことになる。
 時計を見ると、時間はお昼近く。

「は、早く寝て下さい!クマが凄いですよ!」

 私がそう言うと、エヴェレットは私の後ろを指差す。
 振り向くと、そこには鏡があり、目の下にクマを作った男女2人が映っていた。

「そっくりだな」

 エヴェレットは薄く笑いながら言う。これでは、エヴェレットにお前も寝ろと言われるのが目に見える。

「すみません、私のせいで……」

 深夜のことはよく覚えている。いや、脳に焼き付いている。
 何回も何回も魘されて起きては泣き、エヴェレットに縋っていた。そのせいで、エヴェレットは寝不足なのだ。

「違う。俺の問題だ。それより、大丈夫か?」

「はい。まだ本調子ではないですけど…少し、軽くなりました」

 ほんの少しだが、エヴェレットが一晩中そばにいてくれたおかげで何とか正気を保てている。そばにいてくれなかったら、今頃は夢と現実の区別が付かなくなり、おかしくなっていただろう。

 もっと寝ていたいところだが、そんなに呑気にしていられない。今は急いで現状を整理しないと。

「あの、エヴェレット様…」

 言いかけた時、ドアがノックされる。私が返事をすると、初めて聞く声が聞こえてくる。

「おや?起きていらしたのですか、レイアお嬢」

 私は首を傾げる。私をこんなふうに呼ぶ人は周りにいないし、誰なのだろうか。エヴェレットの知り合いかもしれない。
 そう思ってエヴェレットを見ると、エヴェレットは少し驚いて目を見開いている。



       「だ、団長……?」
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